「話は聞かせてもらった! 人類は滅亡する!!」
このセリフはネット界隈ではわりと有名だから、いまでもたまに見かける。
元ネタはマンガの『MMR マガジンミステリー調査班』で、ノストラダムスの予言の謎を解いていくという内容らしい。
16世紀のフランスにいた占星術師・ノストラダムスの「1999年7の月、空から恐怖の大王が降りてくる」という人類滅亡の予言はよく知られている。(恐怖の大王)
これを信じたまる子ちゃんが絶望して、「どうせ1999年には死ぬんだもん」「遊んでくらすよ」と言ったことも記憶に新しい。
ただノストラダムスの知名度はフランスではいまいちで、日本に仕掛け人がいて大ブレークしただけという話もある。
そもそもまだ地球は回っているし、人類は滅亡するどころか増えすぎていて、このままでは世界的な食糧危機が予想されることから国連は各国に昆虫食をすすめている。
「ノストラダムスの予言は当たる!」と言われることにはそれなりのワケがある。
彼は予言を詩で書いていたから、内容が抽象的ですっごく分かりにくい。
たとえば、これは人類がロケットを打ち上げて、月に着陸したことを予言したという彼のポエムだ。
「彼は月のすみっこに入ってきて
とらわれるところにそして未知の国に
緑の実はばらばらにならび
人はほめたたえ、そしてはずかしがる」
チョット何を言っているのか分からない。というほどあいまいな表現だから、出来事が起きた後でいろんなこじつけが可能だ。
都合よく後付けの解釈ができるから、「ノストラダムスの予言は本当だった…」と言って注目を集める人間が出てくる。
ソース:学研の「ノストラダムスの大予言は本当に当たるの」
ちなみに彼の人類滅亡の予言はこんなもの。
「1999年7か月、
空から恐怖の大王がくるだろう、
アンゴルモアの大王をよみがえらせ、
マルスの前後に首尾よく支配するために」
ノストラダムス
そんな“ノストラダマス”みたいな予言者と違って、古代中国にいた箕子(きし)は本物だ。
彼には本当に未来が見えて、「話は聞かせてもらった! この国は滅亡する!!」と正確に予言した。
いまから3000年ほど前の中国には紂王(ちゅうおう)が治める殷(いん)という国があって、箕子はその王に仕える臣下だった。
あるとき紂王が象牙の箸を作らせたという話を聞いて(かそれを見て)、青ざめた顔で「この国はもう終わりだ」とつぶやく。
いやいやいや、たかが象牙の箸でなんで一国が滅びるのか?
ワケの分からない周囲の凡人どもに箕子はこんな話をする。
「象牙の箸を使うようになると、次は玉(ヒスイ)の器やサイの角の杯(さかずき)が欲しくなるだろう。するとそんな高級な器にふさわしい、すばらしいご馳走を食べたくなるに違いない。人間の欲望にはキリがないから、一度走り出したぜい沢は止まらない。最後には、中国全土の財物を集めても足りなくなるから、国は疲弊して大いに乱れる。だから、わたしはその始まりである象牙の箸を恐れるのだ」
箕子のこの言葉は現実になった。
民衆や側近には恐怖と苦痛をあたえ、自分は地上最高の暮らしをして「酒池肉林」という言葉までうんだ紂王は、それが原因で反乱軍を招来し、戦いに負けて最後は自殺して殷は滅亡した。
箕子ような大賢人なら、象牙の箸だけでここまでの未来が見えた。
「空から恐怖の大王がふってくる」みたいなポエムではなくて、人間の本質をもとに点と点が線で結ばれているから説得力がある。
時間をかけて個人や会社、国を滅ぼす小さな出発点はいろんな形であって、それを見抜く能力はたぶん学校教育とは別のところにある。
日本滅亡という終わりの始まりとなる、「象牙の箸」がいまの日本にないといいのだけど。
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