【集団と個】日本人とアメリカ人の仕事文化・歓送迎会の違い

知り合いのアメリカ人女性はグアム出身で、日本の中学・高校で英語を教えていた。見た目はフィリピン人と変わらないから、日本にいたときは「本当にアメリカ人なの?」、「英語を話せるの?」といった偏見に何度もイラッとしたという。
外見でアメリカ人かどうかを見分けることは、アメリカ人にもできない。
今回は、いまはカリフォルニア州にいる彼女と話した内容を紹介しよう。

 

ーー2月14日はバレンタインデーで、日本では女性が男性にプレゼントをする日になっている。と言ってもそれはもう過去形で、最近はそんな形式にこだわらない人も増えてきた。
バレンタインは戦後になってから、企業の仕掛けたキャンペーンが成功して定着した新しい日本文化。

日本にいたころ、バレンタインの日に何かした?

いいえ、特に何も。
職員室で何人かの先生から、義理チョコをもらっただけで、私はその日と関係がなかった。

ーーアメリカだと、「女性が男性にプレゼントを渡す」という空気には、絶対に「一方的で差別的だ!」って批判がくるよね?

それはないと思う。アメリカ人は、みんな自分のやりたいように行動するから。
男も女もそれ以外の性の人も、自分が渡したいと思う人にプレゼントをするだけで、きっと社会的にそんな空気は成立しない。誰かが「女性が男性にプレゼントを渡せ」と言ったら、袋だたきにされるけど。

ーーあ〜、たしかに。日本人は集団主義(collectivism)で、アメリカ人は個人主義という話はよく聞く。アメリカ国民は、一人一人がはっきりした行動基準を持っていて、会社がキャンペーンをしかけても、成功しにくいイメージがある。

一部限定でならヒットしても、全国的にはむずかしいかも。その点、日本人はブームに乗りやすいよね。学校で生徒たちが、急に同じものにハマる現象が何度かあったし。

ーーそういうこともあるけど、最近の日本は全体的には集団主義を抜け出して、個性が重視されるようになった、って言いたいところだけど、恵方巻の盛り上がりを見るとやっぱりブームに乗りやすい国民だと思う。アメリカみたいに、世界中から移民がやってきて成立した国じゃないから。

ーーアメリカの企業では、日本のバレンタイン的なことは一切しないの?

そうでもないわね。
上の地位にいる人にとっては、従業員が気持ちよく働ける環境を整えることも大切な仕事だから、うちの会社では、マネージャーが何かきっかけがあると、職場のスタッフにお菓子やプレゼントを渡すことがある。
アメリカの仕事文化でチームビルディングはとても大切にされているから、それくらいのことはどこの会社でもやってるでしょ。

ーーバレンタインの習慣を「チームビルディング」と考えたことはなかったな。

 

 

ーー日本では3月になると人事異動や転勤で移動する人が多いから、この時期はお別れのシーズンで、送別会がよく開かれる。で、次の4月に新しい人が入ってきて、歓迎が行われる。
時期は別として、アメリカでも歓迎会と送迎会はある?

アメリカでは日本の4月みたいに、特定の時期に社員が一斉に入ってくることはないから、歓迎会はしない。会社としてはなくても、個人や部署単位でそれっぽいことをするのはあるかも。
送迎会ならよくある。うちの会社でもこの前、ある同僚がミシガン州へ行くことになったから、マネージャーが簡単な送迎会を開いた。

ーー日本だと、関係者が居酒屋に集まって、幹事があいさつをして会が始まり、お酒を飲んでたくさん話をした後、移動する人にプレゼントを渡して送り出す、みたいな流れが多い。アメリカではどんな送迎会をするの?

そんな大変なことはしないw。アメリカ式はもっとずっとシンプル。仕事が終わった後だと、プライベートを理由に断る人が多いから、送迎会は勤務中に社内でする。

ーーさっき、アメリカ人は自分のやりたいように行動するって言ったけど、本当に自分優先なんだ。

今回の場合は、マネージャーが移動する予定のスタッフに自分のオフィスを提供して、食べ物と飲物を用意しただけ。あとはそれぞれのスタッフがスキマ時間にやってきて、彼と5〜15分ほど話をしたり、メッセージカードを渡したりした。
ほかにも、移動予定の人と同じ部署の人がランチタイムに近くのレストランへ行って、30分ぐらい話をしながら食事をしたこともあった。それで終わり。アメリカでは一般的に、「送迎会」ってほど大げさなことはしないの。

ーー「そこに情はあるのか?」って思うほど、アッサリしてるね。それか、日本人が別れに弱すぎるのか。

 

「職場を去る」といっても、自分の都合で突然辞める人と、そこで何十年も働いて多くの社員に愛される人とでは、社員の対応はまったく違う。
その辺はアメリカ人も同じらしい。ネットを見ると、ある会社で 30年以上掃除をしていたおばちゃんが会社を離れるときには、たくさんの社員が集まって、責任者がスピーチをして温かく送り出したというケースもあった。

でも、アメリカでは全体的に、日本人の感覚からすると「これだけ?」と思うようなお手軽な送別会が多い。

 

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