【叱られた日本人】タイとギリシャで宗教・文化への侮辱行為

街のあちこちで咲いてたヒガンバナが咲いている。
仏教では生きている人の住む世界を此岸（しがん）、そしてあの世を彼岸という。

そんな彼岸花にちなんでクエスチョン。
世界三大仏教遺跡といわれるものはミャンマーの「バカン遺跡」とカンボジアの「アンコールワット」、あと一つはどこの国の何か？

答えは、インドネシアにある世界最大級の仏教寺院「ボルブドール遺跡」だ。（上の写真）
最近、そのボロブドゥール遺跡の入場料が引き上げられることがきまった。
するとこの決定に怒った人が抗議の意味で、ボロブドゥール遺跡の仏像に大統領の顔をくっつけた画像をネットに投稿。
結果、彼はヘイトスピーチと宗教への冒とくの容疑で警察に捕まったというオチ。
でも、そんな下らない合成写真を作ってアップしたのは、元大臣だったということで国際的なニュースになる。

AFPの記事（2022年8月7日）

仏像に大統領の顔合成、元大臣を拘束インドネシア

この写真には「大統領へのヘイトスピーチで、仏教を侮辱している！」と非難が殺到し、仏教団体と仏教徒が告発して警察が元大臣の家の玄関をノックした。
もし有罪が確定したら、約900万円以下の罰金が科される可能性があるから、平均年収が約40万円の国でこれは致命傷では？

そんな彼の尊くもない犠牲をムダにしないためにも、今回は日本人が海外でやってしまったマナー違反を紹介しよう。

〇タイ

仏教が広く深く信仰されているタイでは上のように、お坊さんは民衆から見上げられるような存在で常に尊敬されている。
仏像も同じくハイステージにある。
タイには日本でいえば京都のようなアユタヤという古都があって、そこでは木に覆われた仏像のカオがとても有名だ。
だからこの頭部と一緒に写真を撮る人は多い。
その際、注意しないといけないのは、仏像の頭を見下ろすような立ち位置は禁止されているから、必ず低い姿勢にならないといけないということ。
かといって寝転がると敬意を欠いたことになるから、きっと警備員に叱られる。

この頭部だけを写真に収める場合も、上から見下ろして撮ることはマナー違反。
膝を曲げて同じ高さの目線になって、カメラをかまえないといけない。

アユタヤはむかしミャンマーに攻め滅ぼされた都で、その混乱をいまに伝えるように首の無い仏像がいくつもある。
それを見た日本人観光客が「ピコーン！」とひらめいた。
そんな仏像の後ろに立ち、首から上に自分の顔が出てくるような構図をつくって、友だちに写真を撮ってもらう。
元大臣の顔合成と同じようなものだ。
そしたらタイ人の警備員が飛んできて、「そこまで怒るん？」と思うほど叱られたという話を宿で本人から聞いた。
タイ人の信仰心を舐めてはいけない。

〇ギリシャ

大阪の道頓堀へ行った外国人には、グリコのネオンと同じ片足たちのポーズで写真を撮る人がたまにいる。
もちろんこれはOK。
グリコからしたら、むしろアリガトウだ。
たぶんそんな軽いノリで20代の日本人女性がギリシャの美術館で、展示物の石像と同じポーズをして友人に写真を撮ってもらった。
そしたら「コラコラ」と警備員がやってきて、今とった写真を目の前で消去しろと強い口調で言う。
あたりにそんな注意はなかったらしいけど、「ハイ」と素直に応じて警備員の前で画像を消去。
展示物の横に突っ立って、一緒に写真を撮るのはOKらしい。

ということで、ここに登場した日本人観光客はまったく悪気は無かったけれど、タイの仏像では宗教、ギリシャでは芸術を侮辱したと見なされてしまった。
法に違反してなければ逮捕はないとしても、重大なマナー違反として、係員にられてからの画像消去の流れはまず避けられない。
首の無い仏像に自分の顔を出すとか、彫像と同じポーズをとって写真を撮るといったことは、「文化冒とく行為」になって現地の人の神経を逆なでするから要注意。