負けを認めなかったら負けじゃない 日韓戦でよくある精神勝利

 

知ってはいたけど、日本に対する韓国の人たちのライバル心はやっぱりすごかった。
サッカーU-17アジア大会で日本と韓国が勝ち進み、7月2日に決勝戦で対決することになる。
この試合の前日、韓国の知人からメールがきて、それを開けると「あしたは試合を楽しみましょう!」と書かれていた。
残念ながら、日本では地上波でもBSでも放送されないから、ボクは試合を見ることができない。
なので、「ボクの分も楽しんでくれ」と返事をしたところ、「えっ? 日本のテレビ局はこんな国家的な試合を放送しないのですか? それはダメです。少なくともNHKは放送しないといけません」と彼が驚く。
日本で放送されないのは、単純にこの試合の注目度は低く、視聴率をかせぐことができないからだ。
ほとんどの人は試合の存在さえ知らないはず。
ボクからすると、”高校選抜”の試合なのに、韓国国民の関心や期待がそんなに高いことの方が不思議。
やっぱり日本への対抗心は、日本人の想像を超えるレベルにあるのだろう。

で、試合結果は3-0で日本の勝ち。
韓国の方は、試合内容をめぐって大荒れとなった。

中央日報(2023.07.03)

<サッカー>日本でなく審判に負けた…韓国、U-17アジアカップ準優勝

まず韓国にとって、日韓戦は「年齢帯や性別を問わずアジアサッカーのライバル戦」だ。
そんな宿命の対決で、しかも勝者はアジア王者になるのだから、韓国としては絶対に負けられないのに、現実は残酷だった。
この試合について、全国紙の中央日報はこう不満や怒りを隠せない。というか、まったく隠そうとしない。

・審判のいくつかの判定がつぶした。
・決定的な状況でも激しいプレーでもなかったが、審判の判定は厳しかった。
・この場面でも審判の誤審があった。
・明白な誤審だった
・後半37分、審判の決定的な誤審が追加された。

要するに韓国側は、審判の誤審によって試合がめちゃくちゃになっただけで、日本には負けていなかったと言いたいらしい。
ほかの韓国メディアも「盗まれたPK」とか「日本に負けたのではなく審判に負けたという表現が似合う」と審判を非難する。
韓国サッカー協会(KFA)の会長、U―17代表チーム団長、KFA本部長のトップ3がアジアサッカー連盟(AFC)に猛抗議したが、それは受け入れられなかった。
韓国に不利な判定が何度も出された理由として、韓国サッカー協会の会長がFIFA評議員選挙で落選し、”外交力”が低下したことを指摘するメディアもある。
とにかくあの試合で、日本に実力で負けたとは認められないらしい。

韓国語では、そういう態度を「정신승리(精神勝利)」と呼ぶ。
政府のコロナ対策が失敗し、韓国内の死亡者と感染者数は世界最悪のレベルになったにもかかわらず、文政権は「世界が感嘆したK防疫」と胸を張る。
現実を認めない政府に朝鮮日報が怒った。(2022/04/03)

基本さえまともにできず称賛ばかりを望むのは恥知らずな態度だ。K防疫の精神勝利はもう聞きたくない。

「K防疫」という名の精神勝利

 

あの審判の判断について、日本では「適切」か「微妙」とする人が多く、「誤審」と考える人は少ない。
第三者からすれば、誤審に見えたり見えなかったりするギリギリの判定だろう。

ただ日本なら、全国紙だけでなくスポーツ新聞でも「疑惑の判定」と表現し、「決定的な誤審」やと断定することはない。
こちらが納得できなくても、それを判断する権限があるのは審判だということを受け入れているから。
そもそも1点も取れず、サッカーの試合で3点差がついて「審判に負けた」と主張するのは無理筋だ。
立場が逆になっても、「日本サッカーの外交力の低下が誤審を招いた」なんて分析は日本人の発想では出てこない。
日本では試合の放送がないと聞いて、知人が「それはダメです。放送しないといけません」と言った時も、韓国人としては普通の感覚なんだろうけど、こっちとしては正直、ちょっと「ジコチュー」に感じた。
「明白な誤審」と自分の見方を絶対視する態度が、きっと精神勝利につながっている。

誤解のないように言っておくと、試合結果を「判定のせい」とだけ解釈するのは無理があって、韓国メディアの中には、この敗戦を機に、韓国サッカーを根本的に変えていかないといけないと主張する記事もある。
逆説的に考えると、韓国メディアは読者を冷静な分析に導くするために、最初は国民の怒りに共感する記事を書いてストレスを発散させ、ガス抜きをしていたのかもしれない。

 

試合に負けたとしても、自分で負けを認めるまでは本当の負けじゃないーー。
韓国人の「絶対に負けられない」という意識が強すぎて、特に日韓戦ではこんな独特な認識になったのだと思う。
そんな考え方が根底にあれば、「日本でなく審判に負けた(=日本には負けていない)」という精神勝利が全国紙の記事の見出しになるのも納得。
ただ、それだけ国民が日本に対して強いライバル心を持っているから、U-17の試合が地上波で放送されるわけで、その点ではちょっとうらやましいかも。

 

 

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2 件のコメント

  • 韓国メディアの反日精神は世界最高です。
    彼らは大リーグで活躍中の日本選手をはじめ、日本プロ野球(NPB)のスターたちについても注目しながら、日本選手たちが不振な面を集中的にアピールします。今日もそのような記事が1つ掲載されましたが、内容はこうです。「衝撃の33ゲームで0本塁打の鈴木誠也、1111億ウォン投資後悔しないのか?」
    韓国のインターネットメディアで報道されている日本選手のニュースはすべて否定的なニュースだけです。代わりに、韓国人メジャーリーガーについては好評一色ですよね。韓国のニュースだけを見ていると、大リーグは韓国選手がいないとゲームが成り立たないような錯覚に陥ります。
    精神勝利です。
    そして、相手はいつも不振な日本選手たちです。
    韓国メディアは「DISASTER」です。

  • 韓国の貴重な現地情報をありがとうございます。
    読者は「サイダー(気分がスカッとする)」のような記事を読みたいのでしょうね。
    日韓戦で熱くなるのもそれが理由で、負けをなかなか認められないのもそれが原因でしょう。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。