今年の2月、自民党の若林議員が「X」にこんな投稿をしたと、共同通信が報じた。(2024/2/22)
自民若林氏、クルド人憎悪あおる 「国にお帰り」とSNSに投稿
今回は、この言葉が憎悪をあおるヘイトスピーチになるどうか、考えてみよう。
先日、川口市の小山議員が「市民の生活に寄り添った活動をしていきたいため」との理由で、所属していたれいわ新選組を離党した。
そのい大きな理由は、きょねん埼玉新聞が報じたこの出来事と関係あるはずだ。(2023/08/12)
迷惑あおり運転、100人が病院で大騒ぎ…暴走する一部外国人、相次ぐ苦情 問題の背景は 騒動を取材<下>
昨年の7月、クルド人同士の殺人未遂事件が起こり、けがをした人が「川口市立医療センター」に運ばれると、約100人のクルド人が集まって大騒ぎとなる。
最終的には機動隊員が出動し、5人が逮捕された。
これで病院を利用できない事態になり、川口市民からは不安の声が広がったという。
この出来事が起こる前から、一部のクルド人が市民に恐怖や不快感を与えるような行為をしていたことが問題視され、6月に川口市議会は「一部外国人による犯罪の取り締まり強化を求める意見書」を可決した。
ボクは静岡県民で何の権限もないけれど、これには賛成だ。
暴走する一部の人たちに厳しく接することは、結果的にはクルド人全体の利益にもなる。
今この問題は、日本の多文化共生にかかわる件として注目されている。
今回、れいわ新選組から離れた議員も意見書に賛成した。
議員は、自宅の前で毎日のように暴走車両が走っていて、近所からは苦情が殺到し、見過ごすことはできなかったという。ただ、この意見書に賛成したせいで、党内で苦しい立場に立たされたという。
結局、議員は「市民の困っていることに寄り添いながら活動していくため」には、離党するしかないと判断した。
ここで、話を冒頭の記事を戻そう。
特定の民族であることを理由に「日本から出ていけ」や「国へ帰れ」と言うのは、たしかにヘイトスピーチにあたる。
今回、若林議員はこう言った。
「日本の文化・しきたりを理解できない外国の方は母国にお帰りください」
この言葉だけを見れば、個人的には、ヘイトスピーチや差別的行為にあたるとは思えない。
ネットでもそう感じる人が多く、むしろ「若林氏は、こうした動きを背景に憎悪をあおった形だ」という報道に対し、異論反論が噴出した。
差別的な表現や侮辱的な内容があると削除される「ヤフコメ」を見てみよう。
「こういう煽り記事が更に問題を複雑化させてるだけで、川口の実態を見たら若林氏の言っている事は至極真っ当な意見だと思うけどね」というコメントに対し、「共感した」が3.5万で、「うーん」は3096。
「この発言のどこが差別なんだろうか。 むしろマスコミが問題を大きくしようとする意図が見える」には、共感が1.5万で、うーんは733。
「ルールを守れない人は帰れ、というのはどの国どの文化でもそうなのでは?」に、共感が1.2万で、うーんは581。
つまり、世論は圧倒的に議員の発言を支持し、この報道の仕方に問題があると考えていることがわかる。
若林氏は「差別する気は一切ない」と説明し、発言の撤回はしなかった。
それから約3ヶ月が経った今、この発言は忘れ去られているのだから、国民は「問題なし」と判断したということだろう。
これで思い出すのは、2017年に反移民を掲げる極右政党を意識して、オランダの首相が国内の外国人に対してこう強調したことだ。
イギリスBBCの記事。(2017年1月24日)
ルッテ首相は新聞広告で「普通に振る舞え。さもなければ出ていけ」と主張。自由を求めてオランダに来たはずの人たちが、その自由を乱用しており、国民は反感を強めていると指摘した。
「いやなら出ていけ」 オランダ首相が意見広告 反移民ムード背景か
オランダ社会への適応を拒否し、オランダの価値観を批判する人たちは「出ていけ! ここにいる必要はない!」と首相は語った。
オランダのメディアが「憎悪あおる」と報道したという話は聞かないし、国民はこの姿勢を支持し、ルッテ首相はこの時の選挙に勝利した。
多文化共生において、オランダは日本のはるか先を行っている。
外国人の権利は尊重するが、一部の人たちが自由を乱用すれば、国民は反感を強めて多文化共生はうまくいかなくなる。
これは今の日本にも当てはまる。
「市民の生活に寄り添いたい」と離党した議員も、厳しい現状を知っているからこそ、そんな危機感があったのでは。
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