日本と原告側の冷たい目:韓国政府、困難な立場をより困難へ

 

「戦後最悪」と言われるいまの日韓関係を、「あのころは良かった…」となつかしく思うようになる。
2018年に元徴用工訴訟で韓国最高裁が日本企業に賠償を命じる判決を出して、いまその企業の資産が現金化される手続きが進んでいる。
日本と韓国では過去いろんな問題が起きたけど、一般企業に直接、具体的な損害を与える事態はなかった。
なので、これは絶対に越えてはいけない一線だ。
それを踏み越えて、資産の現金化がされたら日本政府は「遺憾砲」を放つだけでは済まさず、韓国に対して”制裁”をおこなうと言っているから、日韓関係は一度終了し絶望的に悪化することは間違いない。
「戦後最悪」といういまが、「まだあのころは本当の地獄を知らなかった…」と思うほどに。

その目安として、ささやかれていたのが8月15日。
というのは、被告となっている日本企業最が資産の売却命令を不服とし、再抗告を今年の4月15日に韓国最高裁におこない、こういう場合フツウなら4ヵ月以内に結論が出るから。
それで韓国最高裁は8月15日までに、再抗告を棄却する決定を出すのではないか、という指摘がされていた。

つい最近、韓国政府が最高裁に「いま問題解決に向けて、全力で外交努力を続けてます!」という意見書を提出したのはそのためだろう。
これは現金化を遅らせるために、韓国政府のできる究極レベルの手段だ。
いま韓国はどうしようもないほど焦(あせ)っている。

朝鮮日報(2022/07/30)

日本側は自国企業の資産の現金化を両国関係の「レッドライン(越えてはならない一線)」と見なし、韓国側に解決を求めているため外交部は困難な立場に置かれている。

韓国政府 徴用問題で最高裁に意見書提出=「解決へ外交努力」

 

レッドラインを越えればすべてが終わる。
そのまえに問題の解決案を考え出すには、とりあえずそれを先延ばしにして時間を稼ぐしかない。
だから、最高裁への意見書提出という韓国政府のやり方は合理的で、現時点での最適解でもある。
もちろんこれで、最高裁の判断にどんな影響を与えるのかは分からないが、それでも現金化にある程度のストップをかけることができるだろうから、いまは官民協議会を通じて、一刻も早く解決策を出さないといけない。
ただ、韓国政府が重視する「被害者中心」の立場と、日本政府の要求を同時に満たす案をひねり出すのは本当にむずかしい。
しかも、官民協議会を構成する最も重要なメンバーである原告側が、意見書提出について「聞いてないよ~」と反発し、もう参加しないと表明した。

中央日報(2022.08.03)

強制徴用被害者、官民協議会を離脱「外交部、事前協議なく大法院に意見書提出…信頼関係壊した」

原告側は、政府が信頼関係を崩壊させたと謝罪まで要求している。
原告側が抜けた官民協議会なんて、エビの無いエビフライのようなもの。
これで韓国政府の立場はさらに難しくなった。

一方、日本ではこんな動きが…。

TBSニュース(8/3)

自民外交部会など 日韓外相会談の見送りを求める決議を全会一致で決定

林外相と朴外相がきょう4日、カンボジアで会談する方向で調整が行われている。
それに対し、自民党の外交部会などが合同会議を開いて、会談を見送るよう求める決議を全会一致で決定。
理由は、韓国がつい最近、竹島周辺で軍事訓練や海洋調査を相次いで行ったから。
自民党内では「主権に関わる問題では韓国側に断固とした姿勢を示すべきだ」、「韓国は右手で日本に握手を求め、左手がこん棒で威嚇する」といった意見が出て、全員一致で外相会談に反対した。

 

いまの韓国政府はきっと全力でガンバッテいる。
現金化という最悪の事態を避けるために必死で取り組んでいることは、官民協議会をつくったり、最高裁へ意見書を提出したことからも伝わる。
政府が日本と原告側にとって最良の案を考え出すためにしたことだから、これに腹を立てて、協議会からの離脱を発表した原告側がおかしい。

でも、「それをすれば日本は100%怒る」ということを分かっていながら、竹島周辺での海洋調査や軍事訓練を行ったのだから、日本から抗議されるのは自業自得。
これ日本にとっては”挑発行為”でしかない。
さらに言えば5月10日のユン・ソクヨル大統領の就任式で、戦闘機が竹島の上空を飛ぶ映像が流されたことにも日本は抗議している。

未来志向の韓日関係構築に全力で取り組む、懸案を早急に解決する必要がある…なんてことをユン大統領は言うのだけど、やってることが矛盾している。
それでいて韓国外相は、問題解決のためはに日本の「誠意」が必要と言うから、日本の激しい反発を招く。
全会一致で外相会談に「NO!」を突き付けたのはその表れだ。

原告側からも日本からも冷たい目で見られるようになって、「韓国外交部は困難な立場に置かれている」という状況をさらに難しいものにしてしまった。
でも時間は無情に過ぎていって、両国のレッドラインは近づいている。
韓国政府はこれからどうするつもりなんだろう。

 

 

日本 「目次」

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。