日本人の韓国旅行 70年代にあった考えられないコト

 

本日12月18日は、戦後日本にとっていくつか重要な出来事があった日だ。
まず、アメリカに降伏した3年後の1948年のこの日、日本を占領していたGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が日本経済を成長させるため、賃金の安定や物価の統制といった内容の「経済安定9原則」を提示した。(ドッジライン
こうした政策を行ったり、国民が猛烈に働いたりして、日本経済はフェニックスのように復活し、国民が海外旅行へ出かける土台ができあがる。

日本は経済力をつけると同時に外国の信頼を取り戻し、1956年12月18日に国連へ加盟して国際社会に再び戻ってきた。
この年の最後の2つの数字をひっくり返した1965年の12月18日は、日本が隣国との信頼関係を成立させた日でもある。この日に日韓基本条約の批准書交換式が行われ、両国の国交が成立し、現在に続く日韓関係が始まる。

 

それからおよそ10年後、韓国を旅行した日本人が現在では考えられない経験をした。

彼が市内を歩いて回り、気に入ったところでカメラを向けて写真を撮って、観光を楽しんだ後にホテルへ戻った。するとその夜、とつぜん誰かが「トントン」とノックをする。ドアを開けると、眼光の鋭い数人の男たちが立っていて、「おまえは昼間、どこに行って何をしていた?」と質問をぶつけてくる。
「これはただごとではない。何かマズいことに巻き込まれている」と察した日本人旅行者は、その日にしたことを素直に話した。
じつは、彼らは韓国民が恐怖した韓国の情報機関(KCIA)の人間だった。

1961年に軍人だった朴正煕(パク・チョンヒ)がクーデターを起こし、政権を掌握して自身が大統領に就任して韓国を統治するようになる。彼は優秀な軍人からなる10万人規模のKCIAを組織し、国内で暗躍する北朝鮮の工作員の摘発を行わせた。
朴はこの機関に国内も見張らせ、自分に反対する国民がいたら、国軍保安司令部の「西氷庫(そびんご)」などへ連行し、拷問を行って殺害することもあった。
そのため、朴は当時の国民から恐れられ、現在の韓国では彼を「独裁者」と呼ぶ人もいる。

話を戻すと、あの日本人はKCIAの職員から、「日本人旅行者を装った北朝鮮のスパイ」と疑われたため、身元を確認されたのだ。
当時の日本に対して韓国は貧しく、カメラで写真撮影をしながら歩き回る行為はすごく目立つ。その様子を見てあやしんだ市民がKCIAに連絡(密告)をして、エージェントがひそかに彼を尾行していた。
“尋問”で彼の言ったことと尾行した記録が一致し、荷物やホテルの室内を調べてもあやしいものが何も出てこなかったため、KCIA側が彼を本当にただの観光客と判断して一件落着。

 

以上の話は、15年ほど前にボクが韓国旅行で利用した日本宿にあった本に書いてあったコトで、それを読んでかなり驚いた。
ただ、ずいぶん前の記憶で、その本のタイトルや著者の名前も忘れたし、細かい部分で間違いがあるかもしれないが、だいたいそんな内容だったという自信はある。
朴時代を生きた韓国人の日本語ガイドに聞いても、当時の韓国社会なら、それは十分あり得ることだと太鼓判を押す。

ちなみに、朴大統領は1972年に戒厳令を宣言した。
これは大統領に権限を集中させ、政治家による活動が禁止され、違反する人間は令状なしで拘束できるという非常措置で、民主主義を否定するものでもある。
今月の3日、尹大統領も戒厳令を宣言したから、韓国社会は大混乱に陥った。戒厳令は6時間後に解除されたが、知人の韓国人は「軍国主義時代の亡霊が現れました!」と興奮気味に話していた。
今の韓国は「もう大丈夫です!  安心して旅行できます!」と日本人に訪韓を呼びかけている。
KCIAも消えたし、本当に時代は変わった。

 

 

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2 件のコメント

  • 上記本文で誤解された部分について書きます。
    “自分に反対する国民がいたら、国軍保安司令部の「西氷庫(そびんご)」などへ連行し、拷問を行って殺害する”はありませんでした。猛烈に反対する勢力を拘束して拷問した事実はありますが、殺害することはありませんでした。 それはまるで日本が朝鮮の独立闘士たちをむやみに拷問して殺したという話のようです。処罰は厳然と裁判所の判決に基づいて処理し、死刑になったのは単に朴政権に反対した人たちではなく、韓国の体制を否定する北韓の指令を受けた人たちでした。

    現在、尹錫悦 の戒厳令については韓国内で反応が交錯しています。
    韓国のすべてのメディアと左派はそれを”内乱”と位置づけて猛攻撃しますが、自由右派国民は”救国の決断”と評価します。尹大統領も戒厳の理由の一つとして、北韓の勢力と連携して不正選挙を実施したり、体制転覆を狙う勢力を抜本的に根絶するためのものだったとしています。
    現在、戒厳を「独裁」に追い込んでいるのは、韓国の左派と北韓、そして彼らの宣伝機関と同じような韓国のマスコミです。

    旅行の話が出ましたので一つ質問します。
    現在、韓国の右派国民はアメリカのCIAに、歌手のIUをはじめとする韓国の左派を応援する芸能人を入国禁止にするよう通報しています。韓国人が日本の外務省にメールを送り、韓日関係を破綻させようとする韓国の芸能人に対して入国禁止措置を取るよう通知することはできますか?
    福島の処理水を「汚染水」と非難し反日扇動をした韓国の歌手たちが日本に入国できないようにしたいです。

  • 西氷庫のついては、ウィキペディアにあるこの部分を参照しました。

    「朴の独裁に反対する国民を摘発し、職務として「西氷庫」(朝鮮語版)などで連行した被疑者に対する拷問を行い、殺害することもあったため、国民から恐れられた。」

    記事にリンクがあるので、そこで確認することができます。

    >韓国人が日本の外務省にメールを送り、韓日関係を破綻させようとする韓国の芸能人に対して入国禁止措置を取るよう通知することはできますか?
    韓国人が外務省にそんなメールをすることは禁止されていませんが、外務省はそれを無視するでしょうね。
    韓国で芸能人が積極的に政治姿勢を表明したり、それに反対派が激しく反発するのも日本では起こらないと思います。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。