最近、ある有名人の「私は戦争に反対です」という言葉がネットで炎上した。
これを「平和を願う純粋な祈り」と理解した人は肯定的に受け止め、「戦争反対という言葉を政治的に利用している」と判断した人は不快に思って反応した。
この場合は解釈の仕方が原因で批判を受けることになったが、それとは別の要因で、正しいことを言ってもぶっ叩かれることがある。
偽善的な「シャンパン社会主義者」はどこの国でも嫌われるのだ。
正しい発言でも炎上する?「誰が言うか」の重要性
スリランカが誇るセイロンティーはどれも美味しいが、「正論ティー」は飲む人によって味が大きく変わる。
「貧困や不平等をなくそう!」と小学生が言うなら無条件で受け入れられても、それを大人が言うと、受け止め方はまったく違う。
ここで重要なのは内容の正しさのほかに、「誰が言ったか」という要素だ。
たとえば、使い切れないほどのお金を持っていて、セキュリティ万全の高級住宅に住んでいながら、SNSに「生活に困っている人がたくさんいるのが悲しい。こんな不平等な社会にした政府は間違っている!」と書き込んだら、その矛盾した二重基準から集中砲火を受けることは必至。
偽善と批判される「シャンパン社会主義者」とは
昨年末、知り合いのアメリカ人から、「貧困を嘆くセレブ」といった偽善的な人間のことを英語で「Champagne Socialist(シャンパン社会主義者)」と表現することを知った。
「正しいことを言ったら叩かれる」という状態は矛盾しているように見えるが、そもそも自分の存在が主張と矛盾していたら、批判されても仕方がない。
これから、そんなシャンパン社会主義者について書いていこう。
欧米では、シャンパンには「富と成功」のイメージがあるため、庶民的な飲み物のワインとは別枠で、高級でぜい沢な飲み物と考えられている。
AIに英語でシャンパンについて尋ねると、「“rich person” drink(“お金持ち”の飲み物)」という、これ以上ないほど分かりやすく答えてくれた。
そんな違いが生まれた理由については、この記事を読んでほしい。

シャンパンは富裕層の優雅な生活を象徴していて、貧困の反対側にある飲み物だ。
何不自由ないキラキラした世界に生きているセレブが、社会の不平等を敵視し、それを公開するリスクはとてつもなく高い。
それは、安いワインを飲んで満足している一般人への挑発行為にほかならない。
バーニー・サンダースの矛盾
社会の上位に集中している富をみんなに分けて、貧富の差を小さくする。社会主義者とは、そんな平等な社会の実現を目指す人を指すはずだ。
庶民からすれば、マンガのような世界に住んでいる特権階級がそんな正論を唱えると、「シャンパン社会主義者」と皮肉を言いたくなる。
先ほどのアメリカ人はその「具体例」として、2016年と2020年に大統領選挙の民主党予備選挙に立候補した大物政治家、バーニー・サンダース氏を挙げた。
彼はリベラルの立場で、社会の公平・平等性を重視し、自身を「民主社会主義」と呼んだ。
民主主義を通じて、社会主義を実現しようと考えているのだろう。
それなのに、じつはサンダース氏は本の印税などで大稼ぎをして、豪邸を3つも所有する超上級国民だと分かり、批判が殺到した。
英語版ウィキペディアにある「Champagne socialist」の項目でも、彼の名前が登場している。
サンダース氏は自分の財産をほとんど寄付しないで、ぜい沢な生活を享受していた。
それにもかかわらず、社会的な格差を縮めるために増税を訴えたから、「口を開く前に財布を開けろ」と政治評論家に非難されてしまった。
限られた人間しか味わえない「最高級」を楽しみながら、「格差をなくそう」「貧困を救おう」と語る。
多くのアメリカ国民もそんな強烈なギャップ、彼の「有言不実行」に白けてしまったのだ。
「正論を語るセレブ」が炎上する背景
セレブが「正論」を語って批判される場合、その本質は「発言内容」ではなく「立ち位置」にある。
単なる善人アピールではなく、本気で社会を変えたいと思い、ふだんからそれなりの行動をしていたら、たとえ発言だけを切り取られたとしても、世間から十字砲火を受けることはない。
サンダース氏も多額の寄付をして、もう少し庶民に近い生活をしていたら、ウィキペディアで「名指し」されることはなかっただろう。
しかも政治家が自分の財産には手を付けず、税金を上げようとしたら、国民を敵に回すのは当たり前。
主張の内容そのものは間違っていない。発言者の「立ち位置」がそれととんでもなく離れていたことが問題の核心だ。
「立ち位置」を見極めて、正しく叩こう
庶民の「シャンパン社会主義者」という皮肉や非難は、単なる嫉妬や揚げ足取りの場合もある。
しかし、「主張の正しさ」「発言者の特権的な立場」「実際の行動」——この3つに大きなズレがある時、人は「おまえが言うな」と呆れ、強い怒りに変わることもある。
一度、「偽善者(シャンパン社会主義者)」と認定されると、せっかくセレブが「正論ティー」を入れても、庶民に拒絶されてしまう。
たいていのセレブは、そんなことを指摘されなくても十分承知しているから、優雅な生活を公開しながら貧困を嘆き、社会的な平等の重要性を語るようなミスはしない。
しかし、社会的正義を語って自爆する政治家や実業家が後を絶たないのは、特権階級にいることが当たり前になってスキが生まれるからだろう。
とはいえ、決して感情的になってはいけない。
発言した人のそれまでの振る舞いを見て、「立ち位置」をしっかり確認したうえで、最低限の礼節をもって相手を叩く必要がある。
「開示請求」という巨大ブーメランが返ってきて、必死に謝罪する庶民も後を絶たないのだから。

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