すっかりゴールデンウィークの風物詩となった「肉フェス」。最近はそれに乗っかって、動物愛護団体『PETA(ピータ)』による抗議活動もお約束になってきた。
「肉フェス」は大人気で、日本中の肉好きを集めるため、肉食に反対するヴィーガンの人たちにとっては絶好のPRの場となっている。問題はその抗議方法で、彼らの過激なやり方はよく物議をかもす。かもさなかった年がないほどだ。2024年には「肉フェス」に参加した人たちに、赤ん坊を焼いているように見せるパフォーマンスを行った。
主催者にとっては「招かざる客」だろうけど、動物愛護団体側は事前に許可を確認しているから、法的な問題はクリアしている。
PETAは今年もやってくれた。
お台場で開かれた肉フェス会場の近くで、血のりをベッタリと塗った女性が白く大きなトレーの上に横たわり、人間の死体がパック詰めされているような抗議活動をした。まるで裸の女性が刃物でめった刺しにされ、血を流して死んでいるように見えるため、この方法にはネットで賛否両論が分かれた。といっても、ボクが見たかぎり「賛」は例外的で、圧倒的な人は「否」だった。
侮辱語や差別語にまみれた過激コメントを排除して、マイルドなものを紹介すると、ざっとこんな感じだ。
・そんなイライラするとか動物性たんぱく質足りてないんじゃない?
・抜け道を作れ抜け道を。自分から最大級の苦しみに飛び込むな
・植物に対する愛護精神が足りてない
・野菜だって一生懸命生きてるんだぞ!(´・ω・`)
・人工光合成が実用化したら日向ぼっこして生きていけるね
グーグルで「PETA」と検索すると、「頭おかしい」や「やばい」といったかなりネガティブな関連ワードが出てくる。これが現状だ。
「肉フェス」をちゃっかり利用して反肉食活動をすれば、ネットで叩かれることは団体側も想定内で、まずは注目を集め、自分たちの主張に関心を持ってもらうことが目的だと言っている。「炎上上等」という覚悟らしい。
でも、最終的には、一人でも多くの人に肉食をやめさせ、ヴィーガン仲間を増やすことが狙いなので、適度な“焼かれ具合”にしないといけない。一般常識のやや斜め上にあるパフォーマンスを考え出すのも大変だ。
PETA(ピータ)は、People for the Ethical Treatment of Animals(動物の倫理的扱いを求める人々の会)の略で、本部はアメリカにある。動物の権利を守るのは正しいことだから、めんどくさくなる。「悪」を自覚していればためらいがあるけれど、正義を実行していると信じている人間は罪悪感を感じないから、ストッパーが効きにくい。
アメリカ人やイギリス人に聞くと、欧米の PETAのメンバーは、日本以上に過激なパフォーマンスをしている。
スターバックスがミルクを使っていることに怒り、メンバーが接着剤で手とカウンターを固定したり、コンクリートに足を埋めたりして抗議している。
下の動画では、本物ソックリの焼かれた犬を作って肉屋さんの前に置いて抗議している。一言でいえば営業妨害だ。
欧米の PETAメンバーは「無名は悪名に勝る」の考え方で、直接的で攻撃的で、見る人により強い衝撃を与えるような抗議活動をすることで注目をを集め、結果的にアンチよりファンを増やす作戦を採用しているらしい。
いっぽう、日本のメンバーは、ヴィーガンを増やすという目的は同じでも、欧米のやり方とは一線を画し、接着剤で手をどこかにくっつけて相手を困らせるような活動はしていない。迷惑系ユーチューバーみたいになって反感を買っては意味がないから、過激度は控えめにして、まずは自分たちの主張に関心を持ってもらいたいと話している。
同じ動物愛護団体による抗議活動でも、方法や内容は違い、そこに欧米と日本の価値観や文化の違いが見えてくる。どちらも承認欲求は強いが、日本では常識以上、法律未満の範囲で活動している。
個人的には、彼らのパフォーマンスで日本人の価値観を変え、ヴィーガンを増やすことができるのか、それとも、彼らが「肉フェス」から撤退するのが先か、興味がある。
コメント
コメント一覧 (2件)
> 本物ソックリの焼かれた犬を作って肉屋さんの前に置いて抗議している。
欧米人って、犬肉を食するのですか? またその肉屋は食用の犬肉を売っているのですか?
肉なら何でも同じか。まあ、卑怯と言うか、馬鹿げたアピールと言うか、論理的に破綻してますね。
肉食に対する抗議活動であれば、少なくとも、実際に食用とされている牛や羊をモデルに使わないと。そうしないのは何が理由なんでしょうか?
まあでも、こんな方法でコロッと騙される人々も多いのでしょうね。ったく宗教というのは厄介だ。
>欧米人って、犬肉を食するのですか? またその肉屋は食用の犬肉を売っているのですか?
それはないでしょうね。嫌悪感を持たせることが目的ですから、あえて衝撃の強いものを持ってきたのでしょう。
日本では絶対にやらないでほしいです。