7月7日は、日本と中国ではテンションがまったく違う。
日本でこの日は七夕で、短冊に願いごとを書いて笹竹に結ぶ日になっている。ことしは令和7年だから、7が三つ並ぶ「7・7・7」となって縁起がいいということで、「X」で「婚姻届ラッシュ」がトレンドワードになった。
そして、7月7日は「カルピス」の誕生日でもある。第一次世界大戦が終わった翌年の1919年(大正8年)のこの日、はじめてカルピスが発売された。
七夕は古代中国で生まれ、奈良時代に日本へ伝わった。
本家の中国では、織姫と彦星が年に一度だけ会うことができる日ということで、七夕はロマンチックな日になっている。付き合っている恋人にプレゼントを贈ったり、お高いレストランで食事を楽しんだりするから、実質バレンタインデーだ。
以前、中国人と話をしていると、7月7日は文化的には七夕の日ではあるけれど、歴史的にはとても重く、中国人としては辛い日だと言い出した。というのは、日中戦争の始まりとなった盧溝橋事件は1937年の7月7日に起こったからだ。
※中国で七夕は旧暦の日に行われるから、2025年の8月29日になる。
彼が住んでいた都市では、7月7日にサイレンが鳴り響き、市民は足を止めて黙祷することになっていた。だから、この日になると、彼は日本から受けた屈辱を噛みしめていたという。
(本人は現代の日本は好きで、来日して日本の会社で働いていた。)
毎年7月7日になると、中国各地で記念式典が開かれる。ことしは共産党の幹部が参加して、北京郊外の「抗日戦争記念館」で式典が行われ、愛国主義や歴史教育の重要性が強調されたという。
中国政府は2025年を「抗日戦争勝利80年」と位置づけているので、国内で反日感情が高まることが予想される。そのため、在中国日本大使館は中国にいる日本人に対し、7月7日を「特に注意を要する日」として、周囲に聞こえる大きさで日本語を話さないことや、日本人と思われるような服装を避けるといった注意を呼びかけた。
日本大使館が公開している『安全の手引き』には、日本関連の行事を開催するなら、以下の日に注意するよう書かれている。
5月4日(1919年) 五・四運動(反帝国主義、反封建主義運動)
6月5日(1941年) 重慶爆撃
7月7日(1937年) 盧溝橋事件
8月15日(1945年) 終戦記念日
9月3日(1945年) 「抗日戦争勝利記念日」
9月18日(1931年) 柳条湖事件(満州事変)
12月13日(1937年) 南京入城(「南京大虐殺犠牲者国家追悼日」)
この7つの日には、中国で反日感情が高まりやすい。2024年9月18日に深圳市で、10歳の日本人の男児が刺殺された事件が起きたのは、偶然とは思えない(深圳日本人男児刺殺事件)。
日本にいれば、声の大きさや格好に気をつける必要はない。しかし、上記の7つの日に中国人と会うなら、過去にそんな歴史があったことを意識したほうがいい。中国人にとって新暦の7月7日は、七夕やカルピスの誕生日のような楽しい日ではないのだから。

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