「日本とナイジェリアの距離は近くなったな」と、最近そう感じさせる出来事があった。
パリ五輪でゴールキーパーとして活躍し、昨年には日本代表にも招集された小久保玲央ブライアン選手が、ナイジェリアへ「流出」するかもしれないという。
現在、日本代表では鈴木彩艶(ザイオン)選手が正ゴールキーパーを務め、今年のワールドカップでも大活躍した。
鈴木選手が信頼されているため、A代表で別の選手が起用される可能性は低い。
小久保選手は日本人とナイジェリア人のハーフであり、両国の代表としてプレーできるため、ナイジェリア代表を選ぶかもしれない。
今のところ具体的な動きはないが、小久保選手の「ナイジェリア流出」を指摘するサッカーメディアもある。
鈴木彩艶選手も西アフリカのガーナにルーツを持つハーフだ。日本の国際化が確実に進んでいることがわかる。
さて、今回紹介するのは、日本に10年以上住んでいるナイジェリア人女性「アマカ」との会話だ。
彼女は日本の気候や文化、人々の性格についてどう感じているのか。

ナイジェリア人が感じた「日本の夏」
ーー最近、毎日くそ暑いから、全国の日本人が悲鳴を上げている。でも、赤道近くのナイジェリア出身のアマカなら、このぐらいの暑さはまだ余裕?
アマカ:それが、そうでもないのだ。
信じてもらえないかもしれないが、実はナイジェリアよりも日本の夏のほうがキツイのだ。
問題というか、一番の敵は「湿度」だな。
日本の湿気を含んだあのねっとりとした空気は、本当に不快になる。
ーーそうか、その話は信じるよ。
アフリカは熱帯で暑いけど、乾燥しているから日本の夏より過ごしやすいって、別のアフリカ人からも聞いたからな。
ア:そのとおりだ。
では、あなたはいつでもアフリカに住むことができるな!
ーー無理だな。
日本とアフリカのハードルはそんなに低くないだろ。
ア:知り合いの日本人に「日本の夏はナイジェリアよりもつらい」と話すと、「え?」と驚かれることが多いぞ。
ーー日本人は意外と、日本の異常な暑さに気づいていないみたいだな。

バーベキューを楽しみながら踊るナイジェリアの人たち
ナイジェリア人から見た「お盆」
ーーそんな暑い暑い8月に、日本では「お盆」っていうビッグイベントがある。
先祖の霊があの世から戻ってくる期間だから、言ってみればあれは「日本版ハロウィン」だな。
ア:知ってるぞ。
生きている人間と死者が一緒に過ごすというのは、ホラーでユニークな文化だと思う。
ーーナスとキュウリで作った「精霊馬(しょうりょうま)」っていう乗り物もあって、日本の夏の風物詩になっているんだ。
ア:あのナスとキュウリは見たことがあったが、名前までは知らなかった!
そうなのか、あれは「しょうりょうま」と言うのだな。
わたしも乗ってみたいと思っていたぞ。
ーーへ〜(なら、一度死なないといけないな)。

ーーナイジェリアでもお盆みたいに、死者が戻ってくる日はあるのか?
ア:いいや、そんな話は聞いたことがない。
ナイジェリアでは国民の大部分がキリスト教徒とイスラム教徒で、「死者が戻ってきて一緒に過ごす」という考え方はない。
キリスト教やイスラム教とは別の伝統的な信仰なら、そんな日もあるかもしれないな。
ーーアマカから見ると、日本のお盆はオカルトチックなんだな。
ア:日本では、キリスト教の影響が本当に薄いな。正直、もっと西洋に近い国だと思っていたから、そこは意外だったぞ。
ーーまあな。日本の伝統的な価値観と一神教の考え方って、昔から絶望的に合わないんだよ。


あるアフリカの食事
文化の違い|顔出しはNG
ーー「人」についてはどうなんだ?
ナイジェリア人と日本人ってどんな違いがあるんだ?
ア:ありまくりで、同じ部分を探すほうが難しいぞ。
そうだな、例えば「プライバシー」への意識だな。SNSのプロフィール画像がその代表例だ。
ナイジェリア人は一般的にプロ画に自分の顔を使う。そうしないと、「顔を隠す=何か悪いことをたくらんでいる」と勘ぐられてしまうからな。
ーー日本文化の特徴として「匿名性」を挙げる外国人は多いよ。
「身バレ」を警戒して、風景や動物、アニメキャラなどを画像にする日本人はよくいる。
ア:日本人はプライバシー意識が強いからな。
アフリカ人にとってネット空間は現実世界の延長で、日本人はネットとリアルを切り離している気がする。
ーーたしかに。
自分の好きなものをアイコンで表して、同じ趣味の人とつながりたいという目的もあるだろうけどな。
文化の違い|対人関係の距離感
ーーほかに違いを感じるところはあるか?
ア:「人との距離感」だな。
日本人は電車やバスで、できるだけ他人と離れて座ろうとするだろ?
ナイジェリア人なら、空いている席があったらすぐに隣に座ってしまう。そこにためらいはない。
日常生活のあらゆる場面で、人と人との距離が近いんだ。
ーー日本人の感覚だと、知らない人にいきなりパーソナルスペースに入られると、不快に感じる人は多いだろうな……。
ア:そこが違うんだ。日本人は礼儀正しいから「遠慮」を大切にしていて、それが社会の潤滑油になっている。
でも、わたしはやっぱりナイジェリア人だから、その感覚にまだ完全には馴染めなくて、今でも「冷たいな」と思うことがあるぞ。
ーーなるほどな。
プロフィール画像もそうだけど、日本人はネットでもリアルでも自分をさらさず、「一定の距離を保ちたい」って防衛本能が強いんだろうな。
ア:そうだな。
しかし、あなたの場合は、SNSの画像を美しい風景にしたほうが良いと思うぞ。
ーーほう。来年のお盆、お前は精霊馬に乗って遊びに来たいらしいな。
ア:ハハハ、それはお断りだな!
ーー日本人みたいな遠慮はいらないぞ。
ア:ここは日本の文化を尊重して、断固遠慮させてもらう。

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