外国人とどこかへ遊びに行くと、「みんなでグループ写真を撮ろうぜ」と言う人がでてくる。
そうすると、その中でいちばん映りの良いスマホが選ばれて、日本人のボクが「すみませ~ん」とまわりにいる日本人に声をかけることになる。
それで、こちらがならんでポーズをとっていると、カメラをかまえている日本人がときどき戸惑う。
音がしないからだ。
撮影をする時、日本のスマホならお約束の「カシャッ」が外国のスマホにない。
ボタンを押して何の音もしないと、撮影できたかどうかわからくなって「あれ?」となる日本人がいる。
これまで欧米、アジア、アフリカのいろんな国のスマホを見てきたけれど、「撮影しますよ」と周囲に告知する機能があるのは日本だけ。
それでその理由を外国人に聞かれると、痴漢が社会問題になっている日本では、それを防止するために音が出るんだよという恥ずかしいことを言わないといけなくなる。
KDDIのHPには「日本では痴漢による迷惑防止条例違反の問題」があって、必ずシャッター音が出るようになっていると書いてある。
(なぜシャッター音が必須? 外国人から見た日本人のスマホ文化)
ボクの知る限り、この分野で日本の“仲間”は世界で韓国だけ。
スマホでシャッター音がする理由は、同じく変態防止のためとしか思えない。
残念ながら日本では、盗撮や痴漢といった陰湿な性犯罪が多発していることは事実だ。
そういうことは外国にもあるが、世界的にみて日本の発生件数や問題の度合いは際立っているらしく、英語版ウィキベテアには「Chikan」の項目が作られていて、
「sexual harassment, especially groping on public transport in Japan」
(セクハラ。特に日本の公共交通機関で他人の体に触る行為)
との説明がある。
政府機関のホームページで日本へ行く自国民に、「chikan」というワードを使って注意を促している国は、カナダとイギリスの他にもあるかもしれない。
【日本の恥】英国・カナダのHPで「chikan(痴漢)に注意」
「外国人に対する犯罪は一般的に少ない(Crime against foreigners is generally low)」とカナダ政府が治安の良さを伝える日本も完璧ではない。
まったく関係ないのだけど、アメリカには「Super Chikan」という、日本なら無謀すぎる名前のブルース・ミュージシャンがいるらしい。
隣国に目を向けると、韓国ではいま「molka(モルカ)」が外国人にとっても深刻な問題になっている。
韓国へ旅行に行く人がいたら、この動画を見せろと外国人がこんな投稿をした。
Send this to someone who’s traveling soon 👆🏼 pic.twitter.com/nZjGKoJO3T
— Olivia (@imOlivia19) April 14, 2023
盗撮のための小型カメラが仕込まれているかもしれないから、宿泊先ではこうやって至る所にカバーをしたり、隠しカメラが仕込まれているかどうかをチェックするために、赤外線の探知機を使うことをすすめている。
韓国旅行をするなら、こうしたことに注意しないといけないという。
こんな外国人の動きに対して、「過剰反応だ!」と反論する韓国人は朝鮮日報の記事にはいない。(2023/04/13)
「韓国に行くなら『隠しカメラ探知機』は必須」…海外にまで警戒される韓国の盗撮問題
この注意喚起の投稿に韓国のネットでは、
「国の恥だ」
「隠しカメラ先進国として永遠にレッテルを貼られそうで恥ずかしい」
「旅行で最も大切な宿泊先やトイレで隠しカメラ犯罪が起こるようでは、誰が韓国に行きたいと思うか」
といった反応が相次いでいるという。
最近BBCの選んだ「女性が旅行しやすい国ベスト5」に韓国が入らなかった理由にも、きっとこの“国の恥”がある。
ちなみに日本はランクインした。
盗撮が以前から深刻な社会問題になっていたことは、こんな韓国メディアの報道からもわかる。
ハンギョレ新聞の記事(2019-06-18)
ソウル市民10人中7人は「盗撮の不安感じる」…半分以上「トイレの穴を確認」
朝鮮日報の記事(2021/10/14)
【独自】モーテル従業員を買収、全客室に隠しカメラ設置した大胆な犯行グループ逮捕 /楊平
中央日報の記事(2022.09.21)
1年間教卓の下に携帯電話を隠し…女性教師を盗撮していた高校生の最後=韓国
隠しカメラを意味する韓国語の「몰카」(モルカ)をそのままローマ字にした「molka」は、いまでは海外にも知られるようになって、英語版ウィキベテアにもその項目が作られた。
トイレや宿泊施設の壁の小さな穴に小型カメラを設置して、コッソリ撮影する事例は2010年代に急増している。
高度にデジタル化された韓国社会では簡単にモルカの映像が流出して、一度そうすると、削除することはきわめて難しいという。
South Korea’s highly digitized society makes it easy to circulate molka footage and difficult to remove once it has been circulated.
日本の chikanと同じように、韓国でも Molkaを撃滅する効果的な対策は今のところない。
日本人や韓国人にとっては恥ずかしい旅行アドバイスや、スマホから特殊機能が無くなる日はまだまだ先だ。
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