日本と海外のヒトの分け方地域よりも宗教の違いが決定的

関東と関西では「別もの」で驚く食べ物はなに？

てなことをランキングの専門サイト『ランキングー！』ネットで広く聞いて、その結果を発表した。
（関東と関西「別もの」で驚く食べ物ランキングTOP10）
ここではトップ５だけ載せるので、それ以外を知りたかったら上をクリックだ。

1位：たぬき
2位：ぜんざい
3位：ねこまんま
4位：イカ焼き
5位：肉じゃが

上位３つの関東／関西の違いをカンタンに紹介するとこんな感じ。

関西のねこまんまとは「汁かけご飯」のことで（昔は朝廷の貴族も食べていたとか）、関東のそれは白いご飯に鰹節をかけて食べる「鰹節ご飯」。

あんこの違いから、関西では粒あんのあんこ汁を「ぜんざい」、こしあんのあんこ汁を「おしるこ」と分けている。一方、関東では両方とも「おしるこ」で、お餅にあんこをかけたのが「ぜんざい」だ。

基本的に関西（京都以外）に「たぬきうどん」はない。
関西でいう「たぬき」とは、甘辛味の三角形のお揚げがのってるソバのこと。
つまり関東人の言う「きつねそば」が、関西では「たぬき」と真逆になるのだ。
＊関東では、「天ぷらのタネが抜けた→タネ抜け→たぬき」となって、天かすのあるソバやうどんを「たぬき」と言うらしい。

で、これにネットの反応は？

・和食最高峰の料亭は東京でも全て関西風
・東京の元からあるモノ食うと貧しい土地なんだなぁと思う
・大阪人がマウントするスレ
・関東関西とは言っても東京遷都によって関東が未来永劫日本の中心である
・✕ 関東と関西
○ 日本と韓西
・関東の物も関西の物も、両方美味しく食べられる貧乏舌で良かった

とこんな感じに日本では住んでる地域によって、文化や県民性（ヒト）を分けるのが一般的だ。

関西のぜんざい、関東ではおしるこ　呼び方なぜ違う？（バックナンバーから）http://t.co/Pi6GW7vqPz pic.twitter.com/00aKgdjhn1

— 日経関西 (@nikkeikansai) January 5, 2015

東京出身の知人が大阪でたぬきそばを頼んだら、世界がひっくり返っていてビックリした。
静岡出身のボクとしては、あんかけうどんに揚げと九条ネギをのせた京都の「たぬき」にサプライズ。
関西のなかでもいろいろな違いがある。

京都満喫した。

京都といえばたぬきうどん☆
凄く美味しかったです。
ご馳走様でした。#京都 #たぬきうどん #京都タワー pic.twitter.com/xuWXqcIVUQ

— 中澤奨 (@sho_nakazawa) November 12, 2021

日本では、地域や都道府県でヒトを分けることがよくある。
でも海外では住んでる場所よりも、宗教の違いがヒトの違いになることが多い。

先日１月26日、知人のインド人がSNSに「Happy Republic Day 🇮🇳」というお祝いメッセージを載せた。
何かと思ったら、1950年のこの日にインドで憲法が発布されて共和国になったから、それを記念する日だったでござる。
インドでは価値観や文化の違いから、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の争いがよく起きていて、それを最も大きな社会問題と指摘する人も多い。
だから両者が大事にしている愛国心を事あるごとに刺激して、「国民」としての一体感を高める必要があるとインド人から聞いたことがある。

タンザニア人と話をしていたときも、東アフリカではケニヤ人とタンザニア人、タンザニア人とウガンダ人といった国籍よりも、キリスト教徒かイスラム教徒かの違いのほうが大きいと言う。
この3つの国では言葉（スワヒリ語）や食べ物がほぼ同じで、見分けがつかないほど生活や文化は似ている。だから、価値観・考え方・文化でアフリカ人を分けるなら、住んでる場所や地域よりも、信じる宗教を基準にしたほうがいいらしい。

この事情は欧米でも同じ。
イギリスでは最近、女性の心身に大きな傷を与えることを理由に「処女膜再生手術」を禁止にする方向に動いている。
キリスト教徒には関係ないけど、イスラム教徒の中には「結婚まで処女を守らないといけない」という価値観や文化を大事にする人たちがいて、“そうではない”若い女性に、処女膜を再生する手術を強制することがある。
イギリスでは46万円ほど出せば、こうした手術をするクリニックや病院、薬局があるという。
でも、これを問題視するイギリス政府は、「処女性回復手術」を禁止しようと法改正を進めているところだ。
アメリカやヨーロッパでは性器を刃物で傷つける「割礼」を行うユダ教徒やイスラム教徒がいて、これも社会問題になっている。
イスラム教徒の女性が全身を覆うために着るブルカも、欧米では社会的にどこまで許容すべきかをめぐって反対・賛成の議論が熱い。

こんな感じに、海外では地域や国の違いよりも、その人の信仰する宗教の違いが重視されることが一般的だ。
でも日本だと、「仏教も神道も大事だけど、でも自分は無宗教デス」という人が全国で多数派を占めているから、宗教の違いから大きな社会問題が生まれることも、社会が分断されることもない。
静岡では「飲む水の違いから、東部・中部・西部の人の性格も違ってくる」なんて言われることがある。ヒトの違いを宗教よりも、「水」みたいなアイマイなものに求める発想は、全国的に違和感なく受け入れられると思う。

「関東と関西では、たぬき、ぜんざい、ねこまんまが違う！」という違いを指摘して、アレコレ意見を言い合うのは平和でかわいいものだ。
海外のように、宗教の違いから愛国心を強調しないといけないとか、政府が宗教的な儀式や行動を禁止しようとすることは日本ではまずない。
しかもインドでは「同じ国民」をアピールしても、ヒンドゥー教・イスラム教の争いは終わらないし、イギリスでは「処女膜再生手術」の禁止には大きな抵抗が起こるはず。
関東人・関西人・九州人の違いや対立は「お花畑レベル」だけど、キリスト教徒・ヒンドゥー教徒・イスラム教徒の違いは決定的だし、そこから生まれる対立はけっこう深刻でやっかいだ。