なぜ外国人の着物姿は喜ばれる? 日本流の寛容さと面倒な Woke

先日、SNSで大バズリした駐日リトアニア大使の娘さんの振袖姿。
日本人からは祝福の嵐となったが、実はこれ、アメリカでは大炎上しかねない出来事なのだ。
なんで日本では喜ばれ、アメリカでは批判の対象になるのか? 「Woke」という言葉をキーワードに、日米の価値観の違いを解説しよう。

目次

リトアニア大使の娘が「振袖」で、13万いいねを集めた理由

リトアニア大使が成人式に合わせ、娘の振袖姿を Xに投稿した。
「今年、上の娘は20歳になります。もう、大人ですね🥹 この間、着た👘姿はいかがでしょうか」という親心あふれるメッセージに対し、13万件以上の「いいね」が集まり、大きな話題となった。

この出来事は、日本とアメリカの「価値観の差」をはっきりと映し出している。
簡単にいえば、日本には「文化の盗用」という、他国の文化を勝手に使うことを厳しく批判する考え方がほとんどないからだ。

 

日本の「歓迎」とアメリカの「文化盗用」は何が違う?

金髪で青い目をした白人女性が着物を着た写真に対し、日本人からは、称賛、共感、歓喜といったポジティブなコメントが殺到。

・日本を本当に愛してくださる素敵なお写真に感無量です!
・色合いもよくお似合いですし、膝下が長いからか大きめの柄も映えますね。
・お綺麗ですね!お嬢様の成人式おめでとうございます。
・ご家族と可愛いらしいお嬢様の幸せが長く長く続きますように。
・西陣織の帯がとても華やかで、全体の調和が素晴らしく、本当によくお似合いです。

これが、日本で暮らす人が持つ「当たり前の感覚」だ。
外国人が着物を着ていると、日本人の多くは「自分たちの文化を大切にしてくれてうれしい」と素直に喜ぶ。
伝統文化が国境を越えて愛されることは、日本人にとっての「誇り」で、リスペクトの証として歓迎される。

しかし、この感覚が全く通用しないのがアメリカ。
世界中からやって来た移民で社会が構成され、さまざまな民族がいるアメリカでは、他人の文化を取り入れることを「Cultural Appropriation(文化盗用)」と呼び、バッシングの対象になることが多々ある。

とくに「歴史的に立場が弱かった人々の文化を、強い立場の人(実質白人)がファッションとして楽しむこと」には強い拒絶反応がある。
たとえ悪気がなくても「差別的だ」と炎上し、SNSの投稿が削除に追い込まれるケースも少なくない。
たとえば、アメリカの地方でおこなわれたイベントで、白人がチャイナドレスを着た写真をSNSにポストしたところ、「それは文化盗用で差別的だ!」といった批判が殺到したため、本人は謝罪して写真を削除した。

アメリカで話題の「Woke(ウォーク)」とは? 正義感の暴走

こうした過度な政治的正しさ(ポリコレ)の追求には、アメリカ国内からも「やりすぎだ」という声が上がっている。今回の投稿に対しても、(おそらく)アメリカ人が SNSで次のような皮肉まじりのコメントをした。

“Woke Americans would have a seizure calling it cultural appropriation.”
(ウォークなアメリカ人なら、これを見て発作を起こして、『文化盗用だ!』と叫ぶだろうね。)

Woke」とは「目が覚めた」という意味だが、ネットでは「意識高い系」や「社会正義に敏感すぎる人」を指す言葉として使われる。
他人の言動を厳しく監視し、ポリコレを武器に攻撃する人たち、つまり、「めんどくせぇ連中」といった否定的なニュアンスで使われることが多い。
自分の価値観を押しつけ、ポリコレ棒でポカポカ叩く人は日本にもいる。

海外からの反応を見ると、こうしたウォークや「行き過ぎたポリコレ」に嫌気がさしている人が多いことがわかる。

・西洋では、特に白人が「文化の盗用」と反発するだろうね。ありがたいことに、日本人は西洋人のようにうるさくない。
・北米なら、左翼の人たちは彼女を泥の中に引きずり込むだろう。
・アメリカだったら、左翼が「文化の盗用」と叫ぶ。
・日本に「文化盗用」なんてナンセンスなことがなくなって本当に良かった。これで好きなものを楽しめる。
・「日本人:😍 ウォークなアメリカ人:😡」

日本語のコメントの中にも、「彼女はとても美人ですが、日本人には見えません。」というものがあった。内容と表現からして、外国人が書き込んだものだろう。

日本の「おおらかさ」が文化の壁を壊す

アメリカでは「多様性を守ろう」とした結果、かえって文化の間に高い壁ができてしまった。異なる文化に触れるときに、「誰かを傷つけたり、怒らせるかもしれない」という恐怖が、自由な交流を邪魔しているのだ。

一方、日本は異文化に対してとても「おおらか」だ。リトアニアの女性が振袖を着たら、それを笑顔で受け入れる。「それは文化盗用だ!」と怒り出すのではなく、「着てくれてありがとう」と感謝する。この日米の価値観の差は大きい。

文化は隔離して守るものではなく、共有することで豊かになる。
そうした日本流の「寛容な多様性」が国際交流には役立つ。今回の出来事は、それをしめす一例となった。

外国人のコメントを見ると、多様性への配慮に息苦しさを感じている人が多いことがわかる。

・自分たちの文化が他人に受け入れられたとき、日本人は祝福できる。それが大好きです。
・彼らは心が広く、自分たちに向けられている尊敬と喜びを理解している。
・世界にはもっとこのような物語が必要❤️
・日本は異文化のトレンドに対して、信じられないほどオープンでクールです。その点では感心せざるをえません。
・文化交流が大好きです!! 尊敬しながら学ぶ!! こうして壁は壊れるのです!!💪🏻

なかには、日本人の外国人観にとまどう人もいた。

・何年もここに住んでいますが、いまだにこの国が理解できません。外国人に対する憎しみはあります。しかし、その一方で、外国人が日本の伝統に興味を示すと、彼らは必ず祝福します。外国人に対する一貫した態度がないようです。

 

 

アメリカ 「目次」

【文化盗用】正月をめぐる中国人と韓国人の言い争い

【文化盗用】アメリカ人は怒り、“被害者”の日本人は蚊帳の外

【動画】米スタバで起きた人種差別。まるでローザ・パークス

アメリカ人の日本の印象は?信頼関係・歴史・文化・盆栽など

【国際化】有名K-POPアイドルが踏んだ地雷「文化の盗用」

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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