東京と大阪を比べた場合、にぎやかなのはオバチャンの声だけではなかった。
デイリー新潮(8/5)
大阪のセミが東京のセミより“うるさい”理由 あなたの街で一番聞こえるセミの声は?
まず改めて、セミがデッカイ声で鳴く理由は何かというと、それはオスが全力で“婚活”をがんばっているからだ。
メスのセミは大きい声に魅力を感じるようで、オスは全身全霊で声を出して選んでもらって子孫を残して死んでいく。
セミが地表にいられる時間はホントに短いから、オスは大きな声を出して自分の居場所を必死に伝えているのだ。
大阪のセミが東京のセミより“うるさい”理由は、大坂のセミのほうが女性により積極的だから。
…ということではなく、東京ではアブラゼミが多くて、大阪ではクマゼミが多いからだ。
鳴き声を比較するとアブラゼミは70~80dB、クマゼミは80~90dBくらいだからこの勝負は大阪の勝ち。
この話にネット民はこう思った。
・大阪弁だから?
・大阪のセミ「ミーンミンミンやんけアホボケカス何ゆーとんじゃオンドレいてもーたろか」
・何年か前、お台場でクマゼミ見つけてびっくりしたよ
・沖縄行ったとき、セミの声が違いすぎて最初セミだと気づかんかった
・クマゼミの鳴き声のがマシちゃうか?
アブラゼミはホントに気に障る
ヒグラシは胸がキュンとする
上のコメントにもあったけど、最近はクマゼミが東京にも進出している。(ホントに吉本の芸人みたい。)
その現象についてデイリー新潮の記事の中で昆虫学者の小松貴さんが、クマゼミは人為的に広まったのではないかと推測しこう話す。
関東地方に越してきたある関西出身者が、力強いクマゼミの声が聞けないのを寂しく思い、わざわざ何百匹か何千匹か、大量に捕まえてきて、野に放った。それが大繁殖していまに至るとか。
もちろんこれはひとつの説だ。
ただ、もしこれが事実だとして、もともといたアブラゼミが存在感を失って、クマゼミが台頭してきたとしたら、関東人と関西人との間で小さな火種になる予感。
なんか昆虫の世界も芸能界と似ているような。
この話で思い出したのが、東京都台東区にある鶯谷(うぐいすだに)の由来。
いまでは想像できないけど、このあたりはかつて、文字どおりウグイスの名所だったのだ。
江戸時代に寛永寺のお坊さんとして、京都から皇族出身の僧・公弁法親王(こうべんほっしんのう)がやってきた。
寛永寺に住むようになった公弁は、このあたりで聞こえる鶯の鳴き声は美しくないと悲しくなる。
それで公弁は京都から3千羽以上の美声をもつ鶯を取り寄せると、それをエイヤっと野に放す。それでこの付近はウグイスの名所として知られるようになり、いまの「鶯谷」の地名ができたという。(公弁法親王)
アブラゼミでは物足りないと思って、もっとパワフルな鳴き声を聞くために、関西人が大量のクマゼミを放ったという話とよく似ている。
個人的には、キレイな鳴き声のウグイスを好む京都人っぽい感性は東京人に喜ばれるけど、やかましいクマゼミは迷惑がられて、関東と関西の分断がさらに進むような気がする。
まー静岡県民のボクにはどーでもいいけど。
ちなみに、ウグイスが谷間にある巣を出て、大きな木に移ることを鶯遷(おうせん)という。そこから転じて鶯谷を「おうこく」と読むと、まだ世の中に知られていない状態を意味する。
つまり才能があって、いずれは高い地位や名誉を手に入れるってこと。
鶯谷は日本でいちばん希望の持てる地名だ。
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