“ボストン茶会事件”をアメリカ人とイギリス人はどう思う?

 

下の写真はことし7月、フランスで開催されたサッカー女子ワールドカップの試合で、イングランドを相手に決勝点を決めたアメリカのモーガン選手が見せたゴールパ・フォーマンス。

これを見たイギリス側は、英紙ガーディアンが「イギリス人をあざ笑った」と伝えるなど不快感を示す。
アメリカとイギリスの歴史から、このパフォーマンスでイギリス人が怒った理由を考えてみよう。

 

ピッチに真っすぐ立ったモーガン選手がカップの紅茶を飲むような動作をする。

フットボールゾーンの記事(2019/7/5)に、このパフォーマンスを見せつけられたイングランド女子代表のリアン選手のコメントがある。

「モーガンの“失礼”な紅茶セレブレーションを非難」と特集。サンダーソンは「彼女は望むように祝うことができる。ただ、あれは不快だった」と胸中を吐露している。

米美人FW、“紅茶ポーズ”で波紋拡大「イギリス人を嘲笑」 英代表FWも非難「不快」

 

紅茶パフォーマンスには日本でも非難一色

 

アメリカ・紅茶・イギリスの3つの要素がそろった歴史的な出来事といえば、1773年の「ボストン茶会事件」(ボストン・ティーパー・ティー)だ。
アメリカ人がイギリスの政策に反抗して、ボストン港に停泊していた東インド会社(=イギリス)の船をおそって積み荷の茶箱をすべて海に投げ捨ててしまった。
この事件で英米が対立して、アメリカ独立革命へとつながる。
ボストン茶会事件は、アメリカがイギリスから独立する決定的なきっかけとなったのだ。

 

茶箱を投げ捨てる様子
こういう乱暴な行為を「ティー・パーティー」と茶化して呼ぶのがアメリカ人の発想らしい。

この翌年、アメリカ独立戦争が始まった。

ボストン郊外のレキシントンとコンコードでイギリス軍と植民地民兵が衝突(レキシントン・コンコードの戦い)し、ついに独立戦争が勃発したのである。

ボストン茶会事件

 

モーガン選手の「紅茶パフォーマンス」にはこんな背景があったから、イギリス人にはすぐに意味がわかって「あれは不快だった」となる。
でも、独立戦争のきっかけだったら、これはFIFAが禁じる政治的行為にならないだろうか?
知り合いのアメリカ人にこのことをきいたら、「くだらない。それぐらいのゴール・パフォーマンスはまったく問題ない。イギリスは試合に負けて悔しかっただけだろ。勝っていたら、きっと何も言わなかっただろうね」と言う。
FIFAから何のペナルティーもなかったから、これはただのパフォーマンスとみなされたということだ。

日韓戦でどちらかの選手が16世紀の朝鮮出兵を連想するようなゴール・パフォーマンスをしたら、きっと大騒ぎになる。

 

このあと、このツイートを見せて別のアメリカ人にもきいてみた。

 

そのアメリカ人はリベラルな思想を持っている人で、このツイートをしたのが「フォックスニュース」という点に注目。
彼の話では、フォックスニュースは共和主義者やナショナリスト向けに愛国心や排外主義を訴えるメディアで、トランプ大統領の政策を支持している。
このゴール・パフォーマンスよりも、フォックスニュースがどんな意図でこのツイートをしたかを考えるほうが重要という。

 

ちなみにボストンには、「ボストン茶会事件船と博物館」(Boston Tea Party Ships & Museum)があって観光客はここで「歴史体験」ができる。
「イギリスをやっつけろ!」と言って、船から茶箱を海に投げ捨てるアトラクションがある。
バカバカしい気もするけど、トリップアドバイザーの評価を見るとかなり高い。
でもイギリス人なら、きっとここは素通りする。

 

 

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見た目高級、中身劣悪。中国と韓国のホテルでしていたこと。

 

2 件のコメント

  • 気づいた人間が煽った、という感じですね。やった方もそういう意図があったという事なのでしょうが。

    ただ、じゃあそれが本当にボストンティーパーティーを表しているのか?と言われると本人に聞くしか明らかにできないと思うんですよね。勝利した後にマウンドに自国国旗を立てる、という行為とは雲泥の差です。

    これを問題にするというのは国民の貫目を問われる話です。やられたとしても特に損する話でもなし、正直わかる人にしかわからない話であるならスルーで正解だと思いますね。パフォーマンスした側には警告する必要はあるでしょうが。

  • FIFAが問題視していない件ですから、客観的にはノープロブレムです。
    でも、当事者にはそれぞれの思いがあるようですが。
    勝利した後にマウンドに自国国旗を立てる、という行為とは雲泥の差です。
    でもこの争いは不必要ですから、勝ち誇るパフォーマンスはやめたほうがいいですね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。