この世には、3つの要素で1つを構成しているものがたくさんある。
人間や動物、植物は縦・横・高さの3つの方向に広がる3次元の空間に存在している。
人は、心(精神)・技(技術)・体(体力)の3つの要素が整ったときに、最大の力を発揮できるという。
キリスト教には父(神)・子(イエス・キリスト)・霊(聖霊)の3つが一つ(唯一の神)であるという三位一体の考え方がある。
そして日本では、鏡・剣・勾玉(まがたま)の3つの神器が皇位の象徴とされ、この3つを持つことが天皇の証だとされている。
現在、わが国を構成する重要な要素に、日本という国名、天皇という称号、そして元号があり、これら3つが一体となって、ほかの国との違いを際立たせている。
これら3つが定まったのは一体いつかというと、それは7世紀だ。
5年ほど前、日本に住んでいたイギリス人女性がオーストラリアを旅行していたとき、日本の特別な事情で現地の人をフリーズさせてしまった。
彼女がレンタカーを借りる手続きをしていて、オーストラリア人のスタッフに運転免許証を見せたところ、そのスタッフは動きが止まった。それは日本で取ったもので、「令和7年7月17日」といった感じで元号が記されていたからだ。
日本文化の圏外にいたオーストラリア人に、その意味が分かるわけない。イギリス人は、それが日本独自のカレンダーで、西暦なら2025年にあたることを説明すると、スタッフはすぐに理解して、「それは興味深い文化だ」と言った。

孝徳天皇
日本ではじめて元号が立てられたのは、今から1380年前、645年のきょう7月17日。第36代天皇、孝徳(こうとく)天皇の時代に、日本初の元号である「大化」が使われはじめた。
蘇我入鹿(そがのいるか)が暗殺された「乙巳(いっし)の変」をきっかけに、国内のさまざまな制度が改革されることになり、後にこれが「大化の改新」と呼ばれた。たとえば、この時に薄葬令が出され、前方後円墳が作られなくなり、古墳時代が終わった。
この時の中心人物が孝徳天皇だ。645年7月17日、孝徳天皇は臣下を集めて、天皇への忠誠を誓わせ、「大化」という元号を定めた。
大化の改新によって、日本は豪族から天皇を中心とする中央集権的な政治へと変わっていったとされる。
また、この改革の中で、国名が「倭国」から「日本」に変わり、「大王(おおきみ)」という呼び方が「天皇」に変わったという説もある。これらは大化の改新の前後で行われたかもしれないが、7世紀に日本という国名と天皇の称号が決まったことは確かだ。これに元号も加わり、日本国の基礎ができあがった。
2025年の現在でも、その3つの要素は変わっていない。そんな国は世界で日本だけだ。

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