歴史は生き物のように、時間の経過とともに「進化」する。
645年に中大兄皇子らが蘇我入鹿(いるか)を倒した出来事を「大化の改新」と覚えている人も多いと思うが、現在ではそれを「乙巳(いっし)の変」という。
また、鎌倉幕府が成立したのはイイクニではなく、1185年とされる。
日本の歴史教科書の内容はこんな感じに、新しい事実や説が登場するたびに変化を繰り返す。
それについて隣国では、とてつもなく気になる内容があるらしい。
中央日報の記事(2024.03.23)
日本、また歴史歪曲…中学教科書、従軍慰安婦表現を抜いて徴用強制性を希釈
慰安婦の存在について韓国社会では一般的に、日本軍が朝鮮の女性を強制連行し、性奴隷にしたと考えられている。また、日本は朝鮮人を徴用工として強制連行したとされている。
しかし、日本の中学生が来年から使う教科書の内容が変わり、韓国の歴史認識とは反対の方向へ進んでいる。
たとえば、ある歴史教科書はこれまで慰安婦について、「朝鮮・中国・フィリピンなどから女性が集められた(いわゆる従軍慰安婦)」と書いていたが、今回は「日本・朝鮮・中国・フィリピンなどから女性が集められた」へと変えられた。
また、徴用工についてこれまで、
「朝鮮や台湾にも徴兵や徴用が適用され、日本の鉱山や工場で厳しい労働を強いられた」
という文章を載せていた教科書は、今回その内容をこう変更した。
「朝鮮と台湾にも一部の徴兵と徴用が適用され、日本の鉱山や工場で厳しい環境の中で働いた人たちもいた」
「従軍慰安婦」や「強いられた」という表現がなくなり、日本による「強制」の要素がかなり薄くなったことに、韓国としてはイライラが止まらない様子。
それに、竹島(韓国名:独島)を「日本固有の領土」と明記した教科書が増えた点も、韓国としては納得がいかないらしい。
「また歴史歪曲」の枕ことばからわかるように、日本の教科書や歴史教育は以前から、「加害性」を薄める方向へ進んできた。
これは2021年に日本政府が徴用工について、「強制連行」という表現は不適切だと閣議決定したことなどが影響している。
日本としては正しい方向へ「進化」しているのだけど、韓国にとっては自国の認識と矛盾するから、それは「歴史の歪曲」とみなされ、「両国関係改善の雰囲気に悪影響を与えかねない」との指摘が上がっているという。
ハンギョレ新聞は中央日報とは立場や価値観は異なっていても、「歴史歪曲」については完全に一致する。(2024-03-23)
尹大統領の「歴史問題譲歩」後、日本の教科書は歪曲進んだ…強制動員を全面否定
来年から日本の中学生が学ぶ教科書には、徴用工の存在は合法であったことが強調され、「日本の植民地被害補償は韓国政府の役割」と書かれているという。
ハンギョレ新聞はこれに対し、「日本教科書の歴史歪曲が一層露骨になっている」と反発した。
中央日報と同じように、日韓関係を「より一層激しい対立に追い込む危険性が高い」と懸念する文を掲載している。
しかし、広く世界を見渡してみれば、歴史認識が国によって違っていたり、真逆だったりすることはよくある。
ナポレオンはフランスにとっては英雄でも、スペインにとっては残酷な侵略者だ。
植民地時代、イギリスの要人を殺害したチャカペル兄弟は、イギリスにとってはテロリストでも、インドではヒーローになる。
ほとんどの国では相手国との友好関係を重視し、立場や見方の違いを認めている。
自分たちの認識が唯一の真実で、それ以外を「歴史歪曲」と非難し、他国の歴史教科書に“内政干渉”をしてくるのは韓国ぐらいでは?
今回の内容変更について、韓国のある造園学者は文部科学大臣にこんな抗議メールを送った。
「日本政府は未来世代である中学生に対してうその教育をやめて周辺国家に対する基本的な礼儀から尽くしてほしい」
日本が韓国の歴史教科書に同じコトを言ったら、韓国はその無礼を絶対に許さない。
自分だけが正しい、特別すぐれていると自負することを日本語で「唯我独尊」という。
中国の歴史認識も韓国とは違う。しかし、韓国側が中国へ「また歪曲が進んだ」「うその教育をやめて」と抗議するのは見たことがない。
こういう二重基準や独善的な態度こそ、日韓関係を悪化させているのでは?
日本の大人にとっては、大化の改新や鎌倉幕府の成立のほか、慰安婦や徴用工問題についての認識が変化していることも知っておいた方がいい。
私は韓国であのニュースを直接見た者として非常に情けないと思いました。
改めて韓国の歴史教育に問題が深刻だということに気づきました。新聞記者といえばその社会でも非常に高いレベルの知識を持った人たちなのですが、そのマスコミさえも韓日近代史をきちんと理解できていないということは、その国の歴史教育に根本的な問題があるからです。記者の過ちなら、学校で歪んだ歴史教育を受けたということでしょう。ですから、日本に対する誤解と敵愾心には与野党、左右の区別がありません。ハンギョレ新聞と中央日報が日本に対しては同じ声を出している理由がまさにそれです。韓国の多くの人々が日本を旅行しながら日本を楽しみながらも、帰って来て反日行動をするのはまさにこのような根本的な歪曲された歴史教育のせいです。
歴史認識の違いは世界中の国であります。
しかし、他国の歴史教科書の内容を自国の考え方に変えようとするのは韓国だけでしょう。
日本が同じ主張をしたら、どうなるか。