元徴用工訴訟で原告側が日本企業の資産を現金化したら、いまの日韓関係は破綻する。
民間企業に具体的な損害を与えるというのは、日本政府に「反省しろー!謝罪しろー!」と叫ぶことと次元が違う。
だからこれをしたら、日本はもはや「遺憾砲」だけでは済まさず、韓国に対して経済制裁をおこなうと何度も言っている。
そんな日本の警告や要望に耳を傾けることなく、韓国はあしたデッドラインを越えてしまうかもしれない。
中日新聞(2022年8月10日)
三菱重工の資産現金化「19日までに確定」 韓国・徴用工協議会で見通し
ただこれは、現金化が19日までに「確定する可能性がある」という見通しを韓国側が示しただけで、確定された未来ではない。
いまのムン政権はブン前政権とは違って、日韓関係の改善にはかなり積極的で意欲的だ。
この危機を見越して先月末、元徴用工問題の外交的解決に向けて、いま政府が鋭意努力しているという内容の意見書を最高裁に提出した。
これで現金化の決定はとりあえず避けられる。
…と思いたいところなんだが、1965年の日韓請求権協定を否定して、日本企業に賠償を命じるというあり得ない判決を出したのは韓国最高裁だから、あした何を言い出すのかは分からない。
それに、意見書の提出でできるとしたら決定の先延ばしで、現金化を中止させることは無理。
韓国政府が日本に納得できる問題の解決案を示さない限り、「死刑判決」の告知が遅れるだけで、本質的な解決にはならない。
読売新聞の社説「韓国大統領演説 対日改善の実行力が問われる」(2022/08/16)のように、いま日本は韓国政府に問題解決に向けた覚悟や意志ではなくて、具体的な行動を求めている。
でも、その案をまとめるため韓国政府が官民協議会をつくったのに、原告側が政府の意見書提出に激怒して不参加を表明したから、協議会は存在意義を失ってしまった。
状況はドンドン悪化していき、順調に進んでいるのは時間だけ。
韓国政府はかなりコーナーに追い詰められている。
いま思えば、パク・クネ元大統領の懸念は本当に正しかった。
ハンギョレ新聞(2018-09-03)
朴前大統領「徴用賠償判決が確定すれば国の恥さらし」破棄求めた
元徴用工問題は、韓国政府が責任をもって解決することだと過去の政権が確認していた。
なのに、その立場や日本との約束をひっくり返して、韓国最高裁が日本企業に賠償責任を認めたからいまのトンデモナイ事態を招来する。
その判決が「国の恥さらし」になることは、国益や現実を客観的にみられる人には分かっていた。
パク政権の時には、政府が最高裁に「新しい争点」が見つかったと主張して、判決を破棄する案が検討されていたという。
ユン・ドクミン駐日韓国大使は現金化された場合、日韓で数兆円、数十兆円のビジネスチャンスを失うことになると危機感をあらわにする。
こうなったら、韓国側がより大きなダメージを受けるのは明白だ。
現金化で「死刑判決」を受けるのはどちらか分かっているから、デッドラインが近づいてくると、最高裁には“自制”や“熟慮”を求めて、外交での解決を求める韓国メディアが増えてきたように思う。
パク・クネ元大統領の失脚は本当に悔やまれる。
とりあえずの山場はあした韓国最高裁がどう動くかだ。
日本の新聞が文大統領に「”反日”体質・歴史のわい曲」と批判。
朴槿惠大統領の失脚は韓国が歴史から後退するというシグナルでした。
その事件以来今まで、韓国は世界から辺境に押し出されています。日本からは”国”として認められていないのが実情です。感性が理性を支配する国、韓国が再び世界の中心に向かって進むためには、革命的な国民覚醒の契機がなければなりません。
朴槿惠大統領とははじめはうまくいきませんでしたが、慰安婦合意を結んでからは急速に日韓はよくなって、自然と通貨スワップ交渉も始まりました。
文政権になってからすべて変わりました。
とても残念です。