5月3日は「博多どんたく」が始まる日。
3日と4日だけで毎年200万人以上を集め、ゴールデンウィーク中に行われるイベントとしては全国一を誇る。この祭りの始まりについては12世紀や16世紀と諸説あるが、「どんたく」の由来は比較的はっきりしていて、「休日」を意味するオランダ語の「Zondag(ゾンターク)」だと言われている。しかし、オランダから借りたのは言葉だけで、祭りの内容はとっても日本的。
5月3日は、701年に「大宝」という元号が制定された日で、これ以降、日本で元号は途切れたことがない。世界を見渡しても、1300年以上も続く習慣は珍しい。日本人として、この貴重な文化を大切にしていきたい。
さて、前に中国を旅行中、歴史にくわしい日本語ガイドと話していると、「古代の日本は中国に従属していました」と彼が当然のように言やがったから、「いやいや、それは違う」と反論した。その時、「では、その根拠は何ですか?」と聞かれた。
中国人からそう質問されたら、どう答えればいいだろうか?
ゴールデンウィークといえば、今、和歌山の「アドベンチャーワールド」に観客が殺到している。その理由は、そこにいる4頭のパンダが6月にすべて中国に返還されることが決まったから。出会いがあれば、別れもあるのは仕方ない。しかし、その発表が4月24日と突然だったため、今のアドベンチャーワールドは「人地獄」のような状況だと思われる。
6月以降、「パンダロス」が地元観光に影響を与えるのは避けられない。でも、町長は地元の別の魅力をアピールして、「パンダ依存」から抜け出したいと意気込んでいる。ぜひ、ピンチをチャンスに変えてほしい。
日本と中国のつながりは古くて長い。その内容は時代によって大きく変わり、友好的な時期もあれば、敵対して戦っていた時期もあった。古代においては、日本は超先進国だった中国に遣隋使や遣唐使を送り、一方的に文化や制度を学んでいたから、生徒と教師のような関係だった。
元号はその時代に、日本が中国から受け入れた制度のひとつ。日本で初めて使われた元号は645年の「大化」で、以来、中断したこともあったが、「大宝」からは元号のない日は1日もなかった。ちなみに、「日本」という国名が登場したのも、「大化」が使われたころだと言われている。
中国で元号は約2100年前、前漢の武帝の時代に始まり、辛亥革命で1912年に皇帝が廃止されると同時に、元号も消滅した。その間、中国の周辺にあった朝鮮などの国々は、中国皇帝が定めた元号を使うことになっていた。
ただし、この場合の従属国とは、中国をボスとして主従関係を結び、冊封体制にあった国のことで、基本的に中国は内政に干渉せず、政治的にはほぼ独立状態にあった。しかし、国際関係では「中国の一部」と見なされたから、同じ元号を使用することで、中国に時間を支配されていた。
その点、日本は中国から見ればナマイキな国で、「大化」から独自の元号を使用していた。
日本人が中国と異なる元号を選んだ理由は、日本を「独立した国」として強く意識したからだろう。日本人は唐の文化や文明を積極的に学びながらも、中国に従属することは拒否し、別の時間や空間で生きたいと考えた。オリジナルの元号を考案したことや、中国が命名した「倭」を拒否して「日本」と名乗ったも、その具体的な表れとしか思えない。
(日本人には昔から自主・自立の精神があるから、和歌山もきっと「中国(パンダ)依存」の脱却に成功できる。)
日本が中国に従属していたと思い込んでいた中国人に、日本は古代から自分たちで考案した元号を使っていたと話すと、「そうなんですか! それは知りませんでした」と言って黙ってしまった。
「どんたく」の元はオランダ語でも、祭りの中身はオランダを無視して、ジャパン要素であふれている。こんなふうに、日本では「体は名を裏切る」ということがよくある。元号の使用もそのひとつで、表面的には中国風に見えても、内容は全く違うのだ。歴史にくわしい中国人こそ、その意味や重みをよく知っている。だから、中国文化を根拠にされると、反論が難しくなる。
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