きょう1月20日は1924(大正13)年に、阪神伝法線(阪神なんば線)の伝法駅〜大物駅間が開業した日。
さてこの「なんば」に注目すると、有名な博多弁に「なんばしよっと?」がある。
この「なんばしよっと?(What are you doing?)」が外国人には「None but shot」(銃で撃つしかない)と聞こえるから、震え上がるというウワサを聞いた。
それで知人のアメリカ人に聞くと、「number」のイメージが強くて「None but shot」は頭に浮かばないと言う。
だからこれは、どっかの日本人が作り上げたネタ話だろう。
「なんばしよっと?」と外国人に言っても、きっと「は?」という顔をされるだけ。
でも、相手を励ます意味で「Do your best!」なんて言っちゃうと、外国人をイラっとさせる可能性が高いから要注意。
日本語の「がんばれ!」は、状況によって相手が適切に解釈してれるからとても便利だ。
だからその分、英語にすると誤解が生まれやすい。
まえにスリランカ人が植物園で花の苗を買った時、店員からこんな言葉をかけれた。
「しっかり手入れをすれば、きっとキレイな花が咲きますよ。ファイト!」
「Fight」は「敵と戦え」のことだから、このスリランカ人には何のことかサッパリ意味が分からない。
これはアメリカにいた日本人から聞いた話。
現地で開かれたマラソン大会に参加したら、沿道の人たちからよく、「You are looking good!」とか「you look great!」といった声が聞こえてきた。
やたら見た目を褒められるから、アメリカ人から見ると、自分のウェアや靴選びのセンスはそんなに良かったのかと思ったら、ぜんぜん違った。
後でアメリカ人に聞くと、それは「いい感じで走ってるね。その調子!」といったニュアンスで、日本人の言う「がんばれ!」の意味と判明する。
こういう時に「Do your best!」は言わないほうがいい。
アメリカからやってきた野球選手に、日本人の監督が「がんばってくれ!」と言ったのを、通訳が「Do your best!」と訳したところ、「オレはいつも全力でプレーをしているんだ!」とその選手が怒り出した。
そんな話をテレビ番組で見たから、知人のアメリカ人に聞くとこんなことを言う。
「あ、それは怒るわ。Do your bestは『最善を尽くす』という意味だから、自分で「I’ll do my best」と言うならいい。でも他人に言われたら、『まだオマエは全力を出していない、もっとしっかりやれ』と思うかもしれない」
状況や相手との関係によって変わるけど、「Do your best」には上から目線の感じがあるから、励ますどころか、ディスリに聞こえる可能性がある。
そういえば、2014年の連続テレビ小説『マッサン』でヒロインを演じたシャーロット・ケイト・フォックスさんには、こんなことがあったらしい。
必死に日本語のセリフを覚えていたのに、日本人から「Do your best」と言われて、批判されたと思ったシャロやんは「全力でやってるのに…。なんで認めてくれないの?」と腹が立ったり落ち込んだという。
でも後で、その日本人は彼女の努力を認めて、「がんばれ!」と励ましていたと知る。
アメリカ人には日本語よりも、日本人の言う英語のほうがむずかしかったというオチ。
You are looking good、Good luck、Keep it up、You can do it、Hang in there、Don’t give up、Go for itを日本語なら「がんばれ」で表すことができる。
そう言われたら日本人なら、この中の“どのがんばれ”なのか正しく理解してくれる。
でも外国人に英語で言うのなら、“どのがんばれ”が正解なのか考えて、言葉をチョイスしないといけないから面倒くさい。
後日談
博多に住んでいたアメリカ人に「なんばしよっと?」について聞いたら、それはすぐに「What are you doing?」と覚えたから特に問題はなかった。
それより彼にとってやっかいだったのは、博多の人がよく言う「あのくさ」で、これを聞くと「何がクサイのか?」と何度も誤解してしまったらしい。
知らない日本人が聞いたら、このアメリカ人と同じカン違いをするかも。
外国人には「なぜ?」の和製英語:コスパ・ハイタッチ・ハイテンション
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