「韓国を育てたのは日本」という投稿が炎上した理由
1910年から1945年までの日本による朝鮮統治は、韓国では「日帝強占期」と呼ばれ、一切の自由や権利を奪われた、とても残酷な時代だったとされているーー。
もし、そう考える日本人がいたら、韓国の全国紙・中央日報が報じた記事を見て意外に思うかもしれない。
「正直、韓国は日本が育ててくれたのは事実じゃないか」ネット掲示板の投稿が炎上
この発言は韓国の一般的な歴史認識を真っ向から否定するもので、最大級のタブーとされている。
これに触れたら、タダでは済まない。

日本が朝鮮に設立した京城帝国大学
「韓国は日本が育てた」への激しい反論
最近、韓国のあるオンラインコミュニティに「正直、韓国は日本が育ててくれたのは事実じゃないか」というタイトルの投稿があり、こんな主張が展開されていた。
・無能だった朝鮮時代に、日本が支配していなかったら、ロシアや中国の植民地になっていただろう。
・日本の植民地支配があったおかげで、いま韓国民は豊かな暮らしができている。
投稿主は日本の支配を肯定的にとらえ、「国家発展に役立った」と結論づけた。
しかし、韓国で「正しい」とされている歴史はこの真逆。すぐに、凄まじい数の反論コメントが寄せられたという。
・韓国は朝鮮戦争によって世界最貧国となり、日本が残したインフラのほとんどが破壊された。
・日本が設置した鉄道やインフラは近代化のためではなく、資源の収奪を目的としたものだ。
韓国の近代化は日本のおかげではなく、「漢江(ハンガン)の奇跡」と呼ばれる戦後の経済成長によるものだと主張する人もいた。
投稿者の主張に対して、大多数の人が「歴史的事実をゆがめている」と批判したと記事に書いてある。
ということは少ないながらも、「日本の統治が韓国の近代化に貢献した」と考える人がいるということだろう。
実際、韓国では昔からそんな発言をする人が現れる。
数年前、大学生が「日本の植民地時代が韓国の成長基盤になったのでは?」と問題提起した。

そして、そのたびに炎上するのがお約束。

ハングル表記の新聞(日本統治時代)
「事実」と「評価」は別問題
日本の統治によって韓国の近代化は進んだのか?
それについては韓国や日本の中で「イエス」と「ノー」の意見があり、さらにそのイエス(またはノー)の立場でもゼロから100まで幅は広い。
この質問に対する「日韓の統一見解」なんて存在しない。
ただし、韓国社会では「ノー」が主流だ。
それどころか、むしろ「マイナスだった」と考える人が多いかもしれない。
個人的には、以下の理由からその説は事実だったが、韓国から評価されることはないと考えている。
・1909年に戸籍制度を導入したことで、朝鮮時代に「人間以下の存在」とされていた白丁などの賤民にも姓を持つことが認められ、学校に通うことができるようになった。
・朝鮮統治の最優先事項に学校建設があり、1940年代には各種学校が1000校を超えた。
初等教育の就学率は1910年で1.0%だったが、1943年には49.0%にまで上昇。
一般人の識字率が向上したことは言うまでもない。
・鉄道・道路・港湾が整備されたことで、人やモノの移動が容易になり、物流も拡張された。
また、当時アジアで最大級の水力発電ダム(水豊ダム)が建設され、一般家庭に電気が普及し、夜でも明かりがともった。

・都市に上下水道や電信・電話が整備されたのもこの時代だ(日本統治時代の朝鮮)。
こうしたインフラ整備によって、朝鮮半島の社会構造は大きく変化し、結果として近代化が進展したと個人的には考えている。
もちろん、「それはすべて日本の利益のためだった」や「識字率の向上には同化政策の側面があった」という意見はある。
それに、朝鮮人のアイデンティティーを失わせるような「創氏改名」がおこなわれ、抗日運動が発生したことも事実。
国家の主権が無くなり、異民族に支配されたこと自体が大きな苦しみだ。

京城女子師範学校:ここで女性教師が育成されていた。
「誰のための近代化か」という視点の違い
歴史の事実とその評価は別の問題だ。
日本統治によって、朝鮮の近代化が進んだことが事実だったとしても、韓国側がそれに感謝したり、高く評価することはない。
そんな反応があったとしても例外的で、その代償として激しい十字砲火を受ける。
韓国の歴史認識では、日本統治は「全面悪」とされ、あの時代は闇に覆われ、「光」はなかったとされている。
日本を加害者、自分たちを被害者と考えられているため、あの時代を肯定的に解釈されることはまずない。
だから、「誰のための近代化だったのか」という問題を考えた場合、韓国では「日本のため」という答えが正解とされている。
近代化は進んだとしても、それは支配する側の都合によるものであった。
受益者(利益を受ける人)が朝鮮人でない近代化には意味がない。これが「日本は韓国の発展に役立った」という意見に共感できない要因になっている。
韓国では、あの時代は「日本に収奪された」とされているが、日本ではそれと反対の見方がある。
産経新聞の記事で、朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏がこう語っている。(2017/12/20)
1905年から45年まで、国家予算の10%以上を朝鮮半島の支援に当てている。「収奪された」のはむしろ日本の納税者なのだ。
近代化のため日韓併合推進した李氏朝鮮 それぞれが生き残るために選んだ「マイナスの選択」
日本の朝鮮統治については、「真逆」のような意見がよく出てくるから複雑だ。
独立運動家への思いと「恩」の価値観
以前、知人の韓国人(20代・男性)とこのテーマで話をしたさい、こんな印象的なことを聞いた。
「今の韓国は、独立運動家の努力や犠牲のうえに成り立っています。日本が韓国を近代化したというのは、おそらく事実です。でも、それを認めると、独立運動家の思いを否定することになります。そんなことはできません。」
韓国の価値観では「恩人を侮辱する行為」は絶対に許されない。
たしかに韓国の人たちは先祖をとても尊重し、「恩」を大切にしている。
その観点からすると、「日本の植民地支配があったおかげで、いま韓国民は豊かな暮らしができている」なんて言う韓国人は、最低最悪の裏切り者だ。
結局、日本の統治によって韓国社会が近代化したかどうかは、それを解釈する人によって結論がまったく違うため、「誰にとっても正しい見解」は存在しない。
百歩譲って、それで韓国が発展したとしても、民族意識からそれを認めることはできない。
とくに「韓国は日本が育ててくれた」と、上下関係のニュアンスを含ませると、韓国の国民感情を逆撫でするから、猛烈な反発がかえってくる。
日本にはそんな“縛り”がないから、自由に議論すればいいが、見えている地雷を踏んではいけない。
日本人の立場から、「あの時代に韓国は近代化した」という言い方をすると、客観的には事実だったとしても、その発言は確実に韓国人の心に火をつけることになる。
あの時代に韓国社会が発展したとしても、現代の日本人には関係ないから、あえてこの話題にふれる必要もない。
韓国のことは韓国人にまかせればいい。

京城歯科医学専門学校:ここで歯科医が育成された。
台湾と韓国の歴史認識の違い
韓国よりも長く日本統治を受けた台湾では、「近代化」議論はタブーにされていない。
知人の台湾人を含め、そう主張する人は多い。
総統だった人が「台湾の発展は日本時代のインフラ整備が土台になっていて、とくに“日本精神”を残してくれたことが大きい」と言っても、台湾では問題ない。

韓国で同じことを言ったら、社会的に抹殺されてしまう。

コメント