「170(㎝)ないと人権ないんで」
「ちっちゃい男に人権あるわけないだろお前、調子のんな」
ある女性プロゲーマーがネット配信中に、そんなことを言ったら全てを失った。
即時スポンサー企業や所属企業から契約を解除され、2000万円という年収と輝かしい肩書きが一瞬で蒸発して、とつぜん無職になってしまった。
「チョコ作り配信は明日にします♪」(2月14日)からの、「皆様を裏切ってしまったことについて、深くお詫び申し上げます。」(2月16日)というツイートの流れを見るとホント世の中、一寸先は闇って思う。
こんなふうに、自分が放ったコトバで身を滅ぼす「舌下事件」はいくらでもある。
ただこの女性ゲーマーの場合、過去にも「生きてる価値もない」とか、同性愛者に対する侮辱発言をして炎上したことがある。
そのときは「ネタだった」という言い訳をして、それで何とかなってしまって学習する機会をなくしたことがネット史に残る大失敗につながった。
この炎上はすさまじくて、すぐに同じチームの先輩ゲーマーにも延焼する。
このゲーマーの発言もムゴかった。
(グーグルに怒られるからここでは〇を使いますね)
「高田馬場の〇イジども民度最悪だからな」
「○○人多すぎ国ごと滅んでしまえ」
障害者・外国人・同性愛者への侮辱・差別発言を連発していたことから、「当社は、いかなる差別的・侮辱的な行為や言動・SNS等での発言も許されるものではないと認識しており」という理由で、このゲーマーも一瞬で所属企業に切られて放り出された。
ネット民による熱心な「発掘作業」はいまも続いている。
別のプロゲーマーのツイートを掘り起こし、数年前の「ゴキブリかよ害虫潰すぞ」といった暴言や差別発言を見つけてはネットで拡散したり、そのキャプチャを所属企業やスポンサー企業に送って「適切な対応」を迫っているところだ。
格闘ゲームはボクの守備範囲じゃないからまったく知らんかったのだけど、この分野で使われるコトバを知って驚いた。
格ゲーにおける「人権キャラ」は、そのステージをクリアするために必要なアイテムをもったキャラクターのことで、それ(人権アイテム)を持っていないプレイヤーは「難民」といわれる。
だから「170ないと人権ない」というのは、「170㎝ない人はわたしの対象外、わたしを攻略できない」といった意味らしい。
考えなしでプレイすることは「脳死(脳死プレイ)」で、同じ失敗を何度もするプレイヤーは「チンパン」。
ゲームセンターでプレイヤーが大声をあげる様子は「動物園」や「ガ〇ジ」と言われて、ガチャで使えないアイテムやキャラを引くことを「死産」 という。
*格闘ゲームの知識がなくて、このへんの言葉と意味はネットの解説から拾ったものだから、間違いがあったら教えてくださいませ。
とにかくゲーマー界隈の用語は一般社会とはかけ離れている。
だからその環境に慣れてしまうと、言葉の感覚がマヒして、その重さやヤバさが分からなくなってしまう。
「ちっちゃい男に人権あるわけないだろ」と言った女性は「ヘイトスピーチ」の指摘に、「身内ノリで言葉が悪くなっちゃいました、ごめんなさい~」というラフな謝罪で終わりになると考えたらしいし、先輩ゲーマーも「俺の所属チームで草」、「こんな大事になるとは思わんかったわw」と他人ごとでツイートして、2人そろって契約を解除された。
ゲームの世界では考え方や価値観に根本的な問題があると思うので、こんなスバラシイ言葉を贈りたい。
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。
これはよくマザー・テレサの言葉といわれるけど、ソースははっきり分かっていない。
ダレが言ったかは別として、自分の思考や言葉は習慣や性格になって、いずれ自分に返ってくるというのは人生の真理。
「脳死」「チンパン」「死産」 と言っていれば、それは自分の運命になる。
暴言によって一瞬にして人生を失った人や、もうすぐそうなりそうな人が身をもって教えてくれている。
「他人の尊厳を傷つけるコトは言ってはいけません」という常識を百回言われるより、実例を見た方が分かりやすい説得力がある。
だから自分自身だけじゃなくて、いまの環境は自分を活かすか殺すかも考えた方がいい。
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