いつものように SNSを見ていると、あるマダガスカル人が『ONE PIECE』の海賊旗といっしょに「It’s time」というメッセージを投稿していた。橋本真也風に訳せば「時は来た。それだけだ」。
彼は近く、マダガスカルで行われる反政府デモに参加することに決めて、その決意を示すために麦わら帽子と頭蓋骨の旗をかかげたらしい。
1334年、後醍醐天皇が開始した「建武の新政」はあまりうまくいかず、世の中は混乱した。そんな政治に不満をもった何者かが「近ごろ都に流行るもの」からはじまる政治批判をおこなったという(二条河原の落書)。
それからトキが流れ、「近ごろ世界の都に流行るもの」がワンピースの海賊旗だ。
ネパール、インドネシア、フィリピン、フランスなどで政府のやり方に不満を持った国民がデモを行い、参加者は抵抗のシンボルとしてワンピースの旗をかかげた。
各国のメディアがその現象に注目し、例えば米CNNは「a global banner of anger and defiance(怒りと反抗を示す世界的な旗印)」と表現する。
ワンピースの魅力は国境や宗教を超えて、人類を魅了した。
全世界での発行部数は5億部を超え、ギネスブックで同じ作者によるコミックシリーズの発行部数としては世界一と認められた。
英語版ウィキペディアの説明によると、海外でワンピースの海賊旗が抗議デモで使われるようになったのはここ最近のことだ。
2023年10月から始まったイスラエルの「ガザ虐殺」に対し、パレスチナを支持する人たちがロンドンとジャカルタで抗議デモをおこなった際、初めてこの旗が使われた。そして今年になってから、インドネシアで反政府デモのシンボルとして使用され、ネパールやフランス、フィリピンなどでも同じ目的で海賊旗が掲げられた(Straw Hat Pirates’ Jolly Roger)。
世界中の若者にとってワンピースの旗には、「抑圧された人びとのを解放」「独裁者(政府)への抵抗」「強大な敵と戦う意志や勇気」といった意味がある。困難な状況にあっても希望を捨てず、笑顔を絶やさないルフィも若い世代の心に刺さり、地球規模の共感を得た。
では、ここで外国人の反応を見てみよう。
・革命のはじまりだ。ハハハ。
・こうした理由で『ワンピース』が近いうちに禁止されるんじゃないかと心配だ。でも、まさにその時、新たな海賊時代が始まる。
・聞こえる! 解放を知らせる太鼓の音が。
・海賊旗であっても、自国の旗より高くかかげるべきではない。
・フィリピンなら『ボルテスV』の旗をかかげるべきだね。マルコスがあの番組を嫌っていた。
・フィクションと現実の境界線はますます薄くなり、人びとの心は近づきつつある。
いっぽう、日本のアニメ関係者は絶対にこの事態を歓迎していない。アニメは現実の宗教や政治に対しては中立的なはずだから、特定の政治色を付けられることを嫌がるはず。とくに「反政府デモ」のシンボルとして採用されると、その国の政府によって規制される可能性がある。
それでも世界中の若い世代は日本のアニメに夢中だから、こうした政治利用はきっと無くならない。
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