【反日教育】韓国が“日本の蛮行”を世界に知らせたい理由

 

昨年末から、いろんな方面で話題になっている Netflixの韓国ドラマ『京城クリーチャー』。
1月はじめには、ネトフリの世界視聴ランキング(非英語作品)で第3位になったから、これを見て影響を受けた人は多いはず。
それはいいとしても、真に受けるとしたら問題だ。

このドラマは第二次世界大戦時に満州(中国東北部)で、生物兵器の研究や開発をしていた機関の「731部隊」が元ネタになっている。
日本語のウィキペディアには、この部隊の活動について「人体実験や、生物兵器の実戦的使用を行っていたとされる」と書いてある。
個人的には、実際に人体実験があったと考えているけれど、くわしい実態はわかっていないから、「〜とされる」という表現が適切だ。
事実が明らかになっていない点については、断定は避けて、慎重な表現をしたほうがいい。

 

初代731部隊長の石井四郎

 

『京城クリーチャー』では、京城(日本統治時代のソウル)の病院で、日本軍が朝鮮人を生きたまま解剖するとても残酷な描写がある。
しかし、このシーンは歴史的な事実ではなく、ドラマを制作した側の「きっと731部隊はこういうムゴイことをしたのだろう」という想像だ。
『京城クリーチャー』は歴史ドキュメントではなく、ホラーエンタメ作品だから、こういう設定をしてもいいが、日本では「あまりにも残虐に描かれている」という不満の声が上がっている。

でも、韓国側ではそこが高く評価された。

中央日報の記事(2024.01.05)

徐坰徳教授『京城クリーチャー』で日本人が731部隊を知った…日本の蛮行広く知らせた」

徐 坰徳(ソ・ギョンドク)さんは韓国の造園学者で、日本では反日活動家や反日ビジネス活動家としてわりと有名な人。
そんな彼がこのドラマについて、日本ではあまり知られていない 731部隊の「歴史的事実が日本のネットユーザーによく伝わった」と拍手を送った。
そして、ソさんはこんなことを言う。

「強制徴用、慰安婦など日帝に弾圧を受けた朝鮮人の姿や関東大震災虐殺など歴史的事実を自然に取り入れた」
「北東アジアの歴史が世界の人々に十分に伝わることを願う」
「日本の加害の歴史が世界に正しく知らされるのに大きな一助をしたのは、やはりKコンテンツの力」

徐さんの言動は過激でも、こういう考え方は韓国で支持されるから、全国紙が積極的に紹介している。
なんで韓国では、“日本の蛮行”が世界の人々に伝わることを願う人が多いのか?

 

 

韓国出身の評論家で、日本研究者でもある呉 善花(オ・ソンファ)さんは、徐さんとはまったく違う意見を持っている。
日韓の歴史に精通している呉さんは「生活者の日本統治者時代(三交社)」という本を書いた。副題は「なぜ『よき関係』のあったことを語らないのか」というもので、徐さんには正座をしながら背筋を伸ばして読んでほしい。

1956年に韓国で生まれた呉さんは、学校で反日教育を受け、日本人の「侵略的かつ野蛮な民族的資質」についてこうならったという。

そういう資質は未だに日本人のなかからなくなっていない、そのことを日本人自身が自覚していない、だから我々は常に日本人にそのことを気づかせるようにし、反省を求め続けていかくてはならない

 

日本人にある「侵略的かつ野蛮な民族的資質」に日本人が気づくよう、韓国人は働きかけを続ける必要がある。
それがなくなるまで、「反日闘争」をしないといけないと学校で教わったという。
しかし、その資質とは何かがあいまいで、「なくなった」と判断する基準もよく分からない。

韓国側が日本に対して繰り返し反省や謝罪を求める背景には、こうした意識があるのだろう。
ちなみに、呉善花さんはこんな意識を持ったまま日本へ来たら、現実とのギャップに戸惑い、考え方を変えていく。
そして、あの統治時代には、韓国人が日本人から果物をもらったり、おいしい漬物の作り方を教えてもらったりした「よき関係」があったことを強調する。
いまの韓国社会では、それが語られることはほとんどない。

いまの韓国の人が望んでいるのは、「日本の加害の歴史が世界に正しく知らされる」ことだ。
『京城クリーチャー』の制作した側で責任ある立場の人たちは、呉さんと同じような「反日教育」を受けた世代だろう。
こうしたドラマを制作し、世界に公開することで、日本人に「侵略的かつ野蛮な民族的資質」を自覚させようとしている。
このドラマの背後には、そんな気持ちがあるように感じる。
日本人にそんな使命感はないから、「あまりにも残虐に描かれている」と思ってしまう。

 

韓国の時代劇には、事実(ファクト)とフィクションを混ぜた「ファクション」がよくある。日本でも公開して儲けることを意識した作品なら、一定の配慮が働き、「反日度」は薄くなることが期待できる。
しかし、動画配信サービスで世界をターゲットにした作品だと、そんな遠慮や配慮は必要ない。

むしろ、「日本の加害の歴史が世界に正しく知らされる」という高評価を期待できる。
だから、「日本の蛮行を広く知らせた」という作品は、これからもリリースされると思う。
「ファクション」から、ファクトとフィクションをしっかり区別しないと、歴史の誤解はどんどん広がっていく。
これは日韓関係に、ボディーブローのように少しずつ悪影響を与えていく。
しかし、いまのところ、それを止める有効な動きは見当たらない。
統治時代には、日本人と韓国人のほのぼのした交流、「よき関係」があったことを描く韓国ドラマが公開されるといいのだけど。

 

 

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

【日帝残滓】韓国の伝統的な遊びも、日本の“民族抹殺政策”

「東西南北」も日帝残滓!ソウル市の”反日指示”に学校が悲鳴

 

2 件のコメント

  • 私の両親は日本統治時代の朝鮮で生まれ育った方々です。
    私は1962年生まれで、私が学校に通っていた頃も日本の蛮行について勉強しました。
    ある日、”日帝時代に日本人が朝鮮で行った蛮行について親、祖父母に聞いて調査してこい”という宿題をもらいました。私は母にこう質問しました。「お母さん、日本人は私たちにどんな悪いことをしましたか?」 私は日本刀を持った日本の警察が朝鮮人を殴りつけ虐待したという話が出てくると期待しましたが、母親の答えは全く違いました。「日本人は公平で礼儀正しく親切な人たちだった」 こんな答えを書いて行っては、宿題の点数がめちゃくちゃになるのは明らかでした。「いや、お母さん、日本が朝鮮人を虐待した話をしてください」。
    母の答えはこうでした。
    「そんなのないよ?」

  • 韓国ではあの時代、日本人と韓国人が仲良く生活していた事実は語られません。
    韓国メディアの報道は、その反対のものばかりです。
    そういうことを言ってはいけない空気があるのでしょう。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。