日本人が得意なのは模倣（コピー）で、創造性や独創性に弱い。
日本には「出る杭は打たれる」という有名な言葉があって、社会的には個性を伸ばすことよりも、個人がみんなに合わせることが重視される。
そんな固定観念を持っている日本人はわりといて、ネットで検索すると、それについて説明するサイトがいくつも出てくる。しかし、外国人が日本人のクリエイティビティ（創造性）を評価することはよくあって、実は日本人が日本人の良さに気づいていないケースも多い。
友人のリトアニア人（ヨーロッパ人）は日本に住んでいたことがある。昨年末、彼が妻を連れて日本へ新婚旅行でやってきたから、彼らと会って話をした。
今回の旅行で夫が妻を連れていきたかったところの1つに、ラウンドワンがあった。彼が日本に住んでいたころ、ラウンドワンにハマったから、彼女にも経験させたかったという。
妻にその感想を聞くと「めっちゃよかった」と大満足の様子。あんなにたくさんの活動を一度に楽しめる体験なんて、ヨーロッパではなかったし、しかも料金も安かった。
ヨーロッパでも体を動かすことが好きな人は多いから、ラウンドワンのような施設があったら人気が出そうだと言う。
夫としては、試しにやってつまらなかったら、すぐにやめて次の活動にチャレンジできる点もラウンドワンを気に入った理由の１つになっている。
選択肢が多く、自由に選べるという条件はヨーロッパ人に合っている。
２人にとって、ラウンドワンは日本ならではの経験で、新婚旅行の中に組み入れる価値があった。たしかにゲーム、スポーツ、カラオケといった娯楽が「パック」になっている施設は海外では聞いたことがない。
「ラウンドワンは外国でも受けるのでは？」と思ってネットで調べてみたら、ラウンドワンはすでに海外へ進出していた。
アメリカ国内には50店舗以上もあり、売上高も順調に伸びていて、ラウンドワンの全収益の35％以上をアメリカで叩き出している。
ラウンドワンがアメリカで成功した理由に、「日本式」で勝負したことがある。
アメリカにあるゲームセンターのようなアミューズメント施設は全体的に設備が古く、店内もわりと汚いらしい。
そんなアメリカで、ラウンドワンは日本発の黒船になった。
常に設備を最新のものにし、清掃員が店内をしっかり掃除することで、日本レベルの高品質と清潔をアピールし、「古くて汚い」という固定観念を打ち破った。それでアメリカで人気が出て、毎年店舗数を増やしているという。
最近では「X」に、ラウンドワンがアメリカへ進出したら、その地域の若者の薬物使用や非行が減ったという投稿があって話題になった。ただ、この情報が本当かどうかは分からない。
アメリカにあるラウンドワンのレビューを見ると、５点満点で3.5点だったから、それなりに支持されている。
アメリカ人の評価を見ると、清潔感があって明るい雰囲気だったから、
「Fun place to go with kids. lots of games and bowling. My granddaughter loved it. Well lighted and the employees were helpful.」
（たくさんのゲームやボーリングがあって、子どもと行くには楽しい場所。私の孫娘も気に入った。照明も明るく、従業員も親切だった。）
と好意的に感じる人が多い。
ほかにも、「ラウンドワン体験」の動画に寄せられたコメントなどを見ると、
「So glad to see y’all back at the arcade!」
（みんながまたアーケードに戻ってきたのを見てうれしいよ！
と喜ぶ人が何人もいた。
＊ゲームセンターは和製英語で外国人には通じない。アメリカ人には「arcade（アーケード）」と言えばOK。
親や祖父母が子どもや孫を連れてきて、アーケードに子どもたちがいる光景を見て、にぎわいが戻ってきたことを歓迎する人が少なからずいる。
反対に、マイナスポイントとしてはこんな声があった。
・騒音がひどい。それに悩まされたくなかったら、耳栓を持っていくべき。
・店員の態度が失礼でムカついた。
・全員黒人のグループで行ったら、警備員がずっとついてきて、犯罪者扱いされて不愉快だった。
たしかに、落ち着いた環境で本を読みたかったら、ラウンドワンへ行くべきではない。一番下のコメントはアメリカ社会が抱える問題で、ラウンドワンに特有のものではない。
一番上の人はそもそもラウンドワンに向いていない。真ん中のクレームはどの店にもある。一番下のコメントはアメリカ社会が抱える問題で、ラウンドワンに特有のものではない。
ゲーム機やクレーンゲームもアメリカで登場したものだし、確実に「日本生まれ」と言えるものはカラオケしか見当たらない。
（すべてを調べたわけではないので、ほかに日本発祥のものがあったら教えてください。）
でも、そうした海外由来の活動を１カ所に集め、さらに清潔感や高品質の要素を加えた娯楽施設を考案したのは日本人だ。
ラウンドワンには日本人の創造性がよく表れている。
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