韓国紙も不安：ドイツの慰安婦像をめぐる韓国人同士の争い

2017年12月、フィリピンの首都マニラで、とつぜん慰安婦像が登場して日本人を驚かせた。
これは現地の華人団体などが設置しもの。
日本の政府・大使館が強く抗議すると、「（日本を）侮辱するのはもうやめよう」とドゥテルテ大統領と述べるなど反対し、像はすぐに撤去された。
こんな展開がいま期待されているのが、ドイツの首都ベルリンに設置された慰安婦像だ。

ドイツの韓国系市民団体「コリア協議会」が2020年に、ベルリンのミッテ区に慰安婦像を建てて争いがぼっ発。
この像の台座には「第二次大戦中、日本軍はアジア太平洋地域の無数の少女や女性を強制連行し、性奴隷にした」という事実に反する説明があって日本側を怒らせた。
日本政府や現地大使館がドイツ側に像の撤去を求めると、ミッテ区長が同意して撤去命令を出す。
「さすがオレたちの日本政府！」と国民がホッとしたのも一瞬で、このあとコリア協議会らが猛烈な巻き返しに出る。
それが功を奏して撤去命令は撤回されて、像の設置が１年間延長されることになった。
そしてその１年後、２０２１年の８月には、期間がさらに１年間延長されることがきまっていまに至る。
コリア協議会は像の永久設置を求めミッテ区に働きかけていて、日本はそうはさせじとがんばっているところだ。
慰安婦像は撤去されるのか、そこに永遠に残るのか？それとも、また１年延長されるのか？
ことし８月のミッテ区の発表に日韓の注目が集まっている。

いま水面下でそんな”日韓戦”が行われているなんて、ほとんどの日本人は気づいていなかったはず。
岸田首相がそれを思い起こさせてくれた。
ことし４月、来日したドイツのショルツ首相と首脳会談を行った岸田首相は、「慰安婦像が引き続き設置されているのは残念だ。日本の立場とは全く違う」と像の撤去への協力を求める。
まさか首脳会談でこの話題がでてくるなんて、ショルツ首相はまったく想像できなかったと思うが、それは日本国民も同じだったのでは。
韓国でも「日本が首相まで出て全力で撤去を要求し、今後の運命を楽観できなくなった。」（ハンギョレ新聞）という反応が出たから、これはまったく予想外のことだったのだろう。
2015年に日韓慰安婦合意を結んだとき外務大臣だった首相としては、慰安婦問題には強い思いがある。
「事実に反する記載を放置するわけにはいかない。総力戦で撤去の実現を目指す」と語る外務省幹部もいるし、文字どおり日本はいろんな力を結集して取り組んでいる。

慰安婦問題についての見方は韓国内でも複数あって、けっして１つだけではない。
慰安婦の存在は事実だとしても、その支援団体が話す内容には多くのウソがあり、それが対立や憎悪をあおって日本との関係を悪化させているし、韓国にとっても何の利益も生み出さないと主張する市民団体もある。
その団体「慰安婦詐欺清算連帯」のメンバー数名がドイツに渡って、慰安婦像の撤去を強く求めると発表した。
現地では記者会見を開く、ミッテ区の当局者やベルリン市議会に意見書を渡す、像の近くでデモをすると、像撤去のために全方面で活動されるらしい。

だから韓国ではこの行動が物議をかもしている。

中央日報（2022.06.24）

ドイツ少女像撤去を求める集会開催を予告した韓国市民団体の正体

この市民団体の女性メンバーを「代表的な親日極右団体要人」とレッテル貼りをするとか、全国紙が中立公平な立場を放棄している。
そんなことを言えば、岸田首相も大抵の日本国民も「極右」だ。
まあこの女性は韓国で日本製品の不買製品運動が起きたとき、文大統領が安倍首相に謝罪すべきとかなり過激な主張した人だし、「もうちょっと肩の力を抜いて」と言いたくなるところもある。
でも、そんな織田信長みたいな行動力や攻撃力がなかったら、像の撤去を求めてドイツで抗議活動するなんてことはムリ。
でもそうなると、コリア協議会側も黙っていられるワケがないから、いま「迎撃態勢」を整えているという。
だから、中央日報はドイツで両者が激突する事態を恐れている。

一方、コリア協議会などドイツ内の少女像設置を推進していた在独市民団体は彼らの集会に対応する平和集会を開催する予定だ。これを受け、ドイツ現地で韓国市民団体間の摩擦が発生する可能性もある。

像をめぐって、ドイツで韓国人どうしが争いを起こすというのは、現地大使館や本国にいる韓国人にとってはかなりの悪夢だ。
これにはドイツ人も少女像もドン引きでは。

「慰安婦詐欺清算連帯」が現地でどんなコトをして、どんな事態になるのか、それをいま知っているのはオーディンのみ。
この市民団体が日本にとって援軍となるか、それとも「負けフラグ」だったのかは８月になればわかる。
日本とのこれ以上の関係悪化は避けたい韓国政府としても、公では言えないけれど、内心では「撤去になってくれ」と願っていると思う。
像の設置がきまったところで、政府のメリットはほとんどないし、それによって日本を怒らせたときの負担が大きすぎる。
日韓関係を考えたら、撤去が激しく望ましい。
「フィリピンの歓喜」の再来こい。