「海外に流出した韓国の文化遺産の４５％、約１１万点が日本にあり、３点が国宝に指定されている！」
韓国で国会で、パク・スヒョン議員がそんな発言をして注目を集めた。
『オーマイニュース』（24.10.10）
박수현 “반출된 한국 문화유산 3점 일본 ‘국보’돼… 적극 환수조치해야”
（パク・スヒョン「持ち出された韓国文化遺産３点が日本の“国宝”になっている。積極的に返還措置すべき」）
新羅時代の「蓮池寺の鐘」、高麗時代の「高麗国金字大蔵経」、朝鮮時代の「大井戸茶碗」が日本の国宝に指定されている。この中の蓮池寺の鐘については、１０年ほど前から返還を求める動きが進んでいるが、現状はとても厳しいという。
理由はとってもシンプルで、日本がこの鐘を略奪したという証拠が見つからないから。違法行為がなかったら、返還を求めることはできない。そういう場合は所有者と話し合い、合意を結んで買い取ることが世界では一般的だ。
しかし、パク議員にそんな考えはないらしく、韓国が国をあげて日本に強力な返還措置を行うべきだと主張する。
その始まりというか根拠は、「壬辰倭乱（朝鮮出兵）の際に日本によって略奪されたとされる」という推測だ。韓国では、具体的な根拠よりも、「壬辰倭乱によって貴重な文化財が日本に略奪された」というイメージが優先される傾向があって、それが日韓のトラブルの原因にもなる。
２０１２年に対馬の仏像が韓国の窃盗団に盗まれた。韓国でそれが発見されると、韓国のある寺院がこの「略奪理論」を持ち出して所有権を主張すると、なんと裁判所が認めてしまった。
最終的には、最高裁が仏像の所有権は日本の寺にあると認めて終わったが、そもそもこんな先入観がなかったら、結論はもっと早く出ていたはずだ。
韓国ではそんな偏見が昔からある。
１９世紀の終わりごろに朝鮮半島を旅行した日本人の本間九介は、現地でこんな話を聞いたと記録している。
「八道（朝鮮全土）の王陵・古墳で、倭寇によって発掘されなかったものは、 ほとんど稀である」
韓国側は、先ほどの文化財が日本にわたった原因を探しているが、１０年以上も「不明」のままだから、返還運動は進んでいない。それでパク議員は、政府が「文化財略奪の違法性を証明」するため、積極的に流出原因を解明するべきだと強調する。
韓国のネット民の反応は、「日本は恥じるべき」「海賊のような国」という批判もあれば、「日本が大切に保管していたから、いまでも原型のままで存在している」と好意的な意見もある。
まぁ、全体的には後者は例外的だろうけど。
「わが国にあった貴重な文化財が過去に日本へ奪われた。日本が略奪したものを取り返すことは当然であり、正義を立て直すことにもある」
韓国では一般的にそんな見方が支持されている。
１０年前にも、韓国の議員がそんな論理に乗っかって、日本は約６万７０００点もの韓国の文化財を所蔵していて、その多くは「日本の統治時代に違法・不当に持ち出されたものであり、国際法的に返還されるべきもの」だと国会で主張し、返還を促す決議案を発議した。
朝鮮日報の記事（2014/08/01）
略奪された文化財、韓国与党議員が日本に返還求める決議
この時は、日本が違法に奪ったと韓国側が推定する文化財について、日本政府が「誠実な調査」をすることを要求した。しかし、その後、この話は聞かない。あまりに感情的で一方的な内容だったから、国会で可決されなかったのだろう。
それを考えると、今回のパク議員は韓国政府が調査するよう求めているから、この１０年の間で「進歩」はあった。
以上、ここまで話してきたことについては、実はすでに決着がついている。
ソウル在住のジャーナリスト、名村隆寛氏が産経新聞のコラム『倭人の目』でこんな指摘をした。（2014/12/24）
日本は１９６５年の日韓基本条約に従い、約１３２０点の文化財（正式な売買で日本に渡った物も含む）を韓国に引き渡しており、問題は解決済みだ。
韓国から日本に渡った文化財は全て略奪品だというのか…韓国内で冷静論を封じる一方的な「日本強奪史観」
韓国から日本へ流出した文化財は１１万点もあるらしい。
いまになって、それらは売ったか贈り物として渡したか、それとも略奪されたのかを解明することは不可能だろう。
不当に奪われたと判明したら返還要求をするべきで、まずイメージが先にあって、後から根拠を探すマネはしないほうがいい。
どうしても韓国に戻すべきと考えるのなら、お金を払って買い戻すべき。
最上策は、「貴重な文化財を根こそぎ日本に奪われた」という思い込みを捨てることだ。そうすれば、愛国的な使命感や無理な返還要求がなくなって、韓国も日本もラクになる。
１０年以上探しても、根拠が見つからないのだから、これからは現実を受け入れる努力をしたほうがいい。
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