日韓関係について日本が示したデッドライン、それは韓国にある日本企業の資産現金化だ。
日本の要望や警告にもかかわらず原告側がこの一線を越えた場合、韓国に対する報復制裁がおこなわれ、日韓関係は破綻すると言われている。
いやいや、そんな言葉は原告側への「脅し」でしかないと、原告側の代理人として活動してきた日本人弁護士が言う。
原告を支持するこの弁護士からすると、たしかに「現金化は韓日関係の破綻を意味する』という話がいま日韓で飛び交っているけれど、その「破綻」の意味が分からないとしてこんな主張をする。
ハンギョレ新聞(2022-08-04)
そもそも『破綻』とは何なのだろうか?ロシアとウクライナのような状態なのか?現金化が実行されたら自衛隊が独島に上陸したり、ソウルをミサイル攻撃する可能性があると本気で思っている人がいるだろうか?
「強制動員賠償執行すれば韓日関係破綻?…被害者への脅しにすぎない」
日韓のメディアや政治家はよく「破綻」を口にするが、その目的は原告側を黙らせること、現金化を止めさせることにある。だから、そんな”雑音”に心を動かされることなく、原告側は「粛々と法的手続(現金化)を進めるしかない」とこの弁護士は言う。
「破綻」の例えとして日本による韓国への軍事侵攻を持ち出す、この弁護士の発想がぶっ飛んでいて、もうツッコむ気力も失せるわ。
資産が現金化されて、なんで日本が韓国に戦争を仕掛けるのか。
そんな展開があるのはマンガかアニメか、個人の妄想世界だけ。
原告側の支持者や関係者にはこんな感じに、現実的にはあり得ないような話を持ち出して、とにかく現金化を進めようとする人がいる。
その点、専門的な知識とそれなりの責任感のある人の言うことは違う。
冷静に現実を見据えているから説得力がある。
いまはもう現金化の最終段階にあると、尹徳敏(ユン・ドクミン)駐日韓国大使は危機感をあらわにして、この問題を外交的に解決するために、いまは韓国の裁判所が現金化の措置を凍結すべきだと訴えた。
これは「脅し」でも極論でもなく客観的な事実で、現金化をストップさせることはいま最も重要だ。
もうしそうなったら、日本は韓国に対して制裁をおこなうことになり、結果的に日韓でこれほど大きな被害が出ると大使は予想する。
朝鮮日報の記事(2022/08/09)
韓国企業と日本企業の間で数十兆、数百兆ウォン(10兆ウォン=現在のレートで約1兆400億円、100兆ウォン=同じく約10兆4000億円)に達するビジネスチャンスが飛んでいくということもあり得る
尹徳敏駐日韓国大使「日本の企業資産を現金化したら数百兆ウォンのビジネスチャンスを喪失」
「いまの日韓関係が破綻する」というのは経済的に大ダメージを受けて、両国の国民感情も極度に悪化するということだ。
それを日本がソウルにミサイル攻撃をするとか、例え話でもバカバカしい。
原告側は「現金化の凍結」を訴えたユン氏に激怒し、大使の辞任を要求しているからもう無茶苦茶。
さらに原告側は、問題解決のために話し合う官民協議会に不参加を宣言したため、「被害者中心主義」を掲げるいま韓国政府はさらに困難な状況に置かれてしまった。
現実を無視した感情的な言説で、勢いをあおる勢力が原告の背後にいることが、この問題を解決不可能に近い状況にしている。
ユン韓国大使は1965年の請求権協定で日本から受け取った支援金を、「その方々(元徴用工)に帰すべき分を国が使ってしまった時代があった」と述べ、韓国政府の責任を認めた。
それ以上は具体的に言っていないが、韓国政府が原告に金を払うべきと考えているのだろう。
実際、それが最適解。
ユン大統領からは、一日も早く韓日関係を改善させるよう頼まれたものの、日本へ来てみると「どこから手を付けるべきか分からないほどで、日本の冷ややかな空気が感じられる」と、ユン大使はアウェーの雰囲気にとまどっている様子。
合意や国際法に基づいてこの問題を解決しようとする日本は、これについて譲歩は見せず、韓国政府が早く解決策を示すことを待っている。
韓国に妥協しない日本の空気に大使はたじろぎ、本国では原告側の強硬な態度に関係者が頭を悩ませている。
順調に前へ進んでいるのは現金化(デッドライン)という地獄。
原告側の説得という、ミッションインポッシブルに取り組んでいる韓国政府はたしかに気の毒だけど、こればかりはガンバッテもらうしかない。
それに失敗すれば「日韓関係の破綻」とはどんなものか、実際に見て体験して確認することになる。
日本の新聞が文大統領に「”反日”体質・歴史のわい曲」と批判。
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