韓国の無礼：前首相が日本に「あいつら」、高校生は「お前ら」

日本が東京五輪公式ホームページの地図に竹島（韓国では独島）を入れたことで、あちらはお怒りの様子。

でもこれは知ってた。
韓国が抗議するのはいつものことで、むしろこれで何も言わなかったら嵐の前の静けさで、何かとんでもないことが起こるフラグにしか見えず、そっちのほうがオソロシイ。

ただ「五輪ボイコット」を持ち出すのは予想外だった。

中央日報日本語版の記事（2021.05.27）

韓国前首相、「日本、地図から独島を削除しなければ東京オリンピックへの不参加も考慮」

加藤信官房長官は「竹島は明らかにわが国固有の領土であり、韓国側の主張はまったく受け入れられない」と一歩も引かない様子だから削除はない。
もともと韓国国民だって自国の代表が東京五輪に参加しないなんて思っていないだろうし、チョン前首相のメッセージも現実とは関係なくて、自分や党への支持集めが目的であることは十分承知のはず。
これで本当に韓国政府が不参加を発表したら、「マジで！」と前首相が驚くはずだ。

この件については最も大事なことは、五輪憲章に違反しているかどうかその一点。
竹島の表記について国際オリンピック委員会（ＩＯＣ）は何も言っていないから、日本は安心してコロナ対策に全集中したらいい。

ＩＯＣがスルーしても、韓国の立場からしたら黙ってはいられない。
怒りの声を上げるのはわかるが、問題はその表現だ。

中央日報日本語版の記事（2021.05.30）

あいつら、悪い人たち、偏屈、恥知らず…

丁世均（チョン・セギュン）前首相が「東京五輪地図」に独島（ドクト、日本名・竹島）を自国領土として表示した日本政府に向けこうした露骨な表現で批判した。

韓国前首相、日本政府を露骨な表現で批判

チョン前首相は日本に対し、

「日本はちょっと偏屈で恥知らずなのではないか」
「独島をあいつらが奪っていこうとするのは絶対容認できない」

と言って、２０１９年に日本が対韓輸出を厳格化したことについて「悪い人たち」と批判したという。
いやこれ批判じゃなくて罵倒でしょ。

この点日本は紳士的だ。
文政権の“天敵”だった安倍前首相だって、韓国に「あいつら、悪い人たち、偏屈、恥知らず」なんて非難はしない。
こんなことを言ったら、どんな騒ぎになることやら。アルマゲドンがはじまる。

日本が韓国に、韓国が日本に批判するのはどっちもよくある。
お互い自分の価値観や立場があるからそれは仕方ないとしても、韓国でのやり方や表現はあまりに露骨で過激だから日本で不要な反発を招いて、対韓感情も日韓関係も悪化坂を転げ落ちることになる。

チョン前首相のような「あいつら」といったことばは、日本なら匿名のネット空間で見るぐらいで、政治家のような社会的影響力のある人が公の場では使わない。
もしそんな非礼があったら、全国メディアはそれを肯定しないできっとぶったたく。

先月4月、釜山の日本領事館前で記者会見をおこなった韓国の高校生グループが、福島原発の処理水を”汚染水”と言い換え日本をこう批判した。

中央日報日本語版の記事（2021.04.29）

「日本はいま汚染水を放出しても飲むのには問題ないという暴言を連日吐き出している。汚染水はお前らが飲め」

釜山の高校生が集会「福島原発の汚染水、日本人が飲め」

記者会見を開き韓国に向かって、「汚染水はお前らが飲め」と言う高校生がいないところが日韓の大きなちがいのひとつ。
メディアがこのことばを問題視しないところも日本の価値観とはちがう。日本の基準ならこれこそ「暴言」。
韓国がいま月城原発から、福島原発以上の“汚染水”を海に流していることについて、この高校生はどう思っているのか。

韓国の高校生や中学生の日本に対するこういう表現は、そうめずらしいことではない。でもそのたびに、こういうことばが出てくる背景が気になっていた。
そんなとき出会ったのが、チョン前首相の「あいつら」です。
こういう無礼なことばが当然のように出てきて、それを当たり前のように報じるメディアを見てそれがよくわかった。
これぐらいの発言なら一線を越えるものではなくて、あちらでは常識の範囲内のようだ。

最近、中国と対立するフィリピンで外相が「我が友、中国よ。どうすれば丁寧に説明できるだろうか。そうだな、うせやがれ」とツイッターに投稿した。
すると中国は「礼儀」を要求し、外相に自分の無礼を謝罪させた。
中国がフィリピンでやってることは別として、非礼な発言には相応の対価を払わせる中国の態度はさすがの一言。
日本もこの強さを学んで「韓国は失礼だ！」と怒るより、舐められない国を目指したほうがいい。
韓国も、「紛争があっても無礼であってはならない」というドゥテルテ大統領のことばに耳を傾けてほしいもんだ。