【韓国のジレンマ】目標はG8進出だが、足を引っ張る反日世論

 

韓国が目指す大きなゴールに「G8」のメンバーになることがある。

朝鮮日報(2023/05/01)

G7控える尹錫悦外交…最終目標はG8進出

いま広島で日本、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、アメリカの世界を動かす主要7カ国による首脳会議(G7サミット)が開催されている。
このところ世界における韓国の地位や影響力は高まっているし、経済的には先進国といっていいレベルになったから、このグループに加わって「G8」を構成したいと韓国は熱望する。
それで、日本に招待されて今回の会議に参加することになった韓国は「グローバル中枢国家」として、国際社会で責任と役割を果たす国であることを示すつもりだ。

中央日報にはG8を前提にしたような記事がある。(5/20)

G7に匹敵する国際的な地位と経済力を備えた韓国はG7サミットの常連招待国だ。

G8の前に立つ韓国外交、G7と共に新国際秩序を描く

 

韓国与党の報道官は、

「今回の首脳会議で大韓民国がG7を越えて、G8の一員として十分な資格を備えていることを見せるだろう」

と自信たっぷりだ。
そんな隣国がさっそく試練と直面した。

共同通信(2023/05/20)

G7で福島食材使用、韓国で物議 「尹氏の対応、難しい」と指摘も

今回の広島サミットで提供される食事には、福島県産の食材が使われることになっているから、韓国はかなり困っている。
福島産の食べ物や飲み物は国際的な安全基準を満たしているから、イギリスやアメリカなどのG7メンバーはまったく問題にしていない。
でも韓国では、「放射能に汚染されている」と信じる人が無視できないレベルでいて、今年の夏に開始予定の原発処理水の海洋放出に大反対する人も多い。
ということで尹(ユン)大統領は「食べなければ外交的に無礼になり、食べれば国内で批判される。難しい対応を迫られる」というジレンマにおちいった。
そんなことでハムレット状態になっているのは韓国だけ。

日本の処理水放出については2年前、韓国の海洋水産部や原子力安全委員会などが作成した報告書で「ノープロブレム」という結論がでた。
聯合ニュース(2021.04.15)

汚染水の海洋放出 「科学的に問題ない」=韓国政府報告書

でも、もともとあった反日感情に、「放射能汚染が人体に深刻な影響をあたえる」というデマ情報がタッグを組んでいるから、科学は防戦一方でまだ十分な国民の信頼を勝ち取っていない。
だからフクシマに対する偏見や誤解は、韓国社会にまだ濃く残っている。
2年前の東京五輪でも、アメリカやオーストラリアの監督が福島のモモを食べて大絶賛しても、韓国メディアは沈黙したままだった。
国民感情に反する報道をしたら、事実でも激しく叩かれてしまう。

 

国内の空気と国外の常識の違いから、その間に立たされて苦しむ韓国人はたまにいる。
韓国では「戦犯旗(旭日旗)はナチスのハーケンクロイツと同じだ!」という意見が一般的で、その雰囲気に満ちあふれて、世界に訴えるべきだという声が強まった。
国際社会で問題提起するべきではないかと、言われたカン外交部長官(外務大臣)は「もう少し多くの考慮事項があると思う」、「いかなる方案が可能か、また適正か検討したい」と国会でゴニョゴニョ言った。

中央日報(2018.10.05)

韓国外交部長官「国連に旭日旗問題提起の有無は…」

世界は何も問題にしていないのに、国連で大声で問題提起した場合、注がれる冷たい視線と空気に担当者が耐えられないだろう。
5年が過ぎたいま、もうこんな話はダレも覚えていないのでは?

2022年に旭日旗を掲げる海上自衛隊の艦船がやって来たとき、イギリス海軍(Royal Navy)は熱烈歓迎をしてくれた。

韓国では「アジアのハーケンクロイツ」でも、国際的な認識には「コンニチハ 旭日旗」なのだ。

 

今回の福島食材もそうだけど、韓国人は韓国人によく踏み絵を踏ませる。
G7に匹敵する国際的な地位と、経済力を備えた韓国の最終目標はG8進出にある。
でも、国際常識と国内の反日世論がぶつかったら、きっとまた同じように難しい対応を迫られて、ほかの国の首脳と同じように振る舞えるか分からない。
旭日旗を「戦犯旗」と侮辱的に呼んで、福岡産の食べ物に手を付けないとしたら、日本も韓国を推す気持ちがなくなる。
日韓関係を重視するアメリカは同じ意見のユン政権を支持しているが、韓国で反日的な政権が誕生したら、きっと距離を置くようになる。
ますます遠のくメンバー入り。

ちょうどいまウクライナのゼレンスキー大統領が来日したから、いまの世界情勢的にはこれでG8だ。
大統領がアジアの国へ来たのはこれが初めてで、会議には新しく重要な議題が加わったことになる。
いま欧米はウクライナへ、F16戦闘機を供与するべきかどうかを考えているのに、「福島の食べ物を食べるか拒否するか?」で悩む韓国を見て、「うん。やっぱり大韓民国はG7を越えて、G8の一員として十分な資格を備えている」と国際社会が思うだろうか。
G7を越えて、一人だけ迷子になっているような。
韓国はもうちょっと、国の内外の温度差を埋める努力をした方がいい。

 

いま時事通信のこんな記事と遭遇。(2023年05月20日)

IAEA調査を支持 原発処理水の海洋放出―G7首脳

日本の取り組みを歓迎し、それにゴーサインを出した国際原子力機関(IAEA)の調査を支持するという首脳声明が出された。
この場に韓国がいたら、福島の食べ物以上に困っていたはず。

 

 

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近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

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4 件のコメント

  • 更に言えば、ゼレンスキー大統領を招待しロシアを非難、ロシアを擁護する中国を危惧するG7各国と比肩する待遇を、中国、ロシア、北朝鮮、米国の間をふらふらと足元が定まらない韓国が、何故受けられると思うのか理解に苦しみます。

  • 対中国を念頭にG7が設立する経済安全保障協議会について、韓国は参加する予定はないと距離を置きました。
    「バランサー」を自称して西側諸国の信頼を得るのはハードルがエベレスト級です。

  • このようなコメントを書かなければならない心情が辛いです。
    韓国が経済的には先進国入りできると言われていますが、国際的常識を持った真の先進国になるにはまだまだ遠い道のりがあります。韓国の保守新聞という新聞社の東京特派員という者が、日本が(事実上強制的に)世界の首脳たちが食べたくない福島産食品を食べさせているという記事を書いています。韓国最高水準の新聞が持っている常識がこうなら、その民度は分かるでしょう。

  • >日本が(事実上強制的に)世界の首脳たちが食べたくない福島産食品を食べさせている
    G7は日本の処理水放出を支持する共同声明を出しましたし、福島の食材を不満を言ったというニュースは日本では一切ありません。
    この点、韓国はガラパゴス化しているようですね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。