5年ほど前、日本人の韓国に対する感情は冷え切っていた。
日韓で共同世論調査を行ったところ、日本で「韓国を信頼できない」と答えた人が74%に達し、過去最高を記録した。
読売新聞はその原因について、社説「対韓感情の悪化 『歴史蒸し返し』への苛立ちだ」(2019/06/12)の中で次のように厳しく指摘している。
「国家間の約束を守らず、国際常識に反する行動をとる国が、信頼を落とすのはやむを得まい」
「韓国は執拗に歴史問題を蒸し返し、日本を非難し続ける。国民の苛立ちは鬱積している」
日韓両政府は過去の歴史問題について何度も話し合い、1965年の日韓請求権協定で、「完全かつ最終的に解決された」と確認し、「いかなる主張もすることはできない」と約束した。
※外務省HPの「大韓民国による日韓請求権協定に基づく仲裁に応じる義務の不履行について」を参照。
さらに、それでも残っていた慰安婦問題については、2015年の日韓合意で「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した。
日韓の歴史問題はすでに2回「最終的な解決」をしていて、3回目はあり得ない。しかし、韓国には韓国の解釈や考え方があり、「歴史問題はまだ未解決」という立場を取って、くり返し日本に謝罪や賠償を求めている。
日本にとって、それは合意違反になるため、韓国に対する国民の苛立ちは積み重なり、信頼は地に落ちた。
その後、新しく大統領となった尹(ユン)氏は日本に謝罪を求めるべきではないとし、歴史問題を「封印」したことで日韓関係は大きく改善した。しかし、ことし4月に大統領に就任した李在明(イ・ジェミョン)氏は、過去に日本を「敵性国家」と呼び、“反日強硬派”として知られているため、日本では警戒感が高まっている。向こうもそのことを知っているのか、李氏は大統領になってから日本に友好的な姿勢を見せていた。でも最近、日本人の理解を超える発言をした。
聯合ニュース(2025.07.03)
李大統領「日本も歴史問題で苦しんでいる」 対北朝鮮・経済などで協力に意欲
李大統領は就任から1ヶ月を迎えた記者会見で、「韓国と日本は協力する分野が多い」としながらも、「過去の歴史問題を清算できず、互いに苦しんでいる」、「韓国も苦しんでいるが、日本も苦しんでいる」と述べた。
「自分が苦しんでいるから、相手も同じに違いない」と思い込むのは、認知においてちょっと問題がある。
「韓国と日本は協力する分野が多いと言いながら、過去を蒸し返すのは、アクセルとブレーキを同時に踏むようなもので、これでは前(未来)に進めない。
日本政府はこの言葉に何も反応していない。
日本の答えは「過去の歴史問題はすでに『最終的な解決』を確認した。だからこれ以上、蒸し返してくれるな」しかないはずだ。それを「過去の歴史問題を清算できず、日本も苦しんでいる」と一方的に巻き込まれたら、日本政府としては、あきれて何も言えないだろう。
反応したら負けだから、ここは、文政権のときに何度か見せた「丁寧な無視」が最適解だ。
その代わりに、ネット民が李氏の発言にツッコミを入れている。
・終わってるよ。
・勝手に仲間に入れるなw
・認知バイアスかよ
・まあ苦しいってほどでもない
「ウゼェな」くらいのもん
・始まったな
そうこなくてはw
日本がこれまで苦しんできたのは、歴史問題そのものではなく、韓国側が「まだ過去は清算できていない」と言い出すことだ。「いかなる主張もすることはできない」という約束はどこへ行ったのか?
「不可逆的に解決済み」というのは、過去にさかのぼることができないということを意味している。だから、日本も韓国も「未解決」という状態に戻ることはできない。
「歴史の蒸し返し」はこれをひっくり返す行為だから、日本人を苛立たせ、韓国を信頼できなくさせる。
終わったことを問題視することで、再び問題にする。日本にとっての問題は、韓国の「問題化」という態度だ。どうやら、それは李大統領も変わらないらしい。
コメント