知人のタイ人女性は静岡の大学を卒業したあと、日本で知り合った男性と結婚し、もう10年以上も静岡県に住んでいる。
ここでは彼女の名前を、タイでよくある「メイ」とする。
『となりのトトロ』に出てくるサツキとメイと同じ理論で、5月に生まれたからそんな名前をつけられた。
タイ人の感覚では、「メイ」という響きはかわいらしく聞こえるらしい。
さて、ギラギラと太陽が照りつけるある夏の日、そんな日本通のメイと会って話をした。これから、その模様をお伝えしよう。
日本とタイの夏、過酷なのはどっち?
ーーこのところ、毎日サバイバルみたいに暑いよな。
メイ的には日本とタイの夏なら、どっちが暑苦しいと思う?
メ:それは今のわたしにピッタリな質問ですね。
じつは今年の3月に娘とタイへ一時帰国して、5月まで出身地のイサーン(タイ東北部)で過ごしていたんです!
タイでもっとも暑くなるのはその時期なので、今の日本の酷暑期と比べることができます。
わたしの経験なので、正確にいうと「イサーン vs 静岡」という構図になりますけどね。
ーーで、その異種格闘技戦の勝者はどっちなんだ?
メ:わたしが勝利の女神なら、静岡にほほえみますね。
ーー静岡がそれを知って喜ぶか分からないけど、その理由は?
メ:知ったらきっと小躍りしますよ。
静岡の勝因は湿度です。イサーンでは4月になると、40度を平気で超えやがるので気温だけを見るとタイの勝ちです。
ーーでも、湿度が違う。
メ:そうです。
タイの夏は太陽が照りつける「ギラギラした暑さ」なんですが、日本の夏はそこに「蒸し蒸し」が加わります。だから、流れる汗がハンパないです。
そんなわけで、わたしにとっては今のほうが、イサーンの酷暑期よりも不快に感じます。
ーーつまり、日本の夏はダブル攻撃で襲いかかってくると。
メ:ザッツライトです。
だから、わたしは日本にウインクをしたのです。
ーー「微笑みの国」だけにか。
そもそも「より暑苦しい」というのが勝利なら、よろこんで敗者になりたいけどな。

地獄の門が開く日|タイにもある「お盆」
ーーそんな蒸し蒸し&ジメジメした日本の夏には「お盆」がある。
タイにも、先祖の霊が子孫の家を訪れる日はあるのか?
メ:似たような行事はありますよ。
8月か9月にイサーン地方で、「ブン・カオ・プラダップ・ディン」って行事をします。
ーーそういや、「ブアカーオ・ポー.プラムック」ってムエタイ選手がいたよな。
メ:そんな「絶対王者」の話はしていません、真面目に聞いてください。
この日は地獄の門が「ゴゴゴ…」と開いて、亡くなった先祖や無縁仏などの霊が戻ってくるんです。
だから、人びとは死者に食べ物を用意しておもてなしをします。
ーーその考え方と行為は「お盆」とそっくりだな。
それは正直、意外だった。
前にミャンマー人に同じ質問をしたら、「お盆みたいな日はありません、だって、それは仏教の考え方と矛盾するじゃないですか」って言われた。
メ:矛盾してますか?
ーーそのミャンマー人の考えだと、亡くなった人の魂は輪廻によって、別の世界に転生することになる。ふたたび人として生まれるかもしれないし、犬や猫などの動物になるかもしれない。
天国へ行くか、地獄に落ちるかもしれない。だからミャンマーでは、先祖を供養することはあっても、死者の魂がこの世に戻ってくるという考え方はないらしい。
メ:まぁ、ミャンマーの仏教とタイの仏教は違いますから。
話を戻すと、日本のお盆との違いがあるとしたら、「タンブン」の考え方ですかね。
タイ人にとってタンブンはとても重要な考え方ですけど、あなたは知っていますか?
ーー来世で幸せになるために、善行をおこなって「功徳を積む」ってことだろ。
「ブン・カオ・プラダップ・ディン」のブンって「タンブン」のことか!
メ:おっしゃるとおりです。
ポンコツな頭のわりには素晴らしい推測ですね。
ーーサンキュー、おまえはタンブンを少し減らしたけどな。
メ:そこは華麗にスルーして、「カオ」とはお供え物の「米」を意味します。
ーーそれって、バンコクにある「バックパッカーの聖地」と呼ばれた、あのカオサンロードの「カオ」か!
メ:正解です、やりますね。


To Be Continued…

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