権威に弱く、盲目的に従う日本人 その国民性はどうできた?

海外では日本人について、「示された規則をよく守り、従順でおとなしい」という否定できないステレオタイプがある。だから、外国人が日本に来ると、列にしっかり並んでいることや、バスや電車の中で静かに過ごしていることを見て、よくルール遵守の徹底ぶりに感心する。
ただ、これを裏返すと、権威に弱いということにつながる。情報化の現代では、そんな日本人の国民性が“危険”らしい。

共同通信の記事(2025/03/19)

日本人、影響力工作に弱い傾向 権威主義の説得を受けやすく

権威主義について、「精選版 日本国語大辞典」にはこんな説明がされている。

「自分の主張を、何らかの権力、威光によって、真理であると断定する立場。また、権威に対して盲目的に服従する態度、および、それに伴う種々の思考様式、行動様式」

上の記事では、権威主義国の具体例に中国やロシアを挙げている。早稲田大学の教授らが、日本人はこうした国が発信する、感情や価値観に訴えかけるメッセージに大きく影響されやすいという調査結果をまとめ、学術誌に発表した。
例えばロシアのウクライナ侵攻について質問する文の中に、「欧米側が約束を破ったため」というロシアの主張を加えたものを入れると、侵攻に対する賛成・反対の結果が左右されやすくなる。
ドイツでは、政治の知識が少ない人たちが特に動かされやすいという調査結果が出ている。しかし日本では、そうした知識の有無にかかわらず、情報の受け手は一様に影響を受けやすいという。
そんなことで早稲田大学の研究チームは、SNSが広く普及するいま、「日本の民主主義に対する脅威となる可能性がある」と警告した。

ロシアや中国では、本当かどうかよく分からない情報でも、「これが事実である」と権威を持って発表することが多い。そんな権威主義国の発表を見ていると、「いやそれは違うだろ」とツッコミたくなることでも、威厳を保ちながら堂々と言うから、そのオリハルコン製のメンタルがうらやましくなる。
そういう態度で発信された情報に対して、日本人は外国人よりも「盲目的に服従する」傾向があることは日本人も納得すると思う。

このニュースにネット民の反応は?

・和をもって貴しとなすと同調圧力だから
本音は違っても建前は多数に合わすだけです
・見出しを見て「それが正しい」と思い込んで、日本人はダメだ。と思ってしまう連中はまさに合ってるかもな
・日本人にとって民主主義は庶民が権力に抗って手に入れたものじゃないからな
・百姓にされてた時期が長かったからなw
・日本人にとっては「ミンナに合わせる」のが絶対の正義

 

日本人が権威に弱く、分別を欠くに服従しやすいーー。

武士が日本の中心にいた時代、厳しい上下関係が長く続いたから、そんな日本人の性質ができたという説がある。もちろん、封建時代はヨーロッパにもあった。しかし、ある歴史の本を読んでいて、日本とはこんな違いがあるという指摘があり、目からウロコが落ちる思いがした。

江戸時代の武士にとって主君は絶対的な存在で、「右を向け」と言われたら、すぐに右を向いて、「よし」と言われるまでそのままでいる。それに対して、ヨーロッパの騎士は主君をそこまで大きな権威と見なしていなかった。だから、もし「右を向け」と言われても、理由を聞いて納得したらそうするし、納得できなかったら拒否する。
個々のケースはそれぞれ違うだろうけど、日本とヨーロッパの封建主義には、全体としてそんな違いがあったという。

個人的にこの指摘は正しいと思った。大学で歴史を学んだイギリス人に意見を聞くと、彼女もこの説に同意した。
数百年前のヨーロッパ人にとっては、絶対的な権威とは神であって主君ではない。だから、自分を創造してくれた神のために、命を捧げる覚悟を持って戦うことはよくあったという。日本の歴史では、武士が神のために命をかけて敵と戦ったという話は聞いた記憶がない。武士が戦う理由は主君のためというのが一般的で、日本では神は関係ない。
昔のヨーロッパ人の価値観では、神に比べたら、王や皇帝もそれほど大きな存在ではなかった。
権威に弱く、盲目的に服従しやすい国民性が形成された背景には、こうした歴史的な違いがあるだろう。それが日本の民主主義にとって危機と言われても、すぐに変わるのは無理。

 

 

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