日本で高市首相が誕生したことを受けて、インドのモディ首相はさっそく電話でお祝いを述べ、しばし会談をおこなった。その後、モディ首相は Xにこんな投稿をした。
「Had a warm conversation with Sanae Takaichi, Prime Minister of Japan.」
高市首相とは心と心が触れ合うような話ができたという。安倍元首相がモディさんと築いた日本とインドの友好関係はこれからも続きそうだ。
それにしても驚いたのはモディ首相のフォロワー数で、「1億」という数字を見たときは一瞬バグかと思ってしまった。
さて、インドの西ベンガル州の出身で、いまは静岡の大学で留学生として学んでいる「ダルシム君」(もちろん仮名)から聞いた話を紹介しよう。
さて今回は、静岡の大学で留学生として学んでいるインド人の「ダルシム」(もちろん仮名)から聞いた話を紹介しよう。
ーー日本とインドは遠く離れているから、第三国を経由して文化が伝わることがある。仏教はインドで生まれて中国に伝わり、公式には日本へ6世紀に伝わった。それは道教の影響を受けて中国化された仏教だからインド仏教とは違う。
カレーもイギリスから伝わったイギリス式カレーだから、インドのものとかなり違う。ダルシム的にはどう?
日本のカレーはスパイスが効いていなくて、ドロっとしていてちょっと“甘い”感じがしますね。インドカレーとは別の食べ物ですけど、おいしくて好きですよ。それに値段が安くて量があって、日本語で言う「コスパ」が良いですから学生には助かります。
ーー日本のカレーはイギリス海軍から伝わったという説がある。「ミリ飯」だから、大量生産できて効率は良い。
それに日本人の創造性はすごいです。『ココイチ』には行くたびに新作カレーがありますし、前にたまたまネットで見た「青い富士山カレー」は衝撃的でした。
ーーあのビジュアルにはインド人もビックリと。あれは特別で、「カレーは黄色」っていう日本人の常識も破壊した。

日本のインドカレー店で見たヴィシュヌ神の化身であるクリシュナ。
※「化身」をサンスクリット語で「アヴァターラ」と言って、これが「アバター」という英語の由来になった。
クリシュナは子どものころ牧童をしていて、彼は横笛を吹く姿で描かれることが多い。かなりの美少年だから、インドでの人気は昔から爆発中。
ーー料理だけじゃなくて、外国にいると人も“現地化”することがある。ダルシムも日本に2年以上いたら、性格や行動で変わったことはない? スパイスの摂取量が足りなくて、「ヨガファイヤー」ができなくなったとか。
直球の偏見ですね。でも、たしかに性格は日本人っぽくなりました。インドにいたときは、規則を守るのは「任意」だったんですよ。
ーー守るかどうかは自分が決めるってこと?
そうです。たとえばバイクに乗っていると、周囲の安全を確認して逆走や信号無視をしていましたけど、日本では歩行者信号でも止まるようになりました。
ーー日本人がインドへ行くと、よく「カオス」って表現する。「遵法精神」は日本人とインド人の最大レベルの違いだと思う。幸せは自分の心が決める、ならいいけど、規則やルールは無条件で守らないと。
インド人は自分の気持ちに正直で、基本的にやりたいことを我慢するのが苦手なんです。日本人は反対に抑制的です。
ーーそういえば、前にネットでこんな言葉がバズった。「日本人は『他人に迷惑をかけてはいけません』と子供に教えるけれど、インド人は『自分も他人に迷惑をかけているから、他人から迷惑をかけられても許してあげなさい』と教育する。」この言葉の背景にもそんな日本人とインド人の違いがあると思う。
ところで、ダルシムはこの言葉を知ってた?
いえ、初耳です。
ーーやっぱり。何人かインド人に聞いてみたけど、誰もこのことばを知らない。由来が不明だから、どっかの日本人が「インド人設定」で作ったんじゃないかと思ってる。

ペンギンが「ぼくを使ってね」と口を開けて待っているのに、ゴミのポイ捨てをするインド人はあとを立たない。
ーーダルシムが最近覚えた日本語はなに?
ユーチューブで日本語を学んでいるんですけど、「キツネの嫁入り」という言葉を知って、おもしろいと思いました。晴れているのに、突然雨が降るとこう言うらしいですね。
ーー暗闇に見える不思議な火の列をそう呼ぶこともある。
友だちの日本人は「キツネの嫁入り」を知らなかったんですよ。だから、「外国人のわたしがあなたに日本語を教えてあげた!」って言ったら、嫌な顔をされました。
ーー豆知識って覚えるのはカンタンだけど、それを披露して好印象を得るのは難しい。その場の状況や相手の気持ちをすぐに把握しないといけないから、タイミングを間違えてウザがられることが多い。前に日本語を学んでいるインド人が「漢字を読むより、空気を読む能力のほうが大切」と言ってたよ。
インド人にはそれが苦手なんです。「ダルシムは話が長い」「人の話を最後まで聞け」って日本人によく言われます。私はインドでは控えめな性格だと思うんですけど、日本人基準だと、自分の気持ちを伝えようとする気持ちが強いみたいです。
ーーそういう文化というか空気感は簡単に学べないから、外国人との「warm conversation」は難しい。日本人がインドに住めば、逆に「おまえは何を考えているのかわからない。もっとハッキリ話せ」って言われる予感。日本人はそれが苦手だから。国際化の時代に生きる日本人は、ちょっと「インド人化」したほうが良さそう。

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