「韓国で少女像(慰安婦像)が建てられた!」
と聞いて、今さら驚く日本人はいないだろう。
でも日本人からすると、「え?その意味がよく分からない」と困惑してしまうようなことが韓国では起こる。
今回は、2017年に起きたそんなできごとを紹介しようと思う。
日本から見たら”意味不明”だけど、韓国社会の価値観からしたら”ふつう”のこと。
このことから、慰安婦像についての日韓の見方の違いが見えてくる。
今年2018年もこの韓国的な考え方から、慰安婦像についていろいろなことが起きるはず。
まずは、慰安婦像がソウルの市バスに乗せられたことだ。
プラスチック製のこうした像がバスの座席に座っている様子を想像してほしい。
韓国社会では、それは常識の範囲内。
これは日本でも大きく取り上げられていたから、覚えている人も多いはず。
「その像5体が日本大使館前に集合した」ということがニュースになった。
産経新聞の記事(2017年10月2日)から。
韓国ソウルで、1カ月半余りの間、路線バスに乗せられて市内を巡回していた慰安婦像5体が2日、日本大使館前に集合し、その後、各地方都市に向かった。
韓国の中秋(チュソク)は、日本でいえばお盆にあたる。
この連休でたくさんの人が故郷に帰る。
それで、「市バスに乗っていた少女像も、故郷に帰らせよう」というイベントがおこなわれた。
それで故郷に戻る前に、市バスに乗っていた5体の慰安婦像が降ろされて、日本大使館前にある本家(?)の慰安婦像の横に並べられた。
それが記事の「像が故郷へ帰るパフォーマンスを行った」という部分になる。
日本大使館前の慰安婦像
この横に5体並べられた。
このパフォーマンスをおこなった後、希望者がこの像を車の助手席に乗せて、故郷に持って行った。
故郷といっても、希望者の故郷のこと。
これらの像の故郷は、正確には、どこかの製作所だろう。
とにかく韓国では、これで「像が帰郷した」ということになる。
「慰安婦像を市バスに乗せる意味や目的が分からない!」
日本ではそんな人が多かったけれど、この「少女像を故郷に連れて帰る」というイベントについては、さらに理解困難な人がネットで続出していた。
・意味不明。
・意味がわからねえ(笑)
・これに何の意味があるのか
・こういうのって誰かが止めないと、どんどんエスカレートしていくんだな
・多分やってる本人も何やってるか理解してない
こうした慰安婦像は韓国各地に運ばれ、そこで「市民の慰安婦問題への理解」のために使われるという。
日本人の感覚からしたらまったく意味不明のパフォーマンスだけど、韓国社会ではこれが常識。
むしろ、良識だ。
「慰安婦像がソウルの市バスに乗った」というニュースを聞いて、思い出したことがある。
このできごとの前に、韓国では病院の待合室に慰安婦像(少女像)が設置されていた。
「なんで病院の待合室に慰安婦像が?」と驚いたけど、それには院長のこんな思いがあるらしい。
「歴史としても必ず記憶し、子孫に教えなければならないと思って、病院の内部に“平和の少女像”を建てることにした」
ハンギョレ新聞の記事(2017.02.14)にそのことが書いてある。
少女は右手は拳を握って、左手は開いている。こぶしを握った手は怒りを、開いた手は許しを意味する。チョン院長は「許そう、しかし、忘れまい」という意味でこの少女像を「怒りと許しの碑」と名付けた。
病院で、患者がこの像と座っているのが”ふつう”という感覚なら、市バスに慰安婦像を乗せても違和感はないだろう。
ところで、そもそもこうした慰安婦像をつくって各地に建てる理由や目的は何か?
ハンギョレ新聞の記事(2017.02.04 )によると、この像の製作者は「慰安婦問題の正しい解決のため」だと言っている。
この像を製作した作家のキム・ソギョン、キム・ウンソン夫妻は、これまで様々なところで、この像が日本に対する憎悪を助長するための造形物ではなく、慰安婦問題の正しい解決を念願したハルモニ(おばあさん)たちのための「平和の碑」であると強調してきた。
でもこのキム・ウンソン氏は以前、東亜日報でこう言っていたのだが?
作家のキム・ウンソンさんは、「少女像は数十年間胸の中に隠していた恨みを取り出して、日本の蛮行を責める慰安婦被害者の勇気を尊重するという意味で作った」と話した。
少女像には、「日本の蛮行を責める」という思いが込められている。
じゃあ、「日本に対する憎悪を助長するための造形物」と言っても間違いではない。
実際、あの像によって韓国では反日感情があおられ、日本では嫌韓感情がつくられている。
慰安婦像を韓国各地に建てる目的は、「慰安婦問題の正しい解決」や「「歴史としても必ず記憶し、子孫に教えなければならない」ということだけではなくて、単純に「そうすることで快感を感じるから」ということもあるだろう。
韓国にくわしいジャーナリストの黒田勝弘氏は、韓国の反日の原因を「民族的快感」に求めている。
韓国にとって日本はいつまでも謝罪、反省、補償をしない存在であってほしいのかもしれない。
いつまでも日本を叱り、諭し、教え、導くことができるからだ。この民族的快感は捨てられない。
この民族的快感のゆえに、日本がたとえいくら謝罪、反省を表明し補償したとしても、それは終わらない、いや韓国にとっては終わらせたくないのだ。
「‘日本離れ’できない韓国 (文春新書) 黒田勝弘」
少女像を市バスに乗せて走らせたり、バスから降ろして故郷に帰らせたりする。
韓国人はこうしたパフォーマンスを楽しんでやっているように見える。
「慰安婦問題の正しい解決のため」といっても、そもそも慰安婦問題は、2015年の日韓合意で「最終的に」解決している。
韓国では、少女像を病院の待合室やバスの座席に座らせていた。
日本の社会で、違和感なくこうしたことができる存在は何だろう?
ゆるキャラぐらいしか頭に浮かんで来ない。
韓国人にとって少女像は、ある意味これぐらい身近なものなんだろう。
韓国は、日本人からしたら「え?意味が分からない」という活動をおこなって、「日本に過去の蛮行に対する心からの反省と謝罪を求める」としている。
でも日本人には、これが通じない。
2017年は、この意識のギャップが目立った。
日本では、バスに像を乗せたり故郷に帰らせたりする意味や理由が分からない人がほとんどだ。
だから、こうした活動が「心からの謝罪」には結びつかない。
韓国への拒否感が高まるだけで逆効果だ。
むしろ、これを”ふつう”とする韓国の感覚に、”異常性”を感じる人も多かった。
「近くて遠い国」をさらに遠くさせてどうする?
「こういうのって誰かが止めないと、どんどんエスカレートしていくんだな」というコメントのように、慰安婦像やそれを使った活動が本来の目的から離れていって、「韓国人の韓国人による韓国人のためのイベント」になっている。
日本人が見て「意味不明」と思う活動なら、もう日本とは関係がない。
でも韓国では、今年もこうした活動がきっとおこなわれる。
もし、その理由を考えるなら、単純に「民族的快感」や「それをすると楽しいから」という観点で見ると理解しやすいと思う。
韓国が何をしようとも、「慰安婦問題は日韓合意で解決した」という事実を変えることはできない。
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アメリカの慰安婦像問題。無関心が日本人への差別を悪化させる。
東南アジアに反日感情はある?→「日本は、いつまで謝ってるの?」
過去エントリを拝見して知韓派の方なんだなと思ったんだけど。
慰安婦問題について、非常にすっきりする記事が多くて、たどりついてよかったですw
おおっ!
そう言っていただけるとうれしいですよ。
ありがとうございます。
中国人に聞いても、中国本土であのような像をあちこちに建てる発想はないみたいですね。
韓国は行き過ぎですよ。