マジでいたのか鉄仮面! 仏バスティーユ監獄で死んだ謎のヒト

 

鉄の仮面をかぶった人間や、心中を読み取れないような無表情の人を「鉄仮面」という。
でも日本ではそんな意味から離れて、いまではいろんな鉄仮面がある。

 

 

ドラマやアニメ、車から小魚までいろいろある鉄仮面のなかでも、「スケバン刑事(スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説)」がおすすめ。
セーラー服を着て、鉄の仮面をかぶる美少女のビジュアルはかなり強力だ。

で、きょう11月19日は、この元ネタとなった「鉄仮面」さんが1703年に亡くなった日。
そんなことをネットで初めて知って、「実在の人物だったんだ!」とさっき驚いたところデス。
なのでこれから追悼の気持ちを込めて、このミステリアスなフランス人(かどうかも謎)を紹介しよう。

17世紀のフランスで国王ルイ14世の大臣から、ピネローロ監獄の監獄長サン・マルスに、もうすぐ特別な囚人が到着するという手紙が届く。
その囚人は顔をベールで覆っていて、素顔はまったく見えない。
もし本人がそれを外そうとしたら、すぐに殺すよう関係者は命令されていたから、彼の顔を見た者は誰もいなかった。
ただ監獄長が世話をしていたから、「ベールで顔を覆った囚人」が高貴な身分の人間ではあることは想像できる。

この囚人は実際には黒い布(ベール)で顔を覆っていたのに、後にヴォルテールが「鉄の仮面」と間違って伝えてしまう。
こういうことから「鉄仮面」伝説ができたらしい。
でも彼の素顔を見た人間は一人もなく、この囚人の存在がミステリーだったのはガチ。

No one is known to have seen his face, as it was hidden by a mask of black velvet cloth, later misreported by Voltaire as an iron mask, and the true identity of the prisoner remains a mystery.

Man in the Iron Mask

謎の鉄仮面

 

この「囚人X」は1698年にバスティーユ牢獄に移送された。
もちろんそこでも常に顔はベールに覆われたままで、周囲からは丁寧な扱いを受けていたという。
結局そうして約34年間、獄中で過ごしていたXは1703年11月19日にバスティーユ牢獄で死亡する。
そして「マルショワリー」という偽名で葬られた。
国王の義理の妹が叔母にあてて出した手紙には、この囚人には仮面を外したらすぐに殺すための2人の銃士がそばにいたこと、牢獄では丁重に扱われていて、彼の望むものはすべて得られたと書いてある。

 

鉄仮面と、これが2人の銃士かもしれない。

 

この奇人か貴人の正体は、誰もが気になるところだ。
それでフランス軍元帥や清教徒革命で有名なクロムウェル、さらには彼こそ実はルイ14世本人だったというウワサが流れた。つまり、別人がフランス国王になっていたと。
ヴォルテールはルイ14世の庶兄(母親の違う兄)と考えて、小説家のデュマはこの説を採用し、囚人Xをルイ14世の双子の兄という設定にして『鉄仮面』を書いた。
いろんな説はあるけれど、大臣の手紙から始まったベールの囚人の正体は結局いまも謎のまま。
世界的に有名だけど、誰も知らないというミステリアスな人物だ。

 

この鉄仮面の物語が日本に伝わると、これを元ネタにして『スケバン刑事』、『機動戦士ガンダムF91』、『マジンガーZ』などで新キャラがつくられた。
さらに外見が鉄仮面を連想させることから、車や電車(南海電鉄50000系など)の愛称にもなっている。

 

これは1998年にアメリカで製作された映画『仮面の男』

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。