口だけの文大統領に、“韓国寄り”の日本メディアの心も離れ…

 

言うは易(やす)く行うは難し。

口で言うだけなら誰だってできる。でも、それを実行するのは本当にむずかしい。
「ダイエットは明日から!」「明日になったら本気を出すっ」というセリフは、そのままフラグになることは誰にでもわかるはずだ。

さて隣国のトップはどうなのか。

 

ことし1月、韓国大統領府でおこなわれた新年の記者会見で、文大統領はこれまでの対日強硬姿勢を大きく変えて、対日融和へと傾いた。かのように見えた。
日本政府の主張を“無視”して、慰安婦訴訟で韓国の裁判所が日本に元慰安婦への賠償を命じた。その判決について文大統領は「率直に言って少し困惑している」と述べた。
個人が外国政府を訴えることなんてことは、国際社会では認められないのに、相手が日本なら「主権免除」という原則をひっくり返し、最悪の意味で不可能を可能にしてしまう。

それでいま大統領は困っているらしい。
でも日本はもっと困惑しているのだ。政府も国民も怒っているのだ。
そんな日本に配慮してか、文大統領は2015年の慰安婦合意について「韓国政府はその合意が両国政府間の公式的合意であった事実を認める」と明言。

そして徴用工訴訟問題については、韓国内にある日本企業の資産が現金化されることについて、「日韓両国間の関係に望ましくないと思う」と話す。

反日的な韓国の市民団体・正義連が「当惑し、失望した」と批判するほど、文大統領はこれまで違って日本との関係改善を重視する発言をした。

でも日本にとってはこれでは不十分だ。
「困惑している」「望ましくないと思う」と思うのなら、ではその問題を具体的にどうするつもりなのか。
言うだけでその解決案を提示してくれないと、日本は韓国を信用することができないし、両国関係が前進することもない。
「公式的合意であった事実を認める」を行動で示してほしい。

文大統領のスピーチをうけて毎日新聞も社説で、日韓関係について「これまでと異なる発言が目についた」と注目しつつも、こう注文をつける。(2021/1/19)

従来の姿勢とは一線を画すものだ。ただ、いずれも具体的な対応は示さなかった。関係改善につなげるためには、行動を積み重ねていく必要がある。

文大統領会見と日韓 関係改善には行動が必要

 

もちろん日本政府にも「外交的な知恵」を絞るよう要求しているけれど、韓国にはかなり“やさしい”毎日新聞でも、文大統領のコトバをそのまま信じることはできないようだ。慰安婦・徴用工訴訟問題で、韓国政府が解決策を提示することを訴えている。
さすがにこの状況で韓国への譲歩を日本政府に要求するのが無理筋。そのことはもう、一部例外を除けば誰にでもわかるはずだ。

 

でも、文大統領の決意が目に見える形になるになることはないまま、時間だけがむなしく流れて韓国では正月を迎え、それを終えて3月になった。

3月1日の抗日独立運動の記念式典でおこなわれた演説で、文大統領は「加害者は忘れられても、被害者は忘れられない」と言ったあと韓日関係についてこう強調する。

「過去のことに足を引っ張られてはなりません」
「過去の問題は過去の問題として解決していきながら、未来志向的な発展により力を入れなければなりません」
「韓日両国の協力と未来の発展のための努力も止めない」

日本は何度も過去を蒸し返していませんっ!というツッコミが避けられないのは当然として、新年の記者会見と同じく、関係改善の意欲を“示すだけ”の文大統領に、毎日新聞と同じく韓国にやさしい朝日新聞も社説でこう訴えた。(2021年3月3日)

その言葉を行動で示してほしい。文氏は直近の歴史問題への対応策を具体化し、速やかに日本との協議を始めるべきだ。

日韓「歴史」対立 融和へ果断な行動を

 

韓国政府が、歴史問題への具体的な対応策(それはもちろん日本が納得できるもの)を示さない限り、話し合いは始まらないし、日韓関係もいまの「戦後最悪ゾーン」から抜け出せない。

 

なのにきのう、日テレNEWS24のこんな報道があってガッカリだよ。(3/18)

文大統領「日韓関係の改善のために努力を」

アメリカのブリンケン国務長官らと会談した文大統領は日韓関係について「関係の改善のために引き続き努力する」と伝えたという。

朝日新聞が「その言葉を行動で示してほしい」と求めたように、文大統領は口を動かすだけで、努力とやらを具体的にはしていない。
この前「努力を止めない」と言ったあと、具体的に何をしたのか。
「引き続き」も何も、韓国政府はまだ始めていない。

日韓関係を重視し、これまで日本政府に歩み寄りを求めてきて、結果として韓国をより積極的に”支援”してきた日本のメディアもいま疲労を感じているように思う。
「関係改善には行動が必要」や「融和へ果断な行動を」ということばからは、口だけの文大統領へのイラ立ちがみえる。
「韓日両国の協力と未来の発展のための努力も止めない」というコトバの重みはもう「明日になったら本気を出すっ」と変わらない。

 

 

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1 個のコメント

  • 何か実際に行動を起こさなければ、話にならないですね。と言っても、まあ無理でしょうけど。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。