日本のハロウィーンは本場アメリカと違って、大人がコスプレを楽しむ日。
アニメや映画のキャラククターの格好をして、街を歩くだけならいいのだけど、酔っ払いや大量のゴミに悩まされている渋谷区では、ことしは区長が「ハロウィーン目的で渋谷に来ないでほしい」 と、健全な若者は大歓迎だけど、バカ者は来るなとNOを突きつけた。
ハロウィーンのコスプレは基本自由だけど、モノには限度があって、他人に迷惑をかけたり不快感を与えるような格好はイケナイ。
このNG/OKの基準は、その国の価値観を反映している。
お隣の韓国では、2015年ごろからハロウィーンが盛り上がってきて、ソウルの梨泰院(イテウォン)はその“聖地”となった。
日本のコスプレ文化の影響を受けて、この日には好きな衣装を着て街を歩く人が多い。
去年は梨泰院に人が集まりすぎて、約160人が死亡する雑踏事故が発生したから、朝鮮日報はこんな記事を載せた。(2023/10/29)
ハロウィーンまで残りわずか、韓国で懲役刑の可能性もあるコスプレとは
韓国で、そのコスプレをすると警察に捕まり、懲役刑をくらう可能性があるのは警察官だ。
雑踏事故が起きたとき、現場にいた人たちが本物の警察官を「コスプレ警官」と誤解し、多くの人が警官の指示に従わなかったことで被害が大きくなってしまった。
だから今の韓国では、絶対に警官のコスプレをしてはいけない。
日本でも、本物と見間違えるほどリアルな警察官や消防士のコスプレはNG。
でも、外国の警察官やアニメの警官キャラ、ミニスカポリスみたいな、日本の警官とは明らかに違う格好ならOKだ。
基本的に韓国と同じだけど、梨泰院の事故は国民的なトラウマになったから、たぶん日本のほうが基準はゆるい。
これには警察官も苦笑い
日本のハロウィーンでは、二度見や三度見、そして凝視してしまうほど露出度の高いコスプレがよく問題視される。
2022年に、ユバーサル・スタジオ・ジャパンで開催されたハロウィーンイベントでは、複数の女性(インフルエンサーらしい)が下着姿に見える恰好で現れて、「下着ユニバ」騒動を引き起こした。
注目を浴びた本人たちは良いが、USJにとっては迷惑でしかない。
全国のテーマパークでのコスプレのOK基準は、子どもが見ても問題ない恰好だろう。
ハロウィン期間中の街中だとそれがゆるくなり、東京の繁華街では「下着ハロウィン」と話題(問題)になった。
日本にいた韓国人の知り合いに、「下着ユニバ」の写真を見せて感想を聞くと、
「韓国でも、インフルエンサーみたいに目立つことが仕事になっている人なら、これと同じ格好をするでしょうね」
と言うだけで、特に驚く様子はなかった。
一般人の肌の露出度については、彼は日本で違和感を感じたことがないから、たぶん韓国と同じぐらいだろうと話す。
肌の露出については、韓国人女性の方が大胆だと勝手に思い込んでいたから、彼のこの見解は予想外。
それと、もう一つ意外に感じたのが、韓国のハロウィーンでは、日本のアニメキャラのコスプレをする人が普通にいるということ。
たしかに韓国社会には、一般的に反日感情はあるけれど、若い人たちは日本の食べ物やアニメが好きだから、誰もそんなことは気にしないらしい。
彼と話を聞く限り、日本人と韓国人のハロウィーンのコスプレは似たようなもので、価値観は思ったより一致している。
でも、日韓の歴史に関わることについてはどうなのか?
向かって左が十字軍で、右がイスラム教徒の軍
現在のパレスチナ問題を見ても分かるように、異なる民族間での歴史的な対立は「世界あるある」で、深刻さの違いはあっても、それ自体はめずらしいことじゃない。
2020年にカタールでサッカーのワールドカップが開催された際、イングランドのサポーターの格好が問題になる。
イングランドではスポーツの大会で、ファンが十字軍の姿になってチームを応援する“伝統”があって、この時もサポーターが兵士の格好で会場に入ろうとしたら、主催者側に拒否された。
11世紀にはじまった十字軍の遠征では、ヨーロッパのキリスト教軍団が中東でイスラム教徒と戦い、多くの血が流された闇歴史がある。
だから、国際サッカー連盟(FIFA)は、中東でヨーロッパ人が十字軍のコスプレをするのは「イスラム教徒から挑発的」と指摘した。
FIFAが英国人に、IOCが韓国に禁止した「挑発行為」とは?
数百年前の出来事であっても、他人を不快にさせる格好がNGであることは、韓国も同じはず。
韓国で嫌われている日本人といえば、豊臣秀吉と伊藤博文のツートップだ。
韓国にとって、彼らは朝鮮出兵と日韓併合という屈辱の歴史の象徴だから、もし、この2人のコスプレをして街を歩いていたら、韓国国民にとっては挑発的で許せないのでは?
ボクがそんな仮定の話をすると、知人は、そんなことをする韓国人なんて想像できないし、あまりに非現実的だと一蹴した。
彼の感覚では、両国の歴史認識には大きな違いがあっても、韓国の反日感情はボクが思うほど高くなく、日本の嫌韓と似たようなもの。
韓国のハロウィーンで、彼が「それはマズい」と思うコスプレは、日本軍兵士とか旭日旗を使ったものぐらいしか思い浮かばない。
「韓国社会の反日感情を気にしすぎですよ〜」と知人は言ったのだけど、こんなニュースを見ると、やっぱり韓国人の視線は厳しいと思う。
朝鮮日報の記事(2021/07/12)
ヤン・ハンナ・アナウンサー、浴衣着た写真投稿し「バッシング」
女性アナウンサーのヤン・ハンナさんが家族旅行で韓国の古都・慶州へ出かけた。
そこで泊まった宿は日本の「旅館」スタイルを売りにしていたから、ハンナさんも浴衣を着て、家族と食事をしている写真をインスタグラムに投稿した。
すると、どうなったか?
「日本の服を着ることも許されないのか?」といった擁護よりも、「常識がない!」といった批判コメントの方がはるかに多く寄せられ、投稿は炎上し、後に削除された。
日本のアナウンサーがプライベートで、韓服を着た写真をSNSにアップしても、削除に追い込まれるほど批判が殺到するとは思えない。
日韓では、価値観や感覚では似た部分が多くあっても、歴史認識ではやっぱり大きな差がある。
台湾も日本の統治を受けたが、韓国社会とは空気がまるで違う。
2018年にロシアでサッカーW杯が開催されたとき、お天気お姉さんが日本を応援するために、日本代表のユニフォームを着て天気予報を伝えた。
こういう台湾の「普通」は、韓国ではきっと驚天動地の事件になる。
台湾の人たちは日本人より日本が好きかも。
反論できる?「日本人が、外国人の日本料理をインチキと言うな!」
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