【日本人の発明力】アジアの夜を変えた機械・カラオケ

 

おっと、先日の4月18日は「発明の日」だったか。
1885年のこの日に「専売特許条例」が公布されたことに由来して、この記念日がつくられた。
日本の特許登録件数はかつては世界1位をキープしていたけれど、最近では中国や米国に抜かれ、3位が定位置となっている。
腐ってもタイ、それでも世界トップスリーの座を維持しているなら、客観的に見て日本はスゴイ。

実際、日本人には発明の才能があるのだ。
例えば2017年に、米CNNは「世界を変えた日本の発明品」として次のものをピックアップした。

カラオケ、自撮り棒、トヨタ・カローラ、任天堂のゲーム機、プレイステーション2、ウォークマン、うま味、四角スイカ、数独、VHS、柔道

ということで今回は、日がまた昇ることを願って、井上大佑(だいすけ)さんによる大発明を紹介しよう。
その功績によって1999年に彼は、昭和天皇、ガンディー、毛沢東らとともに「20世紀で最も影響力のあったアジアの20人」の1人に選ばれた。

 

競争の激しいテレビ業界で、日本人に長い間愛されているのが『NHKのど自慢』。
この番組は戦争が終わった翌年、1946年にスタートした。
みんなで楽しく歌を歌ったり聴いたりして、社会の雰囲気を明るくしたかったという思いが込めれられていたのでは?
その後、この番組では若者の出場者が減ったが、その後、ふたたび増加に転じた。これは、カラオケボックスの普及が原因にあったと言われる。

カラオケとは、「空(から)」と「オケ(オーケストラの略)」をくっつけた言葉で、もともとは放送業界で使われていた用語だった。
演奏をテープなどに録音し、それを流して歌手が歌うことをカラオケと呼んだらしい。
生演奏に比べると、これならかなり安く番組を制作することができる。
やがてカラオケボックスが登場し、庶民が楽しむようになった。

 

歌を歌ったり聴いたりすると、ハッピーな気分になるのは人類共通だから、カラオケは中国や台湾など漢字文化圏では「卡拉OK」、英語で「karaoke」、フランス語で「karaoké」、そしてロシア語では「караоке」として世界中で広がっていく。
2003年にはフィンランドで「カラオケ世界大会(Karaoke World Championships)」が開催され、その後規模が拡大し、現在では約30カ国が参加している。
韓国でカラオケが「ノレバン」(歌の部屋)と呼ばれているのは、日本語を使うことに対する“ためらい”があるためと思われる。
関係ないことだけど、中国を旅行していた時、中国語を知らない日本人が「卡拉OK」と書かれた看板を見て、「上下OKの店!」と何かエロい誤解をしたという話を聞いた。

 

この発明をしたのが井上大佑氏。
世界中の人たちを笑顔にした功績が認められ、1999年に米メディアの『タイム』誌で、「今世紀もっとも影響力のあったアジアの20人」に昭和天皇、ガンディー、毛沢東らとともに選出された。彼は、「毛沢東やガンディーがアジアの生活を変えたように、井上はアジアの夜を変えた」と評価される。
しかし、これはもう“過去形”だ。
その後、カラオケを発明したのは別人だったことがわかり、彼は現在ではウィキペディアに「発明者を自称する人物」と紹介されている。
それでも、日本人が「アジアの夜を変えた」発明をした事実は揺るがない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。