韓国で問題視される、愛国主義という怪物・暴力的な世論

 

ドラマやアニメで目も当てられないような低視聴率を記録すると、日本でそれは「爆死」といわれる。
そんなドラマは日本に山ほどあるわけだが、お隣の韓国さんは最近、そんなチャチなもんじゃなく、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったらしい。

数百年前の朝鮮時代を舞台にして、悪霊と人間の戦いを描くファンタジー時代劇『朝鮮退魔師』が放送2話で打ち切られた。
こんなことは韓国の放送史上初めてのことで、関係者がビビりまくっている。

多々あるこの時代劇のツッコミどころの中で、視聴者の怒りを特に買ったのは中国料理の月餅やギョーザなどで客をもてなすシーン。
「韓国の時代ドラマに中国料理を出すな!」ということなのだが、韓国の歴史学者によると、中国との国境近くで中国の食べ物が出てくるのはおかしいことではなく、これはちょっと騒ぎすぎだ。

でもそんな理性的な声は、むき出しの愛国心の前ではまるで無力。
批判が殺到したスポンサー企業が撤退したこともあり、すでに8割ほど撮り終えていたのにドラマは闇に葬られ放送したテレビ局には数十億の損失が発生した。
こうなるともう「爆死」とかそんなチャチなもんじゃなくて、もっともっと激しい表現が必要になる。

ただ、こういう愛国心の暴走には国内から批判や懸念の声が上がっているようだ。

朝鮮日報のコラム(2021/04/11)

「クッポン(過度な国粋主義・愛国主義を皮肉ったインターネット上の新語)」世論や極端なフェミニズム勢力は、自分たちの口に合わない創作者に圧力を加え、反省文を書かせる姿を時折見せてきた。

『朝鮮退魔師』で表出した愛国主義という怪物

 

自分たちの好みや価値観に合わないモノがあったら、それが存在することは許せず、猛烈なクレームをつけて相手をねじ伏せる。
そんな姿は「我々が批判してきた中国の姿と変わらない」と朝鮮日報はあきれ顔。

なるほど。だが待て。
韓国版『鬼滅の刃』で炭治郎がしていた耳飾りが旭日旗ではないにもかかわらず、“そう見える”という理不尽な理由から批判が殺到して、結局、耳飾りのデザインを変更させた。そのとき、朝鮮日報をはじめほかの韓国メディアは何も言わなかった気がするのだが?
この愛国主義はペットのような保護すべきものなのか。
日本人からしたら申し分ない怪物だ。

とにかくこんなクレームで放送中断になったことから、韓国の放送関係者は、こんな災難が自分に降りかからないか「緊張している」という。
フィクションだと言っているのにここまで袋叩きにされたら、安全運転しかできなくなって韓国のドラマや映画は爆死の連続になりそう。
大ヒットした時代劇の『朱蒙』では紀元前の話なのに、火薬を使った武器が出てきた。
でも、「まだそのころ人類は火薬を知りませーん」とツッコミを入れながら楽しむのが韓流時代ドラマだったはず。

 

別の韓国紙もこれでは表現活動が委縮して、クソ作品しかうまれなくなることを危惧している。
中央日報日本語版の記事(2021.03.31)

韓国歴史学教授「ドラマ『朝鮮駆魔師』打ち切りは世論を掲げた暴力」

『朝鮮退魔師』でも、愛国主義という怪物や世論という暴力には敗北したというオチ。

 

日本にとってもこれは他人事ではない。
理不尽なクレーマーの大声に表現者や会社が屈する例は日本でもあったし、これからもきっとある。
それに慰安婦・元徴用工問題は愛国心という怪物や世論という暴力と表裏一体なのだから、日本が不当なクレームに負けていけない。

 

 

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1 個のコメント

  • > 『朝鮮退魔師』でも、愛国主義という怪物や世論という暴力には敗北したというオチ。

    あはははー、もう韓国人の好きなようにやらせておきなさい。他国は関係ないでしょ。
    戦前の日本にもそのように愛国主義が暴走して、開戦へと突っ走った時期がありました。が、韓国にはそこまでの決心はできないと思いますよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。