【格差社会】米国の買い物がベトナム・ポーランドより“安い”件

 

今回は、以前日本に住んでいて、いまは母国に戻って働いているアメリカ人女性の話を紹介しよう。
ちなみに、彼女の背景はちょっと複雑だ。
両親はベトナム人で、彼女自身はポーランドで生まれ育ち、アメリカの大学を卒業して現在はアメリカ国籍を持っている。
そんなインターナショナルな人物から、「異国のお買い物」について話を聞いた。

 

ーー久しぶり、最近はどんな感じ?

いま、ポーランドからお母さんが来ているから、ここ最近は彼女の相手をしてるの。

ーーお母さんは何をしているの?

毎日買い物。
きのうはメイシーズ(アメリカの有名百貨店)へ行ったし、このまえはアウトレットモールに朝10時から夜の9時までいた。
どんだけ買い物が好きなんだと。

ーー朝から夜までアウトレットモールにいて、お母さんはどれくらい買い物をしたの?

1500ドルぐらいかな。

ーーワオ。
日本ではつい最近、1ドルが160円台になって、「1990年4月以来、34年ぶり!」って大きなニュースになったんだ。
それで計算すると
24万円か。

それでも、本人は「ポーランドで買うより安い!」って喜んでいた。

ーーえっ、アメリカの方が安い? それはかなり意外。
日本では円安の影響もあって、「アメリカの物価がヤバすぎ!!!」と言う人がすごく多い。
ネットを見ると、サンフランシスコではファストフードのような店のハンバーガーが1つでおよそ4000円、バーでちょっと飲み食いして3万4000円したと書いてある。

母は高級な服やバッグ、靴なんかをよく買う。
ポーランドでそういうものは輸入品で、税金がかかってかなり高いから、アメリカのアウトレットモールで買った方が安いみたい。
それにスーパーで野菜や果物を買っても、「ベトナムより安い!」って言ってた。

ーーいやいやいや、アメリカの野菜や果物がベトナムよりも安いっていうのは、さすがにないでしょ。ネットを見ると、ベトナムの平均年収は 5184万ドン(約 25万円)って書いてあるし。

ベトナムは貧富の差が大きいの。
だから、お金持ちは一般の人とは別世界に住んでいて、口にするものも違う。
リッチな人たちは健康を重視して、安全な野菜や果物を買うから、そういうのはめちゃくちゃ高い。でも、市場で売ってる野菜や果物ならすごく安い。
商品の値段にもすごく差があるわけよ。

ーーそういう格差を否定して、平等を実現するのが共産主義じゃ…。
それにしても、日本ではアメリカの物価に悲鳴をあげている人が多いから、ポーランドやベトナムより安いって聞くと、なんか新鮮な感じがする。

世界的に見て、日本は格差が小さくて平等な社会だから、その感覚で外国を考えると誤解しやすいと思う。

ーーなるほどデス。

 

今回登場したお母上は1日の買い物で 24万円も使えるような人だから、明らかにポーランドやベトナムの「一般人」とは違う。
とくに発展途上国では金持ちと貧しい人の差が大きいから、平均年収はあまり参考にならない。
日本人がアメリカの物価に衝撃を受ける一方で、「アメリカの買い物はお得!」と笑顔がとまらないポーランドやベトナムの観光客がきっといる。
このアメリカ人の言う通り、世界的に見ると日本の社会はわりと平等だ。それを認識しないで、自分の常識や感覚をそのまま外国に当てはめて考えると、今回のボクのように驚くことになる。

 

 

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1 個のコメント

  • > このアメリカ人の言う通り、世界的に見ると日本の社会はわりと平等だ。

    いやいやいや、「わりと平等」どころじゃないと思いますよ。ものすごく平等です。
    東南アジアでも、インド他南アジアでも、アメリカでも、ヨーロッパでも、国家内での個人間の貧富の格差は、一般日本人には想像を絶するものがあります。
    でもある意味、それこそが自由市場資本主義の成熟した姿なのですけどね。
    今まさに中国がその方向へ疾走しているところ。いや、その段階という点では既に日本を追い越したかな・・・。

    戦争や革命の代わりに「経済競争を許容する」自由市場・資本主義は、果たして人類全体に幸福をもたらす(少なくとも許容範囲内で)ような考え方と言えるのでしょうか・・・。
    反論はできるでしょう、でもそれに代わり得る現実的なモデルがない。理想主義者のマルクスは既に失敗しています。かと言って、もちろん宗教なんか馬鹿げた妄想モデル(=社会的な麻薬)に過ぎないのは明らか。こうなったらAIにでも発明してもらいましょうか?
    もしかすると、これこそが、21世紀の人類が解決すべきメインテーマとなるのかもしれません。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。