【韓国文化】スケトウダラが厄よけ・開運グッズとして人気の理由

就職活動は自分の実力を武器に勝負する! というのは当然でも、「プラスα」があると心強い。「困ったときの神頼み」で就職活動が成功するように、運気が上がるようにラッキーアイテムを身につけることは日本でも海外でもある。
でも、そこには文化の違いが表れる。
四つ葉のクローバーが幸運のシンボルになるのは分かるとして、なんで韓国ではソレなのか?

朝鮮日報の記事(2025/03/02)

スケトウダラ人形・四つ葉のクローバー…就職難にあえぐ韓国の就活生たちに厄よけ・開運グッズが人気

4枚の葉があるクローバーは珍しいから、それだけ希少価値がある。また、キリスト教では、イブが四つ葉のクローバーを持って楽園(エデン)を出ていったという伝説がある。
そんな諸説があって、四つ葉のクローバーは幸運をもたらすとされている。
京都では、ヤサカタクシーで四つ葉のマークのある車両は激レアで、幸運を運ぶタクシーとして有名。

韓国では、スケトウダラがそんな位置づけをされている。
朝鮮日報によると、スケトウダラ人形は幸運の象徴として「代表格」となるほど、若い世代のあいだで人気を集めているという。

大きさは手のひらサイズで、「就職運スケトウダラ」「愛情運スケトウダラ」「財物運スケトウダラ」「貴人運スケトウダラ」などがあり、目的によってデザインや色に違いがある。
家族が幸せになってほしいということで、家族にスケトウダラ人形をプレゼントした人もいるとか。

*「人形」と書いてあるけれど、これはひもで縛られたスケトウダラのグッズで、人は関係ない。

韓国の専門家はこのブームについて、社会不安があると分析している。
きょねん12月、尹大統領が非常戒厳を宣言して、韓国は大混乱に陥り、今もそれは続いている。そんな社会不安が背景にあり、お守りを購入する人が増えているという。
ただ、「就職活動で挫折するたびに、幸運をもたらすアイテムを検索し、購入している」というキムさんは、就職活動について根本的に見直したほうがいいと思う。

 

なんで韓国では、スケトウダラが代表的なラッキーアイテムになったのか?

まず、韓国の民俗信仰では、陸の生き物としては豚、海の生き物としてはスケトウダラが神と人間をつないでくれると信じられていた。そして、豚とスケトウダラは災厄を消滅させ、幸福をもたらす象徴とされた。
スケトウダラは朝鮮時代の後期には、庶民でも手に入れることができるようになり、「わが国の人は深山窮谷の老人や女性、子供まで知らない人はいない」という記録があるほど、一般的な食材となった。その結果、身分の上下に関係なく、祭礼の供物として使われるようになる。祭祀のお供え物は、珍しいものではなく日常的な食材がよかった。

*以上の説明は、韓国の国立民俗博物館のHP「북어」にある。

 

知り合いの韓国人にも聞いてみた。
彼が調べてくれたところ、以下の理由があるらしい。

・乾燥させたスケトウダラには生臭みがなく、目や頭が比較的はっきりとしていて元の形を保っていて、生命力の強さを感じさせる
・神にささげる食べ物は、すべてを無駄にしてはならないという考え方があり、あますところなく、すべてを食べられるスケトウダラは供物に最適だった。
・スケトウダラはたくさんの卵を産み、子孫繁栄の象徴とされた。
・人に降りかかるはずだった災厄を、乾燥スケトウダラが引き受けれてくれた。

そんなことから、韓国の民俗信仰でスケトウダラは重要な供物になった。そんな伝統に、就職難や非常戒厳などが加わって、国民の不安が増大したため、いま韓国の若い世代のあいだで、スケトウダラの人形が厄よけ・開運グッズとして人気を集めている。
まさか、非常戒厳とスケトウダラが関係しているとは思わなかった。

 

おまけ

日韓で開運グッズは、実力に上乗せする「プラスα」として重視されている。
この「プラスα」は和製英語だから、アメリカ人やイギリス人には通じない。
この日本語は韓国にも伝わって、現地では「플러스 알파(プルロスアルパ、プルース アルパ)」と言われている。

 

 

日本 「目次」

韓国 「目次」

韓国の「数え年」 日本人や外国人には不思議な風習

【韓国の下剋上】男性優位の社会 VS “わきまえない女”たち

韓国旅行で感じた日本人との文化の違い「食のシェアと個別」

【韓国文化】ブラックデー、“暗黒”をフルに楽しむ自虐的発想

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次