不買から３年、反日感情に便乗した文政権に厳しい韓国国民

話は３年前にさかのぼる。
FNNによると2015年から2019年にかけて、韓国から兵器に転用できる戦略物資が密輸出された案件は150件以上もあった。

密輸出された品目は、核兵器や生物化学兵器の製造・開発・使用に利用可能な物質で、今回の日本の輸出優遇撤廃措置の対象となった3品目の1つであるフッ化水素酸も含まれる。

日韓貿易紛争

もちろん韓国側はこれに納得しなかったが、日本政府は韓国に対して輸出管理を厳格化した。
すると始まるノージャパン。

文大統領が「『もう日本には負けない』と韓日感情を主導してきた」と朝鮮日報が下の記事で指摘するように、“政府公認”となったこともあり、2019年の日本製品の不買運動は全国的に盛り上がった。
文政権に近い新聞ハンギョレはこれを後押しする。（2019-07-20）

安倍政府は「日本製品不買運動」の拡散の意味を直視せよ

それでも１年後にはノージャパンの勢いも落ちていって、主要ターゲットにさたユニクロにも客足が戻り始めた。
すると始まる国内分裂。

朝鮮日報（2020/11/09）

「ユニクロに並ぶ犬豚」「反日扇動のほうが犬豚」…日本製品不買運動1年、韓国社会の二つの表情

韓国のネットで、ユニクロのレジにならぶ人たちに「二足で歩く豚」というタイトルを付けた写真がアップされた。
不買に賛同しない国民を「犬豚」と呼んで批判する投稿者は、「あんな犬豚と同じ町内に住んでいるなんて」と書き込む。
これには多くの共感コメントが集まった。

「日帝の奴らにひざまずき、首をはねられないと後悔しない」「日本に失せろ」などという内容だった。彼らは日本の靴販売店ABCマートを「アベシ×マート（Ｘの部分は卑語）」、日本料理店を「倭寇店」と呼び、聖域のない日本製品不買運動の継続を求めた。

一般人を撮影して「犬豚」と呼ぶ画像をシェアするやり方には、「あんまりではないか」という反論もあったが（日本なら違法？）、それには「サル（のような）考えだ」「虫」といった罵倒が返ってきた。
するとこう反発する人もいる。

「あの投稿に使ったスマートフォンにも日本の部品が入っているはずなのに」
「反日扇動の側に付いたことがむしろ犬豚だ」

不買運動から１年も経つと韓国国民の間にも、ノージャパン運動をダンコ続けるべきという人と、その熱にはついていけない「ノー・ノージャパン」という人に分かれるようになった。
日本企業よりも、正義連に対して「慰安婦被害者を食い物にすることに憤怒を覚える」という人もいる。

ソウルに住む知人のアメリカ人が驚いたのぼり

朝鮮日報の報道によると、不買運動は社会的には「日本に対する国民の結集力を見せつけた成功した運動だった」というポジティブな評価と、「現実性がなく、国民的な反日感情にだけ頼った政府・与党の大衆扇動にすぎない」というネガティブな評価に二分されて、互いに「犬豚」と呼び合って対立している。

さて、文政権もあと２か月ほどを残すだけとなった。
これまでの対日外交をふり返ると、国民の間には「日本が悪い」という見方は当然あるとしても、国民の反日感情をあおったり、これを政治的に利用してきた韓国政府への批判も多いという。

中央日報（2022.01.20）

文在寅（ムン・ジェイン）政府になって悪化の一途をたどっている韓日関係に対するオンライン世論は「反日感情」と「政府責任論」に要約される。（中略）反日感情に便乗した政府の政策運用は結局国内でも逆風にさらされる可能性がある点を示している。

オンライン世論が爆発した「韓日関係」…「日本も悪いが韓国政府も間違っている」

国民に向かって「もう日本には負けない！」と宣言したと思ったら、状況が変わると「いつでも日本政府と向かい合って座って対話をする準備ができている」と笑顔で日本に呼びかける文大統領。
こんな手のひら返しに、「反日感情を引き起こしているのは文政府ではないのか？」と韓国国民は厳しいという。

日本製品の不買運動が落ち着いてくると、互いを「犬豚だ」と呼び合うような国民の分裂を招いた文政権は、そのときの最善の利益に応じて反日と親日を使い分けていた。
だからこれまでの対日外交を総括すると、多くの国民が「韓国政府も間違っている」と否定的にみている。
来月に決まる新大統領は「反日感情に便乗した政策運用」とは距離を置いて、国家間の合意をベースに韓日関係を立て直してほしい。