日本とベトナムのつながりは、いまジワジワと深くなっている。
日本人の約1割が「Loyal Host」と誤解していたという「Royal Host」、通称ロイホを運営するロイヤルホールディングスが、先日ホーチミン市にレストラン「THE ROYAL」をオープンすると発表した。
日本発の「宮廷のもてなし役」はベトナム人の心をつかむことができるのか?
今回は、日本に住む20代のベトナム人女性から聞いた話を紹介しよう。ベトナム人とロイヤルホストに行く機会があったら、ぜひ話題にしてほしい。
ーー日本のお店には縁起物の招き猫が置いてあって、キュートな外見で、片手を上げて人を誘っている。招き猫は外国人にも人気があると聞いたけれど、ベトナムではどうだろう?
ベトナムでも招き猫は人気があって、よく見かけます。意味も日本と同じで、商売繁盛や幸運を招く縁起物ですね。招き猫が流行っているのは日本の影響だと思います。
逆に、客が来なくて仕事がうまくいかない場合、ベトナムでは悪い霊のせいだと考えて、紙を燃やす「dot via」の儀式をする人もいます。
日本にもこんな風習はありますか?
ーー「ビンボー神」が店に居着いている状態かな。日本人なら、そう感じたら神社で厄払いをしてもらうと思う。
ーー日本に5年以上も住んでいて、いまベトナムについて恋しく思うことはある?
にぎやかな雰囲気です。ベトナムは日本よりも暖かく、たくさんの人が路上のイスとテーブルで食事をしているので、すごく活気にあふれています。日本の生活は静かで落ち着いているので、あの雰囲気を懐かしく感じます。
捕まえた魚や亀を放す放生池(ほうじょうち)
ーー今日行ったお寺には放生池があった。あれは「命を大切にする」という仏教の考え方に基づいていて、慈悲の深さを表している。ベトナムも仏教の影響が強くて、お寺がたくさんあるけど、放生池もある?
寺にそんな池は見たことがありません。でも、ベトナムの仏教でもその考え方はあって、仏教の祭りの日には、魚や鳥を自由にしてあげることがあります。お寺の近くでは、そうした生き物が売られています。
ーーキャッチ&リリースじゃなくて、バイ&リリースか。
ーーあなたは日本に長く住んでいて日本語もペラペラだ。日本の影響を受けて、性格や考え方で「日本人化」したところはある?
う〜ん、どうなんでしょう。ちょっとポイントが外れるかもしれませんが、この前、重い物を持ち上げるときに自然と「よいしょ」という言葉が出てきたんです。近くにいた日本人の友だちに、「すっかり日本人になったね!」と言われて、初めて自分がそう言ったことに気づきました。我ながらビックリです。
富士山の山頂で国旗を掲げるベトナム人。
富士山に登る外国人はたくさんいるが、国旗を持って行く人はかなり限られている。
ーーベトナム人がSNSに投稿する写真を見ると、国旗を載せる人がよくいる。富士山で国旗を広げて、記念写真を撮るベトナム人を見たのは一度や二度じゃない。ベトナム人はなんでそんなに国旗が好きなの?
え? 自分が生まれ育った場所を象徴するものですから、自然なことだじゃないですか? むしろ、国旗を嫌う理由がわかりません。
ベトナムはフランスやアメリカと戦争をして、その戦争が終わってからまだ50年しか経っていません。実際にその戦争を経験した人がたくさんいますし、教育でも愛国心を強調しているので、国民はベトナムの国旗を見ると誇りを感じるのだと思います。
ーー日本には長い歴史があって、皇室はギネスで「世界最古の王朝」と認められている。昔からさまざまな祭りが行われてきて、今は「ヤマザキ春のパンまつり」の最中だ。
そこでクエスチョン。一年を通じて、ベトナムで最も重要なイベントは何だと思う?
そう言われて思い浮かぶのは、5月5日(旧暦)の「虫を殺す日」ですね。この日にフルーツを食べると、体内にいる虫が消えると言われています。それに、この時期は暑くなって、虫が発生しやすくなるので、田舎では農作物を食い荒らす虫を殺すことがあります。
ーー放生で示した慈悲の心とは逆に、「ヒャッハー!」な映像が浮かんだ。でも、「いただきます」の精神と同じで、生きるためには何かを犠牲にしないといけないから、仕方ないか。
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