日韓の歴史問題へエンドレス 「変化を求める」vs「放置でいい」

たとえば、運転中に車をぶつけてしまい、相手と話をして、修理費として◯万円を出すことで示談したとする。でも、1週間後に相手から、「やっぱりあの条件では納得できない。私たちはあの事故について、もう一度話し合わなければいけない」と言われたとしたら、ほとんどの人は「ふざけんな。付き合ってられるか!」と思うはずだ。

約束や合意をした後で、一方的に内容を変更しようとする場合、日本ではそれを「ゴールポストを動かす」と呼んで非難することがある。この「ムービング・ゴールポスト」は、ほぼ韓国限定の外交ワードだ。

慰安婦合意や日韓請求権協定などで「最終的な解決」が確認されたにもかかわらず、韓国政府が後から「まだ問題は終わっていない」と言い出し、問題を提起すると、日本では強い拒絶反応が起こる。
たとえば、韓国内で慰安婦問題について日韓合意を見直す動きが出てくると、安倍元首相は「またゴールポストが動くことは絶対にあり得ない」と言って釘を刺した。また、茂木元外相が合意を履行しない韓国政府に、「韓国によってせっかくのゴールポストが常に動かされる状況がある」と不快感を示したこともある。

韓国側が歴史問題を蒸し返し、条件を変更しようとすると、日本も渋々それに応じたことが何度もあった。産経新聞によると、日本は2015年あたりから、「韓国にいくら譲歩しても、結局ゴールポストが動かされるだけだ」と感じ、譲歩しないようになってきた。具体的には、日本政府はそんな韓国を冷めた目で見て、「放置しておけばいい」(政府高官)という姿勢をとるようになったという。

※ソースは以下の産経新聞のコラム。

韓国はなぜ日本だけを標的にする?」歴史問題で欧米から疑いの目を向けられるようになった韓国妄執自業自得(2015/1/15)

2023年、自民党の小野寺五典元防衛相が韓国の文政権に対し、「説明、反論しても仕方ない相手にはやはり丁寧な無視ですね」と述べた。つまり、「放置でいい」ということだ。

 

ただし、それは日本側の視点で、韓国には韓国なりの事情がある。
日本経済新聞が「韓国、合意より世論 慰安婦象徴の少女像設置」(2017年1月10日)と伝えているように、韓国社会では国家間の合意よりも国民感情が優先され、政府がその声を無視できず、世論に応えないといけないこともある。
しかし、日本は疲れてしまった。韓国が何度も歴史問題を持ち出しても、日本は「放置」し、条件の変更を認めなくなった。
聯合ニュースの記事によると、そんな日本の頑固な態度に接し、韓国側には「あきらめムード」があるらしい。(2025.07.17)

韓国外相候補 日本との歴史問題「少しずつ変化求める」

韓国の外交部長官(外務大臣)候補に指名されたチョ氏は、国会で「日本との歴史問題を終わらせることは不可能だと考える」と述べた。
チョ氏から見ると、韓国の希望や要求を伝えても、日本の態度が変わるとは思えない。合意後に内容の変更を求めても、日本が「韓国がゴールポストを動かした」と非難し、「反撃される可能性がある」ため、話し合いも慎重にならざるを得ない。

※個人的には、日本から「ゴールポストを動かすな」と言われても、韓国はノーダメージで、むしろ反発が強まるだけだと思っていた。でも、実はこの言葉は有効だったようだ。

そのためチョ氏は、日韓の歴史問題は終わらないと結論づけた。しかし、忍耐強くこの問題を提起し続け、日本が自ら変化することを求めていくつもりだという。

韓国側の「問題提起」という行為が、日本にとっては「ゴールポストを動かした」になる。だから、「少しずつ変化を求める」という K-期待にも、日本は「放置しておけばいい」か「丁寧な無視」で応えるはずだ。

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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