中国には、日本にはない記念日がある。それが「国恥日」。
たとえば、第一次世界大戦中、日本が中国に対して主権を奪うような内容の「21カ条の要求」を出し、1915年5月9日に中国がそれを受け入れた。このことから、現代の中国では5月9日を「国恥記念日」と呼んでいる。
また、来月の9月18日も、1931年に満州事変のきっかけとなった柳条湖事件が起きた日で、中国ではこの日も「国恥日」となっている。
この「国家の恥を記念する」という発想は分かりにくいが、中国ではこの日に抗日精神が高まるから、中国にいる日本人や日本企業は国民の感情に配慮する必要がある。でないと、痛い目を見ることになる。
つい最近、韓国にも同じような日があることを知った。それが今日、8月29日だ。
1910年8月22日、大韓帝国の首都・漢城(現ソウル)で、寺内正毅統監と李完用首相によって日韓併合条約が調印され、1週間後の29日にそれが公布された。この日、国民は国の主権を失ったことを知ったため、現代の韓国では「庚戌国恥日」と呼んでいる。
※「庚戌」(かのえいぬ、こうじゅつ)はその年の干支。
8月29日は大韓帝国が滅亡し、日本の支配がはじまった日を意味する。韓国ではこの国恥日に、悲しい歴史を忘れないために、冷たい白がゆを食べる行事がおこなわれる。
韓国の人たちはこの日にどんなことを思っているのか? SNSの声を紹介しよう(原文は韓国語)。
・国権を奪われた痛みは忘れません。
・苦しい歴史を覚えているとき、私たちの歴史は健康でいられる。
・きょうは売国奴の李完用を思いながら過ごしています。
・国を奪われるのはすべてを奪われることだ。
・国権を喪失した恥ずかしい日。もう二度と、こんなことがあってはならないでしょう。心が痛くて悔しいですが、子供たちに教えなければなりません。
・ああ…本当に胸が痛いです。泣きそうです。
・光復節の日も大切ですが、国権喪失の恥辱の日を知ることも重要です。
・韓国史を勉強していたとき、この日のことを知って、怒りで手が震えてしまったものです。
・恥ずかしい記憶だが、忘れてはいけない。
・同じ民族でも、片方は国を売って利得を取ろうとし、もう片方は自分の命を捧げて国を救おうとした。
日本の朝鮮統治は1910年8月29日にはじまり、1945年8月15日に終わった。
現在のほとんどの日本人にとっては、生まれる前の出来事だから、その責任を負う必要はない。罪悪感や劣等感を持つ必要もない。しかし、この日になると隣国では心が痛む人がいることは、知っておいていい。

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