【日韓の対立】原因は歴史・領土・政治の「三位一体」の構造にあり

近くて遠く、近づくと離れてしまう。

日本と韓国の関係はそんな感じにとても複雑だ。しかし、国が引っ越すわけにもいかないから、隣国とのつき合いはこれからも避けられない。

今回取り上げるテーマは、日韓関係を難しくさせている3つの要因だ。
これらは「一体化」しているからややこしい。

目次

日韓関係|「氷の下でも水は流れる」

日韓関係が「戦後最悪」と言われるほど落ち込んだ2019年ごろ、韓国メディアのコラムで印象的なフレーズを見た。

当時、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は慰安婦問題や元徴用工問題について、日本政府に「被害者中心の対応」や「誠意ある謝罪」を要求し、日本の態度を強く批判した。

それに対して安倍首相は、慰安婦・元徴用工問題における韓国側の合意や国際法に反する行為に抗議し、日韓関係はこれ以上ないほど冷え込んだ。

それでも、お互いの国を旅行する人はいたし、さまざまな経済・文化交流もおこなわれていた。
ある韓国メディアはそんな両国の状態を、次のように表現した。

「厚い氷の下でも水は流れている」

文化交流は盛んでも、終わらない日韓の対立

その後、2023年に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が誕生すると、日本に理解のあるアプローチをしたことで、凍りついていた「氷」が急速に溶け始めた。

それ以来、日韓のお互いの好感度は上昇傾向を続けている。

ことし2月に発表された好感度に関する調査の結果、韓国人の日本に対する好感度は、前年より15.8ポイント増の56.4%を記録した。
2014年に調査が始まって以来、これが最も高い結果となった。

しかし、全体的に見ると、日本に対する韓国の視線はまだまだ冷たい。
日本に対する好感度はタイ(約95%)が最も高く、米英仏も80%を超えたが、ロシア(56.5%)よりも低かった。
韓国人から見て好意的な国の順では、対象となった6カ国のうちで日本が最低だ。

個人的には、まさかロシア以下だとは思わなかった。
それでも、前年より大幅にアップしていて、日本に対する見方は温かくなっていることは間違いない。
近年、日本でも韓国に対する好感度は上がっている。
しかし、日韓がどれだけ近づいても、超えられない壁が存在する。

日韓対立が終わらない理由 「三位一体」の構造とは?

テレビやネットのニュースを見ると、日韓には友人同士のような民間交流がある反面、政治的対立の報道が定期的にある。

人と人なら良い感じだが、国同士になると激しく対立することが珍しくない。
日本と韓国がどれだけ近づこうとしても、玄界灘には深い溝があり、これを埋めることはできないでいる。

その背景には、「歴史教科書」「竹島(領土)」「国内政治」という、解決困難な3つの要因が深く絡み合っている。
これから、この「三位一体」の構造と、それを原因とする日韓の終わらない対立について解説していこう。

両国の間にある摩擦は、主に以下の3つの要因が複雑に連動することで引き起こされている。

1.歴史教科書と教育の違いが生む「認識のズレ」

第一の要因は、歴史教育における教え方の違いと、それに伴う認識の差だ。
韓国の教育では、植民地支配による「被害の歴史」が前提になっていて、「独立運動の意義」が重視されている。

日本の歴史教科書に比べ、感情的な記述が多いのが韓国の教科書の特徴だ。
日本の残酷性や自国の被害性が強調されているから、あれを読んでいると、ほとんどの子どもが日本を嫌いになると思う。

 

それに対して、ここ最近、日本の教科書の記述傾向は、韓国とは正反対に進んでいる。

毎年3月の後半になると、日韓のあいだで歴史をめぐる摩擦が発生し、韓国ウォッチャーのあいだでは「春の風物詩」にもなっている。

文部科学省が新しく使われる教科書の内容を確認し、その結果が毎年、3月の下旬〜末に公表される。

先日、検定に合格した教科書が発表されると、韓国政府はすぐに激しく日本に抗議した。
歴史教科書については、歴史的事実を「わい曲」した教科書だと否定し、日本政府に「即時是正」を求めた。

具体的には、慰安婦・徴用問題のことだ。
韓国の歴史認識では、日本軍が朝鮮の女性を“強制連行”し、“性奴隷”にしたとされている。
しかし、日本は「根拠がない」とその説を否定する。

日本の立場からすると、韓国の「正しい歴史」こそが「歴史わい曲」になるから、絶対に受け入れることはできない。
正しい歴史に基づいて、友好関係を築くことが重要だという点では日韓の思いは完全一致している。

しかし、日韓では真実や正しさが逆転してしまう。
日本が歴史を最適化するほど、韓国から見ると加害性や残酷性は薄まって「わい曲性」が増すから、抗議が止まることはない。

2. 絶対に妥協できない領土問題

第二の要因は、日韓対立の最大の象徴とも言える竹島(韓国名:独島)をめぐる領土問題だ。

上述の教科書検定では、日韓が領有権を主張している竹島(韓国名:独島)についても、韓国側は激しく反発した。

日本は、「竹島は歴史的にも国際法上も日本固有の領土であり、韓国によって不法占拠されている」と主張し、教科書にもそう書かれている。

しかし、韓国の立場からすると、これは「根拠のない主張」が含まれた教科書を文科省が合格させたことになるため、日本の「不当な主張」はまったく受け入れられないと強調する。

 

領土問題は単なる地理的な境界線の話ではない。国の誇りや完全な独立の象徴、「国家の主権」にかかわる問題と認識されている。

そのため、日韓のどちらも1ミリも譲歩することはできない。特に韓国では、一般市民の関心がとても高く、政治家が「独島」で日本にほんの少しでも譲るような気配を見せたら、「親日派(裏切り者)」の烙印を押され、社会的に抹殺される。

 

20年前、朝日新聞に掲載されたコラムが日本で物議をかもした。

竹島が争いの火ダネになっているから、いっそのこと日本が竹島を韓国に譲り、その見返りとして韓国はこの島を「友情島」と呼ぶことにしたらどうか、と提案したのだ。

「これは夢想に過ぎない」と言っていたが、どちらも可能性としてはゼロだ。
「もう竹島を手放そう」と主張する日本の政治家が現れたら、近年マレに見る大炎上になることは間違いないが、あちらはきっともっとヒドいことになる。

韓国の政治家が「日本の好意に応えて独島を改名しよう」なんて言い出したら、半島を揺るがす大騒ぎになって、その政治家は家族を連れて亡命することを考えるかもしれない。

3.対立を“終わらせない”国内政治の力学

第三の要因は、韓国側が政治的な思惑から、対立を「利用している」という構図。

文科省が教科書検定の結果を公表すると、韓国政府が強く抗議するのは毎年の恒例行事となっている。
抗議をしたところで、日本が教科書の内容を書き換えることはない。
なのに、なぜこうした摩擦を繰り返すのか。
それは、「外部との対立」が、国内の支持を固めるための強力なツールになるからだ。

特定の国に対して強硬な姿勢を示すことで、政権が国内のおもに保守層からの支持を獲得しやすくなる。これは世界共通の政治力学だ。

韓国の場合、政治家が支持を集めるために、日本を強く非難することがよくある。
韓国国民も日本の文化は好きでも、政治的には嫌っていて「共通の敵」となっていることが多いから、こうした主張は「受け」が良い。

韓国の政治家の考え方は、韓国メディアが誰よりも知っている。
全国紙の朝鮮日報が社説でこんな指摘をした。(2017/12/29)

日本を批判するのは韓国の政治家にとっては非常に魅力的に映る。なぜなら誰もが簡単にできるし大衆からの支持も得やすいからだ

日本を敵視する文大統領、国益は計算しているのか

韓国の政治家にとって、「日本たたき」は薬にも毒にもなる。
やり過ぎると日本を怒らせるから、結果的に韓国の国益を損なう。
この時、文大統領の「日本たたき」があまりに激しかったから、朝鮮日報も不安になったのだ。

しかし、教科書検定を非難するのは毎年のことで、日本からの「反撃」はない。
それが分かっているから、韓国側は安心して「歴史わい曲や不当な主張をするな」と日本を非難することができる。

政権にとっては「ノーリスク・ハイリターン」を期待できるから、確かにこれは魅力的だ。

ちなみに、日本は韓国の教科書検定に抗議をしない。
そういう配慮が逆効果になっているかもしれない。

3つの要因が絡み合う「対立のループ」

これまで解説した3つの要因は、それぞれ単独で存在しているわけではなく、互いに影響し合いながら一体化することで、「悪循環(ループ)」を生み出している。

以下の内容は日本にも当てはまるだろうが、韓国側でとくにその「空気」が強い。

 

対立の要因 ループにおける役割
歴史教育 相手国に対する固定化された「認識」と「警戒心」の土台をつくる。
領土教育 譲れない問題として、国民の「愛国心」や「ナショナリズム」を強く刺激する。
政治(外交姿勢) 国内世論をまとめるために、定期的に対立を可視化させ、問題を再燃させる。

 

教育によって相手国への否定的なイメージが形成され、教科書検定などがあるとすぐに火がつき、政治家がそれを利用する。

「どちらの主張が正しいか」を議論すると、この構造をさらに強化することにつながるから、決して対立は終わらない。

まとめ:春の陽気の下でも、冷水は流れ続けている

以上で見てきたように、日韓の対立は、いくつもの要素が複雑に絡み合った「終わりにくい構造」を持っているのだ。
しかし、それを解決するのは政治家の仕事で、一般国民にその責任はない。
日韓の摩擦は「治癒できない成人病」と考えて、それとつき合う方法を考えたほうがいい。

まずは、ニュースやネットの情報に流されて、感情的にならないことが大切だ。
3月になって韓国政府が日本の教科書に抗議しても、「もうそんな時期か」と思い過ごすぐらいでいい。

氷の下でも水は流れているし、暖かい春の陽気の下でも冷水は流れ続けている。
日本と韓国はそんな複雑で難しい関係なのだ。
だから、それはソレ、これはコレと上手に切り離して、相手と上手に付き合っていくしかない。

もちろん、交流したくなかったら、相手にしなければいい。
攻撃するよりも、無視したほうが日韓関係にとっては有益だ。

余談

今回の検定に関することで気になる動きがあった。
産経新聞の記事(2026/3/24)

高校教科書、加害責任や一面的な歴史認識が国語にも 地歴科の「検定基準逃れ」

歴史の教科書では、客観的な事実と認められないことや、配慮なしに一面的な見解を取り上げることはできなくなっている。
しかし、国語の教科書にはその基準が適用されない。

それで、小説などを使って「日本兵がフィリピンで住民を殺害する」場面や、「日本は戦争の加害者なんです」というセリフ、さらに「住民同士が殺し合う」という内容の記述が掲載されている教科書があった。

社会の教科書に日本の戦争責任や残虐行為などを載せにくくなったから、「脱法的」に、国語の教科書にそれを書こうとする。
今回の検定では、そんな「検定基準逃れ」の動きがいくつもの教科書であったという。

「歴史がダメなら国語で」という執念には、韓国の人たちも驚くかもしれない。

 

 

韓国 「目次」

【日本人と韓国人の違い】アメリカ人が感じた、似て非なる国

良くも悪くも自己主張:アメリカ人が思う日本人と韓国人の違い

【韓国の用日】日本に対し、反日・親日よりも自分の利益を優先する

【歴史戦】日本の「新羅は属国だった」に、韓国が「歪曲、右傾化だ」

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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