氷河期の日韓関係:日本の誠心誠意に、韓国側はどう応えたか?

 

戦後最悪、マンモスも凍りつくような氷河期にあるいまの日韓関係。
それを少しでも解凍しようと、韓国のユン・ソクヨル次期大統領が派遣した「政策協議代表団」が日本へやって来た。
日本ではどんな対応をされるのかと思ったら、最高の歓迎を受けることができたらしい。

聯合ニュース(2022/04/27)

韓国代表団長 面会の拒否なし=「日本側の誠意感じられる」

同じ代表団がアメリカを訪問した時には、バイデン大統領やブリンケン国務長官との面会は実現しなかった。にもかかわらず、日本では林外相、萩生田経済産業相、岸信夫防衛相、そして岸田首相が面会に応じた。
ほかにも松野官房長官、秋葉国家安全保障局長、森元首相や公明党の山口代表、安倍元首相になんなら立憲民主党の泉代表とも面会を行っている。
これ以上ない日本の誠意とおもてなし。
想像以上の厚遇に「われわれの面会要請を拒否した人がいない。日本側の誠意が感じられた」と韓国側も感銘を受けたようす。

ただ気になる点はある。
訪日団の団長が岸田首相との面会について、

「新しい出発点に立つ韓国と日本が両国の共同利益と未来志向の関係発展のため努力していくことで一致した」
「(韓日関係が発展するためには)互いに努力しなければならないとの認識で一致した」

と強調し、韓国メディアもそれを記事で積極的に伝えていることだ。
こんな韓国の反応に対して、岸田首相は「日韓関係の改善は待ったなしだ」という認識を示したうえで、

「国と国との約束を守ることが国家間の関係の基本だ」

と記者会見で強調する。
松野官房長官も「日本の一貫した立場に基づき、尹次期大統領をはじめ新政権と緊密に意思疎通をしていく」と述べた。
つまり、徴用工訴訟や慰安婦問題で韓国側が約束を破って、国際法違反の状態を生んだことについての是正を求めている。
これが関係悪化の原因なのだから、韓国側にその解決を求めるのは当然。
日韓が氷河期を抜け出して、未来志向的な関係に向かうスタート地点は「国と国との約束を守ること」だ。
でも、韓国の代表団は「日韓の懸案の解決は、一方の努力だけでは難しい」と消極的なことを言う。
韓国側が一方的に合意をひっくり返しておいて、日本に「努力」を求めるのはおかしい。

それに韓国側がまずやらないといけないことはコレ。

朝日新聞の社説(2022年4月10日

日韓関係 「現金化」回避が急務だ

なんだかんだで引き延ばされてきた、日本企業の資産現金化がことしの夏に行われる可能性がとても高い。
もうこれ以上延ばすのはきっと無理。
日本企業の財産を不当に奪われたとしたら、日本政府も黙ってはいられないし、「遺憾砲」をぶっ放すだけでも済まされない。
韓国への制裁はもはや避けられない。
となると韓国側も報復をするだろうから、カオスに突入して、いまの両国関係は一度ぶち壊されることになる。
この「終わりの始まり」を防ぐためにも、次期大統領のユン氏は「現金化は望ましくない」ぐらいの声明を出すべきだ。

でも今回の訪日では、「日本側の誠意感じられる」と代表団は熱烈歓迎に満足しているだけで、日本の誠意に応えた気配がない。
ボクが日韓の報道を見た限りでは、現金化について何も触れていない。

韓国メディアは「国と国との約束を守ることが国家間の関係の基本だ」という一番重要な部分はほぼスルーして、「日本が変わった」と一方的にいう。

中央日報(2022.04.26)

【時視各角】日本の雰囲気が変わった

 

国と国との約束を守ることを求めるという、日本の一貫した立場はまったく変わっていない。
にもかかわらず韓国側は、「互いに努力しなければならないとの認識で一致した」と日本に譲歩させようとする空気をつくっている。
代表団も両国関係を改善させる意思を伝えただけで、具体的には何も言っていない。

面会の拒否は一切なし、日本は求められたものに全て応えたのだから、誰でも「日本側の誠意感じられる」と思うはず。
最悪の関係のなかでも、日本は誠心誠意の気持ちで対応した。
次は韓国側がこの日本の熱い気持ちに、具体的に応えるバンだ。
ユン次期大統領の関係改善に向けた強固な意思はもうお腹いっぱいだから、とにかく具体的な行動を期待するしかない。

 

いま残念な記事を発見。
読売新聞(2022/04/27)

韓国が竹島周辺で精密測量を計画、官房長官が中止要求…来日中の代表団にも申し入れ

きょねん11月、韓国の警察庁長官が竹島へ上陸して日本を激怒させたばかりなのに、なんでまた最悪のタイミングで最悪の選択をするのか。

 

 

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1 個のコメント

  • > なんだかんだで引き延ばされてきた、日本企業の資産現金化がことしの夏に行われる可能性がとても高い。
    うーん、そうですね。私は実際に「現金化して原告団へ金銭が支払われる」可能性は、五分五分だと思います。
    現在、おそらく、韓国側(ユン次期大統領のグループ)が頭をひねっているのは、「現金化はするが(=原告団に金は渡すが)、日本側に実質的な損害を与えない方法」だと思います。たとえば日本企業から取り上げた資産を現金化する際に、購入するのは韓国側政府系機関が行って、実質的に無償で日本企業へ返却するとか。ま、姑息な手段ですけどね。韓国民にその「密約」がバレたら、政権は吹っ飛ぶでしょう。

    > きょねん11月、韓国の警察庁長官が竹島へ上陸して日本を激怒させたばかりなのに、なんでまた最悪のタイミングで最悪の選択をするのか。
    そりゃ、現在の政権は文大統領ですからね。最悪の選択をしない理由がない、当然でしょう。
    断末魔のあがきのような感じがしないでもないですが。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。