訪日ムスリム:進む日本のハラールフードと恐怖の“バイトテロ”

 

ムスリム(イスラーム教徒)は豚肉を食べることができない。
なぜなら、イスラーム教の聖典「クルアーン(英語読みだとコーラン)」にそう書いてあるから。

そんなムスリムにも日本の豚骨ラーメンを味わってもらおうと、昨年末に「一蘭」が豚肉を一切使わない豚骨ラーメンつくり出した。

日本の”もどき料理”3つ。ついにイスラム教徒用豚骨ラーメン

 

イスラーム教の教えにもとづいて調理され、ムスリムが安心して食べられる物を「ハラール(ハラル)フード」と言う。
ハラールとはアラビア語で「許されている」という意味で、その逆は「ハラーム(禁じられている)」。
ハラームの豚骨ラーメンをハラールに変えた一蘭、さすがです。

いま日本にやって来るムスリムはどんどん増えている。
そんな訪日ムスリムは中東からではなくて、インドネシアやマレーシアから来る人が多い。
すると当然、そこに商機を見出す企業もあらわれる。

たとえば牛角はこれからムスリム向けの食べ放題を提供するという。

朝日新聞の記事(2019年1月29日)

ムスリム対応店舗 牛角 赤坂店 “お客様の声にお応えして” 「ハラル認証焼肉 食べ放題メニュー」導入開始

赤坂店では今までにもハラームメニューがあったのだけど、「もっと焼肉を食べたい!」というムスリムの要望に応えるために、これから2つの食べ放題コースを導入する。

「牛角ハラル食べ放題」価格:6000円(税抜)、メニュー数:合計35品
「和牛ハラル食べ放題」価格:8000円(税抜)、メニュー数:合計40品

浜松にある牛角の食べ放題2980円と比べると、かなりセレブな料金設定だ。
それでも、焼き肉を腹いっぱい食べたいムスリムはこれぐらい払うのだろう。

このニュースにネットの反応は?

・ムスリム松竹梅コースなの?
・その場で改宗できるシステムも導入すべき
・アルコール飲み放題コースは一緒にできますか?
・マレーシアとかは普通のスーパーで豚肉が売ってる
堂々と売られてるんじゃなくて、レンタルビデオ屋のAVコーナーみたいに
店の奥まった所に隔離された豚肉コーナーがあってそこで売ってる
・これでヒンドゥー教徒と仲良く焼肉出来るな

最後のコメントはネタか本気か分からないけど、ヒンドゥー教徒は牛肉を食べられないけど豚肉は可。
でも実際にヒンドゥー教徒のインド人に会うと、豚肉は食べられないと言う人がけっこう多い。
とはいえ、そもそもヒンドゥー教徒に牛肉はタブーだから、「これで仲良く焼肉できる」ということはない。

 

また、上とはちがって、従業員の「質」を不安視する人も多い。

・バイト「こちらピートロになりまーす」
・バイトも調理場も分けなきゃいけないけどできるの?
インフルエンザでバイトが足りなくてもできるの?
・店員のミスオーダーで聖戦まで行くやろ

ハラール認証を受けてムスリム仕様に整えても、最後のカギを握るのは人だ。
人がダメなら全てがダメになる。

どこの国のどんな社会にも、信じられないような常識外れがいる。
バングラデシュで会ったイスラーム教徒の日本語ガイドは、日本で生活していたとき、日本人のバイト仲間から「牛肉だから大丈夫」とだまされて豚肉を食べさせられたという。
そのガイドが言うには、豚肉でも知らずに食べてしまったものは大丈夫らしい。
でも、あとから豚肉と聞いて、すぐにその場でできる限り吐き出した。

こういうバカ従業員はこれからの日本でもきっと出てくる。

 

ちょうどいま、有名牛丼チェーン店のバイトが公開した「悪ふざけ動画」が大炎上している。
動画を見ると、バイト数人が店の中で氷を床にたたきつけたり、おたまを股間に当てるような仕草をしたりしている。
動画には「くびかくご」という平仮名のテロップがあって、「やばいやばいやばい。これ絶対クビ」なんて声が聞こえるけど、解雇だけで済むと思うなんて常識も想像力もなさすぎる。

牛丼チェーンはホームページで謝罪。

 

企業のイメージダウンははかり知れない。

 

9秒ほどのいたずら動画だけど、ここまでのことをしたら、数十万・数百万円の損害賠償を請求されるのでは?
拡散されている動画にはバイトの顔がハッキリうつっているから、本人はこれからもこのバカ動画におびえて生活しないといけなくなる。

こういうバイトテロはこれまでにもあったし、これからも絶対に起こる。

飲食店や小売店にアルバイトの形態で雇用されている店員が店の商品(特に食品)や什器を使用して悪ふざけを行う様子をスマートフォンなどで撮影し、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に投稿して炎上する現象を指す日本の造語。

バイトテロ

 

こういうバカ店員のせいで店側が受ける被害はすさまじい。
イメージダウンのほか、返金や返品、下手したらその店が閉店に追い込まれるかもしれない。
実際にそんなそば屋もある。
そんな巨額の損害が生まれることから、アルバイトによる「テロ行為」とみられるようになった。

どんな従業員教育をしても、バイトテロの発生を完全に防ぐことはできないだろう。
数年後にどこかの飲食店で、「ハラールメニューの中に豚肉を入れたったw」なんて動画を投稿するバイトが出てきても驚かない。
どんなに環境を整えても、最後に大事なのは人。
無能な味方ほど恐ろしい存在はない。
ハラールフードは宗教的なものだけに、店側もバイトテロには恐怖を感じているに違いない。

 

ついでに書くと、日本の超有名なお寺のお坊さんがツイッターでこんな投稿をして、これも大炎上している。

「韓国人 3人寄れば ドクズかな」

この坊さんも常識と想像力に欠けている。
寺は僧侶の発言を謝罪したけど、鎮火には時間がかかりそうだ。

 

おまけ

イスラームの国・イエメンの観光スポット「ロックパレス」

 

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2 件のコメント

  • いつもお読みいただき、ありがとうございます。
    うわっ、本当ですね。間違ってました。
    ご指摘ありがとうございました。
    本当に助かります。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。